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インスリノーマにより高血糖がマスクされた 腎不全合併2型糖尿病の1例|瓦林 令奈ほか〔日内会誌 104:2185~2192,2015〕
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/10/104_2185/_pdf/-char/ja
(はじめに より)
本症例は増殖網膜症 や組織学的に確認された腎症病変の存在より,インスリノーマにより高血糖が潜在化し,
血糖値が正常範囲内であったにもかかわらず,細小血管症が進行した文献上稀な症例と考えられ, 若干の考察を加えて報告する.

(考察 より)
本症例のように,既存の糖尿病治療歴がなく,糖尿病細 小血管症の進行したインスリノーマの症例報告は文献上みられない.
本症例の腎症・網膜症の進行程度から推察すると,一般に10年以上の糖尿病罹病期間があると考えられる.しかし,本症例では,病歴上, 少なくとも過去 6 年間の健診や医療機関受診時 検査において,高血糖や糖尿病は指摘されていないことより,
糖尿病状態にインスリノーマを合併し,高血糖状態がマスクされるような特殊 な状況が長期間持続していたと推察される.このような状況下においても糖尿病に特徴的な細小血管症が進行していることより,
細小血管症の発症進展において,インスリノーマ合併による高インスリン血症や高CPR血症,不顕性に存在した低血糖やそれに伴ったカテコラミンなど拮抗ホルモン過剰分泌の影響などが本症例の細小血管症発症進展を促進させた可能性があり,
細小血管症の発症進展機序を考えるうえでも極 めて示唆に富む症例であると考えられた.