事実、糖質の「過剰摂取」は体に良くないことが知られています。
それが世界的に広まる糖尿病患者の増加を招いています。
しかし何事もそうなのですが、どんなものであれ取り過ぎは害を招く。炭水化物に限らないのです。

糖質制限による食事の問題点は、そうした脂質やたんぱく質を代替として摂取するために、過剰摂取に繋がる。
しかも驚くべきは、いくら食べても大丈夫と喧伝することです。
しかし、それは本当でしょうか?
まず、一般常識として重篤な糖尿病患者は勧められません。なぜなら、たんぱく質は腎臓に負担を与えるからです。糖尿病の合併症として腎臓悪化があげられる。
重篤な糖尿病患者であれば、たんぱく質は、むしろ少なくなければならないのです。
そうした条件が発生する時点で、決して糖質制限が万人向けどころか、弱者に優しくない食事方法であることが分かります。こうした問題が内包されていることに気がつくべきでしょう。

それと根本的な問題は、その構造性です。糖質制限ではない「普通」の食事は、炭水化物も取るし、たんぱく質も脂質も口にします。体の状況に応じて栄養素のバランスを変えることもできる。
しかし糖質制限は、はじめからたんぱく質と脂質だけです。すなわち、どのみち多く摂取しなければならないのです。今日はたんぱく質と脂質を減らそうということはできない。
そうした構造的問題がある。

くわえて炭水化物を取らなくなると、インスリンを出さなくなるので、インスリンの分泌能力が失われる。
そのリスクヘッジができていない。
災害などで食料確保が難しい状況下で炭水化物しかない場合があります。
むしろ炭水化物は保存性に優れてるため、ほとんど災害用に提供される食料は炭水化物とみた方がいい。
その時にどうするのか?
飽食の時代ゆえに生まれた糖質制限は、飽食を前提とした贅沢で我が儘な食事方法なのです。