人参は栽培には涼しい気候が適しているが、苗の段階では比較的高い温度にも耐えられる。そのため夏に種を撒いて秋から冬に収穫する方法が最も容易である。

しかしニンジンは発芽率が低く、種の吸水力が弱いため種撒き後に土が乾燥すると極端に発芽が悪化するため、雨後を狙って種を撒くのが好ましい。

また乾燥を防ぐために潅水したり、新聞紙や藁・籾殻などで被覆すると効果的である。

短根ニンジンは多くの土質で栽培が可能なためあまり考慮する必要はないが、有機質に富んだ砂質土壌が最適とされる。

しかし過湿に弱く、水はけが悪いと根腐れを起こしてしまう。

土壌酸度は弱酸性から中性が適し、酸性ほど生育が遅れ、裂根が多くなる。

また線虫(ネコブセンチュウ類やネグサレセンチュウ類)の被害を受けやすいので、前作に被害にあったところは避ける。

また、日陰では茎葉ばかりが茂り、根の肥大が悪くなるためなるべく日陰になりやすい場所は避けたほうが良い。

長根種は一部の地域で栽培されているだけで、現在は五寸ニンジンと呼ばれる長さ15 cm内外の品種が多く栽培されている。

これは品種も肉質や外皮の色、形状と揃い、カロチンの含有量、作りやすさなどを目的にして改良が進んでいるものである。

このほかプランターでの栽培が容易な長形や丸形のミニニンジンもある。

ニンジンは種を撒いて発芽するまでに7 - 10日ほどかかり、その後の生育も遅いペースで進む。

新聞紙などを掛けて乾かないように管理していると、雑草が一斉に生えてきてどれがニンジンかわからないくらいになる。

また生えてきたニンジンは生育が遅いため、除草作業を怠ると雑草に負けてしまい枯れてしまうので、生えてきた雑草に注意し、小さいうちに早く抜き取ることが大切である。