一般的に、ジョンはエモーショナルで生まれながらの反逆児。ポールは職人的という印象ですが。それは正しいでしょうか?

Martin: ジョンとポールは同じコインの表裏だった。彼らは驚くほど似ていたのだ。
人々はいつも彼らの違いに目をつけた。彼らはジョンが反逆児で、テディボーイで、突然とんでもない行動を起こす男と言いたがったし、ポールは万人が好む甘いメロディーを書くやさ男だった。だが、それはまちがいだ。
それは2人にとって失礼な一般論だよ。
“Julia”よりも感傷的な曲は書けないだろうし、“Across the Universe”よりも浮世離れした曲は書けないだろう。
それに“Helter Skelter”を書いたのはポールときている。
その上、“A Day in the Life”のような曲では、彼らは助け合って曲を作り、すばらしい結果を残したのだ。

2人の仕事のやり方に違いはありましたか?

Martin: ポールが“Yesterday”や“Eleanor Rigby”のような曲をやりたいとする。
彼は私と一緒にピアノに座り、何をやりたいのかを確認し、そのあとで私がスコアを書いたものだ。
いっぽうジョンはといえば、彼は人に物を頼む傾向があった。
“I am the Walrus”をやるとき、ジョンは私に「この曲にスコアを書いてほしい。」と言った。
私が使いたい楽器について尋ねると、彼は言った、「あんたがいつもやってることだよ。チェロとか、管楽器とか、そういった類いだ。」
私は彼から何のインプットもないまま一人取り残され、“I am the Walrus”のスコアを書くことになった。そんなわけで、私はできる限り奇妙な感じに曲を仕上げたのだ。
私は本物の聖歌隊に予約を入れ、「ハハハ」「ヒヒヒ」「ホホホ」などのコーラスを付け加えた。
ジョンがそれを聴いた時、彼は転げ回って笑ったものだよ。

    ジョージ・マーティン