藤井:世間では一方的にロシアのプーチンが悪い、ってことになっているけど、全然逆なんですよね。
いわば、アメリカが侵略しているわけで、プーチンは被害者みたいなもんなわけでしょ。

伊藤:そうそう。プーチンから言えば、単に防御的な行動を取っただけです。
もしアメリカが操るウクライナの新政権がNATOに加入して、クリミア半島の軍港にアメリカ海軍の空母やイージス艦が常駐するようになったら、
ロシアの国防はどうなりますか?
そのような事態を想像するだけで、ロシアの反応は理解できますね。

藤井:そりゃそうです。

伊藤:これが、ウォルトの言う「remake other countries and incorporate them into American design」の例です。
アメリカの国務長官は、公的な場では「我々はFreedom と Democracyを世界に広めるために外交を行っているのだ」と言うけれど、
その実態は新しい帝国主義です。

ハンティントンは、「アメリカ外交はtransnational imperialismだ」と言っていました。
だからアメリカに逆らう人物が他の諸国で民主的な選挙によって当選すると、国務省やCIAはその人物を失脚させる。
このパターンが、何度も繰り返されてきた(例:イラン、グアテマラ、ブラジル、チリ、エジプト、ウクライナetc.)

アメリカは日本の内政にも介入して、自民党と民社党にせっせと政治資金をばら撒いていた。
だから過去62年間の自民党は、常にアメリカの傀儡政権なのです。

藤井:よその国を自分に都合のいいように作り変える。

伊藤:そうです。

藤井:でも、ウクライナでは失敗しちゃったわけですね。

伊藤:オバマ政権は「アメリカが操るウクライナ」を作ろうとしたけれど、ウクライナ内部の親欧派と親露派の対立は非常に深刻ですから、
アメリカは簡単に傀儡国家を作ることができなかった。
ロシアはアメリカに対抗して、ウクライナ南東部で分離主義運動を支援しています。
ウクライナ政体の混乱と腐敗は今後も続くでしょう。