西武・愛斗、プロ初本塁打含む2発 値千金の逆転決勝3ラン
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未完の大器。そう呼ばれながら何人の選手が消えていったことだろう。なかなか芽の出なかった西武・愛斗もそう呼ばれる存在だった。昨日までは――。

 「軽く振ってみろ」

 昨秋、2軍首脳陣のもと、大幅な打撃改造に取り組んだ。
トップの位置、タイミングの取り方、バットの出し方、力の伝え方…。
5年目のシーズン、わずか7試合の出場にとどまり「試合に出ないことには意味がない」と全てを変えた。
背中にバットが触れるほど大きかったフォロースルーを封印。
力の入れ具合は「前を100とすると20。50ぐらいと思うと100になってしまうので」。負けん気が強く、闘志むき出しの男なりに考えた「控えめ」の意識だった。

 昨年12月。室内練習場でたった一人、マシンと対峙(たいじ)し、感覚の違いを実感した。
年末に地元・大阪で、かつて所属していた浜寺ボーイズの練習に参加した際には「めっちゃ軽く打っているのに今までと飛距離が変わらない」と新フォームへの自信が確信に変わった。

 チームの「プロ初本塁打ラッシュ」に乗った。
新人のブランドン、渡部、若林、さらに6年目の呉念庭(ウーネンティン)に続き、12試合で早くも5人目。
2回に二木から放った先制のプロ1号は、左翼席への完璧な当たりだった。
1点を追う8回1死一、三塁で小野の低め直球を捉えた値千金の逆転3ランは、ライナーで右中間のホームランラグーン席へ。驚異の弾道に辻監督も「引っ張りにいかず、素直に打った結果がホームラン。もう本当に救ってくれたよ」と目尻を下げた。

 開幕1軍入りを逃したが「圧倒的な数字を残す」と誓い、2軍で打率・426、4本塁打、6打点の数字を残し、8日に1軍昇格したばかり。
2本の劇弾でチームの連敗を3で止め「とにかく勝てたのがうれしい」と笑った。
覚醒した新生・愛斗が、20の力でありったけの思いをぶつけていく。