アメリカン・バカデミズム「反日」の本丸アメリカを撃て! (著)ジェイソン・モーガン

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●客観的に歴史を見ようとすると叩かれるアメリカ
アメリカの学生が学ぶ「日本」は、戦後の日本像です。
つまりWGIP、「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」に洗脳された偏った日本像です。
戦後GHQが、WGIPをどんな目的で、具体的にどう行っていたか詳しく書かれているのが、高橋史朗先生の『WGIPと「歴史戦」』(モラロジー研究所)です。
その中に、1948年に出版された文化人類学者のヘレン・ミアーズの『アメリカの鏡・日本』(2015年に角川ソフィア文庫から完全版が出版))という本について言及されています。

著者のミアーズはアメリカ人ですが、フェアな立場で日本及び日本人について書いています。
さらにミアーズはGHQの日本に対する歴史の検閲や書き換え、歪曲に対して異を唱えています。
そのため当然のことながら、マッカーサーをはじめ多くのアメリカ人がこの本を激しく非難しました。

当時の書評を読むと、「単なる日本のプロパガンダ」「一般女性の感情的な表現」
「日本占領に関するまったく不要で重要でない論文」など、なぜそこまでヒステリックに糾弾するのかわかりません。
このような傾向は現在もアメリカの大学に根深く、ミアーズの功績は見向きもされていません。
私は日本に来て初めてミアーズの存在を知ったくらいです。
アメリカの学者はほぼマッカーサー流の解釈ですから、日本の立場を少しでも認める学者は「日本のプロパガンダを鵜呑みにするバカな人間」というレッテルを貼られます。

アメリカの「反日」は、根拠のないただの反応です。
ミアーズは日本に対する当時のアメリカのプロパガンダをそのまま鵜呑みにせず、自分で考え、客観的な意見を書いたためマッカーサーなどから批判されました。

彼女はただ学者として「科学的」に日本や日本人について論じようとしただけなのに、「裏切り者」とされました。
その傾向は今でもアメリカの大学で根強いのです。アメリカでは客観的な日本研究はされていないといっていいでしょう。
アメリカに都合のいい日本及び日本の歴史だけがよしとされるのです。