あの人は今  元阪神タイガース ランディ・メッセンジャー

2024年、日本シリーズ。 それをテレビで見つめる男がいた。
阪神タイガースでエースとして活躍した、ランディ・メッセンジャーさんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想するランディ・メッセンジャーは、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。日本シリーズで、俺が完封して日本一になる夢を」
メッセンジャーさんは38歳の時に登板過多の影響で思うように球が投げられなくなり自らの限界を感じて、タイガースから引退する事を決めた。
今はラーメン屋を営む傍ら、地域の少年野球のコーチを勤めている。
暖簾の屋号の文字は元タイガース、矢野監督の手によるものだ。
「イラッシャイ」。古市駅東口から歩いて3分。
「ラーメン 豚骨」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを
頭に巻いたランディ・メッセンジャーさんと結局メッセンジャーと同じ年に引退した鳥谷さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『豚骨』という文字は矢野さんに書いていただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、日本中から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
メッセンジャーさんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「ラーメン好きは飛行機に乗って本場・福岡まで食べ歩きに出かける時代でしょ。
ボクが修業した福岡の老舗『だるま』のものは大量の豚骨がベースなのが特徴だから薄味が好きな関西人には濃すぎるようなんです。
それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
かつての後輩でメッセンジャーと同じく阪神タイガース一筋の才木について尋ねると…
「知ってます?彼にカーブのコツを教えたのは僕ですよ?」と、おどけ
「俺も怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はこの、ラーメンで日本一になれるよう、がんばるだけです!」
(写真)ラーメンを手に持つメッセンジャーさん