打ち損じを捉える技術。つまりはチェンジアップの投げ損ないとか、真っ直ぐしかないカウントで甘く入った真っ直ぐなどは、見事なまでに捉える。

しかし選球眼が良いわけではないから、誘い球やストライクからボールになるような投球には、案外もろい。コーチは続けた。

 「あと緩急に弱い。とくにカーブが有効。韓国では日本のようなカーブを投げる投手は少ないが、日本人のタイミングを外し、(右投手の)外角へ逃げるようなカーブは弱いと思う」と言い切った。 

「スライダーやチェンジアップの投げ損ないは見逃さないが、カーブの投げ損ないはそんなに打てなかったはず」とも。

 要するに、投げ損ないさえしなければ、相手としては、決して怖い打者ではない?

 電話口の彼は苦笑した。

 「いや怖いよ。パンチ力はたしかにすごい。ライトのポール際だろうが、遅れ気味でも平気で放り込む。その点では怖い。ただし、タイロン・ウッズなどと比べたら1ランク落ちるでしょう」

 タイロン・ウッズとは、かつて韓国・斗山ベアーズで4度の本塁打王を獲得し、通算でも174本を記録。2003年からは横浜、中日などで軽6年。通算240本を放った右のスラッガーだ。