わっしょい・・・、わっしょい・・・。
 遥かより聴こえる男たちの雄々しい掛け声。
 誘われるまま六尺をむんずと掴み、私は裸足のまま我が家を飛び出した。
 後頭に妻と娘の泣く声を受けつつも、振り返ることもせず走り続ける。
 意識は四方に冴え渡るも、鼻先は男たちの声の方へと向いたまま動かない。心臓は早鐘を打ち、熱い血潮が体内を巡っていた。
 二軒向こうの小汚い住まいの窓からは、意地悪な中年の女が顔を出し、何事か、気狂いか、と走る私を見送った。
 どうせ女にはわからないのだ。
 走り走って、いつも娘にラムネを買ってやっていた駄菓子屋のある角を曲がると、男御輿と六尺の男たちが見えた。
 おうい、おうい、待ってくれ。
 上がる息に情けなく声は震えていた。
 六尺姿の男たちがこちらを見て微笑む。呼吸を整えながら、私もそれに応え笑った。
 始めるかい。
 その問いに私はこくりとうなずき、邪魔な衣類を脱ぎ去り全裸になった。
 そして隆起した私自身を押さえ付けるように六尺を締める。先走りの汁が六尺に染み込んだ。
 男たちは御輿を地面に降ろしたまま、私の準備が終わるのを待ってくれていた。
 そうだ、ここからは男の時間だ。
 ホモ祭りが始まる。ホモ祭りが、ホモ祭りが始まる。ホモ祭りが始まるのだ。
 高揚感に身を奮わせながら、私は男御輿に手を掛けたのであった。