金沢の団体運営 収益目指しネット販売

 環境問題となっている海洋プラスチックごみを再利用して障害者の自立につなげようと、「金沢QOL支援センター」(金沢市)が名古屋市内で運営する就労支援施設で、ヘアアクセサリー作りに取り組んでいる。施設のセンター長の日比翔太さん(33)は「働くことを楽しいと思ってもらえたら」と、利用者らと一歩一歩事業を進めている。 (蓮野亜耶)
 ピンク、青、黄色、緑…。名古屋市緑区にある「リハスワーク名古屋緑」で、右手にまひがある利用者の男性が色とりどりのプラスチック片をクッキングシートにぱらぱらとのせた。アイロンで「ジュッ」とプレスすると、マーブル模様の塊が出来上がる。「貸して」と利用者の女性が丸や三角にはさみで切り取り、表面などを加工。最後にゴムを装着し、可憐(かれん)な一品が完成した。「この前は十八個売れたと聞いて、やる気に満ちています」と女性が笑った。

 リハスでは、障害者の自立のために月五万円の工賃を目指している。現在は、土産用のしおりなどを作製しているが、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で打撃を受けるなど売り上げが安定しない。観光需要に左右されない商品作りを模索する中、金沢QOL支援センターが別の施設で取り組み、人気を集めているアクセサリー作りを、今年六月からリハスでも始めた。

 取り組むのは利用者十人。材料のプラスチックごみは愛知県内の海水浴場で集める。海岸には、ペットボトルやボールペンなどが散乱しているという。そこから、ごみにこびり付いた砂などを落とした後、細かく砕いて、アイロンで固めたり、はさみで形を整えたりして完成させる。

 さまざまな工程を必要とすることが、メリットにもなっている。リハスでは以前から書類やマスクを封筒に入れる作業を請け負っているが、求められる完成度が高く、取り掛かる前に尻込みする利用者も少なくない。一方、アクセサリー作りは工程が多いため、利用者に適した仕事を選択できる。

 日比さんは「できなくても、別の工程を任せることで自信をなくさない」と、あえて失敗してもよいと思っているといい、「作業が楽しいという利用者が増えた。前向きに仕事をしてくれている」と目を細める。
 完成品はインターネットサイトを中心に、三千円前後で販売している。日比さんは「時給に換算するとまだ単価は低いが、利用者の生活を支えるような事業に育てたい」と意気込む。

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