国連環境計画(UNEP)は9日公表した報告書で、2019年の世界の温室効果ガス排出量が二酸化炭素(CO2)換算で591億トンと、過去最大を更新したと発表した。このペースが続くと、今世紀末の気温は産業革命前と比べて平均3度上昇すると警告している。

温室効果ガス排出量は2010年から年平均1.4%増えているが、昨年は森林火災の多発などが原因で2.6%増に加速した。

UNEP幹部は、今年の気温は過去最高水準になるとの見通しを示した。

報告書は、今年はコロナ禍で旅行や経済活動が減ったため、排出量が7%減ると予想。ただ、これは2050年までの気温の上昇を0.01度抑える効果しかないとしている。

パリ協定は、産業革命前に比べて温暖化を2度未満、できれば1.5度未満に抑える長期目標を立てている。

報告書は、各国政府がコロナ禍に対応した経済政策として環境投資を進める結果、2030年の排出量が予想より25%少なくなる可能性があると指摘。これで温暖化が2度未満にとどまる確率は66%になるが、1.5度未満の目標には不十分だとした。

2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ化すると約束する国が増えていることについては、短期的に強力な政策を打ち出さなければ実効性がないと指摘。温暖化2度未満の目標を達成するには、パリ協定の下で各国が約束している対策を3倍に、1.5度未満の目標達成には5倍に、それぞれ強化する必要があるとした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06f5ee1c33b7d0b1f21f7da7a3059545774450f9