「一人でも生きていける」
そんな強気がいったいいつまで続くのか。
自分はまだ25歳だと高をくくっていた。30になったけどまだ大丈夫だと思っていた。
いずれ35歳になったときに、40じゃないからまだまだ自分は若いと思っているのだろう。
そうして40が目の前に見えてきたときに愕然とするんだ。
「自分は一体何を残してきたのだろう」

強気はやがて寂しさに取って代わる。太陽が闇に飲まれて夜になる様に。
けれどまた月が朝焼けに飲まれて、朝がやってくると思っているだろう。
勢いは弱気の雲に飲まれて、瞳の光彩は悲しみの涙に取って代わる。
どんな高尚な理念や理屈を並べ立てたところで、愛や温もりの前には風前の灯だ。
一体何と戦ってきたのか、どこかにフロンティアがあるとでも思っていたのか。
信じていたこと自体が、実は現実から逃げるためにすがりついていた影ではなかったのか。
目の前を覆っているベールを剥がして、外の世界を見てみようと思わないのか。