>>661
「残念ながらゲーデルの希望は満たされなかった。
 というのは10月29日にツェルメロはゲーデルに
 「親身あふれる手紙」への感謝を再び書き送った
 −その中で、(中略)ゲーデルの言明は
 「『プリンキピア・マテマティカ』の体系の証明可能な言明」
 のみに適用されるものだと理解したとしているからである。」
 
「このような言明について、ツェルメロはー適切なことにー
 可算無限個しか存在しないと言っている。
 しかしこのことを、彼はゲーデルが「有限主義的な制限」と呼ぶものを
 体系のすべての論理式(ツェルメロはこれが非可算無限個の全体をなす
 と誤解していた)に適用せずに、証明可能なものにのみ適用したからだ、
 と考えたようだ。」

「このようにツェルメロはゲーデルの結果について混乱したままだった。
 彼(ツェルメロ)はそれらの結果が、(中略)なんらかの形で
 人工的な基数の制限に依存していると信じていたのである。」

「ゲーデルはツェルメロの批判が出版物として表明された後になっても、
 自らの”誤り”を正そうとはしなかった。
 ゲーデルは公けの論争から本能的に身を引き、
 個人的にもこの問題にこれ以上労力を費やすことはなんにもならない
 と考えていた。
 しかし彼(ゲーデル)はカルナップにツェルメロの手紙を見せた。
 カルナップは、ゲーデルが事態を明確にしようとしていることを
 ツェルメロが「まったく誤解している」と見ることに賛成した。」