H3ロケット3号機は「もう試験機ではない」  著者:鳥嶋真也
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240416-2928258/

試験機2号機の飛行結果については、現在JAXAと三菱重工でつぶさにデータを分析しており、
3号機以降への反映事項があるかどうか結論を出していくとしている。
ただ、全体的に非常に良好な飛行だったことがわかっており、
離昇からロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)の分離まで、予測値とほとんど誤差なしで飛行したという。

3号機は、H3として初めて“試験機”がつかない、ただの3号機となる。
機体公開が行われた時点で、打ち上げ日時は「2024年度中」ということ以外は決まっていない。
搭載する衛星についても未定だが、プロジェクト・チームでは先進レーダー衛星「だいち4号(ALOS-4)」
を打ち上げることを見越して準備を進めているとした。
打ち上げ時期、実際に「だいち4号」を搭載するかどうかなどは、政府の委員会で決定されるのを待っている状況だという。
機体構成は決まっており、試験機1号機、2号機と同じ、H3-22Sとなる。
3号機ではまず、実際に打ち上げる前に「極低温点検(F-0)」を行う。

H3プロジェクトの当初の計画では、3号機から運用を三菱重工に移管することになっていた。
しかし、試験機1号機の打ち上げが失敗したことで計画が変わり、3号機は試験機ではないものの、
まだJAXAと三菱重工が共同で運用するという体制になっている。
ただ、三菱重工が主となって進められる部分については、徐々に任せるようにしていくとのことで、
現在その具体的な調整を進めている段階だという。

当初の2号機で使用する予定だった、30形態の第1段機体は、種子島宇宙センターで保管され続けている。
岡田氏は「とくに30形態は、22形態とは大きく異なる点がある。
そのため、30形態の打ち上げ前にはCFT (打ち上げのリハーサル)をやるなど、試験機的な要素が強くなる。
そのとき(体制などを)どう取り組むかは、三菱重工と相談することになる」とした。

新津氏はまた、H3の商業打ち上げについて、
「昨今、世界各国で新型ロケットの開発が遅れたり、スペースX一社が独占のような状態になっていたりし、
世界的に打ち上げの需要は高くなっており、そこにおいてH3は代替手段になりうる」と説明したうえで、
「試験機2号機の打ち上げより前から、諸外国からかなりの数の引き合いが来ている。
打ち上げが成功したことで、実際の契約締結に向け、話が進んでいる」と明らかにした。