人間の体内で、組織の発達を制御している重要物質の一つに「インスリン様成長因子1 (IGF-1)」というものがあります。

これは、成長ホルモンの刺激にともなって肝臓から分泌される物質で、筋肉や骨、内臓、神経など人体の多くの器官で細胞が成長するために必要不可欠なものとなっています。
しかし近年の研究により、IGF-1にはガン細胞の成長も促進させる可能性があることが明らかになってきています。

このIGF-1、若い時には体内で豊富に作られているのですが、65歳を過ぎたあたりから分泌量が急激に減少してゆき、
筋肉の衰えなどを誘発することが知られています。このことから研究グループは、
動物性タンパク質の摂取とそれに伴うIGF-1の分泌促進との均衡がガンの発生や死亡率の増加に影響しているという仮説を立て、
マウスを使ったモデル実験を行いました。

その結果、生後12週間(人間での中年期に相当)までにタンパク質を積極投与したマウスほどIGF-1レベルと
腫瘍の発生リスクがともに増加していることが確認され、また24週間以上の高齢マウスでタンパク質の投与を制限した場合でも、
同様の傾向が現れたとしています。