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糖質制限の第一段階では、完全に食生活を変えなければならない。
五穀断ちとして、木の実、種、果物などカロリーの低いものだけを口にする。
これと同時に、山ごもりして修行にも励まなければならない。 
この1,000日で、急激に脂肪が落ちていく。
糖質制限には湿気が大敵で、乾燥していればいるほど都合がいい。
次の段階で待つのはさらに過酷なダイエットである。
第二段階の1,000日間は木の皮と根だけを口にして命をつなぐ。
しかもそれすら徐々に量を減らしていく。
これを木食行という。
この間、もっぱら瞑想に時間を費やし、脂肪と筋肉はさらに削ぎ落とされていく。
この段階が終わる頃には、骨と皮だけの姿となる。
これまでの過酷な減量と長時間の瞑想によって、体脂肪と筋肉はほとんど残されていない。
しかし、それに満足せず、己を極限まで絞り尽くさなければならない。
そのために漆を飲む。
漆は食器などを美しく見せる天然の塗料であるが、非常に毒性が高い。
嘔吐、発汗、利尿といった作用があり、体の水分をさらに絞り出し、理想のコンディションが作られる。
鉦を手に地下3mほどの土の中に作られた小さな石室に入る。
これが土中入定だ。
ここは座禅を組むしかできないほどの狭さで、立つことも、体の向きを変えることもできない。石室で座禅を組み終わると、外にいる者がこれを埋めてしまう。
石室には竹筒で空気穴が作られている。
何も見えない狭い暗闇の中で、鉦を打ち鳴らしながらお経を唱え続ける。
これが鳴っていれば生きている証拠だ。
やがて鐘の音が聞こえなくなると、竹筒も取り外され、石室は完全に塞がる。
文字通りの墓になるのだ。
最後の1,000日は、石室の中に密閉された遺体がミイラ化する期間だ。
脂肪や筋肉がほとんどない遺体は通常通りには腐敗しない。
これこそが徹底した食事制限の効果であり、遺体は乾燥し、ミイラ化が進む。
1,000日後、石室から即身仏が掘り起こされる。
その後寺に祀られ、生き仏である即身仏として崇拝の対象となる。
こうして無事即身仏となった僧であるが、高次元へ精神を解き放ったのか、あるいはただ死んでいるのかどうかにかかわらず、彼自身が自らの成功を認識することはない。