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真鍋さんと同じ分野を研究していて、JAMSTEC=海洋研究開発機構で真鍋さんの部下だった
東京大学大気海洋研究所の阿部彩子教授は
「気候は総合的な物理現象であり、われわれの環境の基礎が
何によって成り立っているか探る学問だということが、
真鍋先生の業績によって評価されたことは意義深い」と話していました。

また「気候の問題をコンピューターを使って研究するという新しい学問に挑戦するのは、
非常に勇気がいったと思う。基本的な気候の問題を一から考え抜く姿勢がすばらしく、
物事を広く考えることと、とことん考えることのバランスが絶妙で、学ぶところが多かった」と話していました。


気象庁の異常気象分析検討会の会長で東京大学の中村尚教授は、
真鍋さんが在籍しているプリンストン大学に1991年から2年間、研究員として所属し、それ以来、親交があります。

中村教授は「同じ日本人の偉大な先輩で公私にわたりお世話になり、
感謝ということと、本当におめでとうございますと心からお伝えしたい」と話していました。

また、真鍋さんの業績について中村教授は
「国連のIPCC=『気候変動に関する政府間パネル』の報告書も最近出されましたが、
地球の気候を再現し、それに基づいて将来を予測するという、その礎を築かれたのが真鍋先生です。
今から40年以上も前の、計算資源が少ない時代に地球のエネルギーの流れをどう再現するのか、
リスクを覚悟の上で現実的な目標を見据えた哲学が卓越していたのだと思います」と述べました。

また、気象や気候の研究分野がノーベル物理学賞の対象とされたのは
今回が初めてですが、中村教授は
「これまで宇宙に関してはたくさんあるが、
大気の分野がノーベル賞の対象になる日が来ると思っていなかったので驚きました。
ノーベル賞という枠組みの中でわれわれの分野の研究が評価されたのは本当にありがたいし、うれしい。
地球の人類の将来に不可欠だというところを認めていただいたとのは本当にうれしいことです」と話していました。