*餓鬼には供養が届く

『原始仏典Ⅲ増支部経典8』(春秋社、103頁)にある「ジャーヌッソーイ」と
いう経典で、これを引用した学者の論文がネット上にありますから↓、
題名で検索して、24ページ以降に引用された経典を参照してください。
「パーリ四ニカーヤに説かれる先祖・施餓鬼供養」(藤本晃)

本当は信者さんたちに読んでほしいのは、藤本氏が引用した前半の
経典(藤本論文の22ページ~)なのだが、今回は回向がテーマですから、
25ぺージからの後半の経典を見てください。
在家信者のバラモンが、釈尊に祖霊祭に意味があるかどうかを質問した。
彼の祖霊祭とは年に三回、他の三人のバラモンを招待してもてなし、
先祖に供物をささげるものですから、先祖供養であり、回向です(27ページ)。
釈尊は、餓鬼(別訳では亡者)になっている先祖には供養が届くと述べています。

餓鬼供養に意味がある!回向できる!
信者さんたちはこの経典にきっと大喜びしているでしょうね。
だが、前から言っているように、釈尊が述べたことは述べたままに受け取り、
述べていないことに勝手な推測や願望で水増ししないことです。
なぜなら、阿含宗の先祖供養の話とはまったく違う。
冷静に読むなら、阿含宗の先祖供養や死者成仏、追善供養まで釈尊が
否定していることに気が付いて、ギョッするはずです。