碧巌録(へきがんろく)  第24則? 鉄磨到イ山 
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試(こころ)みに挙(こ)す看(み)
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注:
魔外(まげ):悪魔や外道。 天魔外道(てんまげどう)
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本則:
劉鉄磨、イ山(いさん)に到る。

山云く、「老ジ牛、汝来たれり」。
磨云く、「来日、台山に大会斎あり、和尚還って去るや」。

イ山、身を放って臥す。
磨すなわち出で去る。
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注:
劉鉄磨:イ山霊祐、仰山慧寂に参じた尼僧。「鉄磨」は鉄の臼にも喩えられる風格に対するあざ名。彼女はイ山の近くに庵を構えて住んでいたと伝えられる。
イ山:イ山霊祐(いさんれいゆう)禅師(771〜853)。百丈懐海禅師(748〜814)の法嗣でイ仰宗の開祖。
法系:六祖慧能→南嶽懐譲→馬祖道→百丈懐海→イ山霊祐→仰山慧寂
老ジ牛(ろうじぎゅう):年をとった雌牛(めうし)。
台山:五台山。山西省の東北部にある。文殊菩薩の霊地とされる中国仏教の三大霊山の一つ。五台山の地形は「釈迦の掌」に比喩される。
5本の指に対応する五つの嶺(最高峰は標高3,000mもある)に囲まれた手の掌に当たる所に百カ寺と言われる多数の寺が点在する。
我が国の慈覚大師円仁(794〜864、第三代天台座主)がここを訪れ「入唐求法巡礼行記」を著している。
大会斎:大勢の僧衆を集めて供養する法会。
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本則:
劉鉄磨がイ山(いさん)に来た。
イ山(いさん)は劉鉄磨がやって来るのを見て言った、「年老いた雌牛がやって来たな」。 と親しみを込めて言った。
鉄磨は言った、「明日五台山で大会斎があります。和尚さん、お出かけになりますか」。
これを聞いてイ山は大の字になってゴロリと横たわった。
これを見ると、鉄磨は、サッサと後も見ずに帰って行った。

☆ 老という言葉は中国では尊敬の意味も込められている

⇒ 愛顏愛語(えげんあいご)
  ケンカを売ってくる奴に、ニッコリして遠路の労をねぎらう。
  大安心の老和尚、大地に伏して、天地同根。
  さすがだ、とスタコラサッサ。

このあたりが、教科書か。

わたしは 柏の樹に抱きついてジャージャージャー とクマゼミ、だぁ。