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龍孫江の数学日誌 より追加
”今節の大きな目標は,「なぜ開写像/閉写像を連続と定義しなかったのか」を明らかにすることです”

http://blog.livedoor.jp/ron1827-algebras/archives/cat_1275732.html
龍孫江の数学日誌
連結性、連続性及び位相について

連結性, 連続性および位相について (その4)
2018年08月07日
今節の大きな目標は,「なぜ開写像/閉写像を連続と定義しなかったのか」を明らかにすることです. 使える道具と言えば開集合/閉集合と写像自身しかないのですから, 連続の定義に使えそうなのは「開集合の像がまた開集合である」か「開集合の逆像がまた開集合である」くらいしか思いつきません (正直に言えば, 思い付きはしますが幸せな結末は見えません). なぜ逆像が選ばれて像は選ばれなかったのでしょうか.

 連続性の場合には閉集合を用いた定義と開集合を用いた定義が同値でしたが, 開写像と閉写像は同値ではありません. 例は簡単な実数値連続関数で与えられます :

例 16.
2 次関数
f:R→R; f(x)=x^2, は閉写像だが開写像でない. 実際,
0 を含む開区間 (a,b), a<0<b, を考えれば, その f による像は
半開区間 [0,max(a^2,b^2))
であり, これは開集合ではない.
距離空間の場合には, やはり距離を用いて連続性を定義できます. 数学科の初年度で誰もが一度は苦しむ, 悪名高き
ϵ-δ 論法です.

ここで少し「アレ?」と感じます. さっきまで頻りに「逆像で定義する」と繰り返していたものがいつの間にか像の話にすり替わっています. その代わり, 直観的に我々が想像する連続写像には近付いているようにも思います. もっともこれは
ϵ-δ 論法ではさほど困難を感じなかったぼくの生存バイアスかもしれません.

以降は次回といたします. お楽しみに!

連結性, 連続性および位相について (その5)
2018年08月09日
前回は「連続性」にまつわる
3 つの定義をおさらいし, 点列連続性の定義から, 写像の連続性を
限りなく近付く点同士の像はまた限りなく近付く
ような写像と意味づけました.

 この直観的な意味を知ったうえで, まずは
ϵ-δ 論法の定義を見返しましょう.
ϵ-δ 論法の主たる眼目は「点
x の δ 近傍の像が f(x) の ϵ 近傍に包まれるようにできる」ですから,
これもまた「x に "近い" 点を f(x)
に "近い" 点に写す」というイメージを定式化したものだと言えそうです.
 しかし, 単に「δ 近傍の像が ϵ 近傍に包まれる」だけで
ϵ や δ に何の制約もない状況では, これは何がいいたいのか判りません。きわめて小さい正数
δ>0
をとっているのに,
ϵ がなかなか小さくできないようであれば,「x に "近い" 点を f(x)
に "近い" 点に写す」という看板に偽りありということになります.


つづく