>>396
>数学書は知識だけつまみ食いしようとしてもつまめません
>そういう書き方してないというかそもそも数学はそういうもんじゃないから
>「なぜ」を抜きにして「ハウツー」だけ教えてくれという人はいますが

・ふっw 落ちこぼれがえらそうに
・君は反面教師で、あんたのいう逆が正解だな ;p)
・河東氏は、阿佐田哲也「麻雀放浪記」とノンスタを読んで、作用素環の数学者になった
・コンヌは、ノンスタンダード・アナリシスの技法をそうでないように見せながら駆使してフィールズ賞論文を書いた
・数学でも知識は役に立つ。コンヌはノンスタを知ってフィールズ賞を取った

(参考)
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/suri2103.pdf
特集/研究者の本棚
私の読んだ本と私の書いた本 河東泰之 数理科学 2021

高校時代に数学,物理の次に好きで得意だったのは古文,漢文である.
また好きな小説三つを挙げると,村上春樹「ノルウェイの森」,阿佐田哲也「麻雀放浪記」,三島由紀夫「豊饒の海」である.
めちゃくちゃな組み合わせだがしかたがない.

当時の東大数学科の図書室は竜岡門から入った理学部5号館の7階を丸ごと使っていた.当時の私の図書室使用ルールは,入り口で入るときに中学の生徒証を出して預ける,中は自由に見てよいが本を読むときは受付横の一角の机を使う,本は借り出せない,コピーは1ページ10円で自分で取る,というものだった.

その頃読んだ本にW. Arveson, “An Invitation to C∗algebras” (Springer), がある.この本は友隣社で買って今も持っている作用素環の本で今に関係している.
正式に作用素環を専門として選んだのは大学4年生のセミナー選択の時だが,この本を読んでいたことはその選択に大きく影響したと思う.

同じくこの頃読んだ本にA. Robinson, “Nonstandard Analysis” (North-Holland Publishing), K. D. Stroyan, W. A. J. Luxemburg, “Introduction to the Theory of Infinitesimals” (Academic Press), がある.いずれも東大数学科の図書室で見て読み,さらに友隣社で買った本で今も持っている.これらはノンスタンダード・アナリシスの本である.特に前者は元祖のロビンソンの書いた本で,本人による理論の展開がなされている.

ロビンソンは数学基礎論が専門なのでもちろん,数学基礎論の部分がきっちり書かれていてハードな本であるが,関数解析などへの応用もいろいろ書かれており,興味深かった.
今考えてみると,ノンスタンダード・アナリシスの技法をそうでないように見せながら駆使したコンヌのフィールズ賞論文と同時期に書かれていることが興味深い.

私はこのように早くから色々な本を読んできたのだが,こうやって子供の頃から進んだ本を読むことは数学者として活躍するための必要条件でも十分条件でもない.どちらについても反例はたくさん知っている.しかし日本では飛び級がほぼできないため,数学オリンピック関係の行事などに行くと,こういう能力を持った少年少女たちは結構いることに気づくのに,そういう人たちの能力を生かす体制がほとんどないのは残念なことである.