楕円関数・テータ関数・モジュラー関数
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Vを整関数全体のなすC-ベクトル空間とする
ベクトル空間Vの自己同型全体のなす群をGL(V)で表す
τ∈Hを固定しておく
a,b∈Rに対して、線形写像S_b,T_aを
f(z)∈Vに対して
S_b f(z)=f(z+b)
T_a f(z)=○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ)
により定義すると,S_b,T_a∈GL(V)である
任意のb1,b2,a1,a2∈Rについて
S_b1・S_b2=S_b1+b2
T_a1・T_a2=T_a1+a2
である
S_bとT_aは可換に近いが実は異なる
S_b・T_a f(z)
=S_b(○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ))
=○(1/2*a^2τ+a(z+b))f(z+b+aτ)
T_a・S_b f(z)
=○(1/2*a^2τ+az)f(z+aτ+b)
つまり
S_b・T_a f(z)
=○(ab)T_a・S_b f(z) >>109
C1~*={c∈C||c|=1}と置く
写像
ρ:C1~*×R×R→GL(V) (c,a,b)→cT_a・S_b
を考えると、ρは単射で、像ImρはGL(V)の部分群
(c1T_a1・S_b1)・(c2T_a2・S_b2)
=c1c2○(a,b)T_a1+a2・S_b1+b2
(cT_a・S_b)^-1=c^-1○(a,b)T_a・S_b
つまり
(c1,a1,b1)・(c2,a2,b2)=(c1c2○(a1,b2),a1+a2,b1+b2)
(c,a,b)^-1=(c^-1○(ab),-a,-b)
C1~*×R×Rの上記の群構造をGと書く
GをHeisenberg群と呼ぶ
●命題3.4
1)群Gの中心はC1~*(=C1~*×{0}×{0})である
2)群Gの交換子群[G,G]はC1~*である
C1~*はGの中心であるので正規部分群であり
商群G/C1~*は2次元ベクトルの加法群R×Rである
つまり以下は完全列である
1→C1~*→G→R×R→0
量子力学における有名な定理
★定理3.1(von Neumann-Stone)
Gの既約ユニタリ表現 ρ:G→GL(W) で、
任意のc∈C1~*について ρ(c)=cId_W となるものが、
同型を除いて唯一つ存在する
(Id_WはWの恒等写像) >>109-110
さて、テータ関数とHeisenberg群の関係について述べる
(S_b・T_a)θ(z、τ)
=(S_b・T_a)Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+nz)
=S_b(○(1/2*a^2τ+az)Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+aτ))
=○(1/2*a^2τ+a(z+b))Σ(n∈Z) ○(1/2*n^2τ+n(z+b+aτ))
=θa,b(z,τ)
Γ={(1,a,b)∈G|a,b∈Z}とおけば、ΓはGの可換部分群
さらに整数l>=0に対して
lΓ={(1,a,b)∈G|a,b∈lZ}とおくと、lΓはΓの部分群で
(1,l,0)及び(1,0,l)によって生成される
ρ((1,l,0))=T_l,ρ((1,0,l))=S_lであるので
以下の命題を得る
●命題3.5
f(z)∈Vに関する次の条件は同値
1) f(z)はlΓ不変 つまりg∈lΓに対してg(f(z))=f(z)
2)S_l(f(z))=f(z),T_l(f(z))=f(z)
S_l(f(z))=f(z+l)
T_l(f(z))=○(1/2*l^2τ+lz)f(z+lτ)
であるので、補題3.1より、以下の結果を得る
●命題3.6
V_l={f(z)∈V|f(z)はlΓ不変} (>>107)
が成立する ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています