11月13日に元数学者グロタンディーク氏がお亡くなりなったことは皆さんもご存知でしょう。ここに哀悼の意を心から表します。
さて、私及び私の周辺もグロタンディーク氏の逝去を聞いて特に何らかの反応はありません。これは数学界にいる人なら皆同様だと思います。
つまり、数学者グロタンディーク氏は1970年までに終わっているからです。
逝去の報に接して、グロタンディーク素数がどうのこうの下らないことを言っている人はド素人だと断言出来ます。
因みに、私の知る限り、グロタンディーク素数のエピソードを裏付ける資料はありません。
おそらく、他の数学者が面白おかしくエピソードをジョークとして捏造したのではないかと思います。
と言うのは、グロタンディーク氏が具体的な数字を持ち出すことはあり得ないからです。
例えば、広中平祐博士は「グロタンディーク、彼は凄い人だ! 彼は方程式を見ない。
最初から大局的にすべてを見るだけだ。」("広中平祐博士へのインタビュー"より)と言っているのです。
また、グロタンディーク氏を個人的にも良く知っていたマイケル・アティヤ卿は「彼は弱点を持っていた。
彼は成層圏では他に誰も出来ない操縦を出来たが、地球上の彼の立場に自信が無かった。
つまり、具体例に彼は乏しく、同僚に供給して貰わなければならなかった。」
("ブルバキに関する2冊の本のAtiyah卿による書評"より)と言っています。
つまりは、グロタンディーク氏が、どういう場面か分かりませんけど、自ら具体的な数字を持ち出すはずがないのです。
また、具体的な数字に縛られるような理論をグロタンディーク氏が作るはずもなく、具体的な数字を上げなければ理解出来ない聴衆がグロタンディーク氏の講義に参加出来るはずもありません。
仮にそういう低レベルな聴衆がいたなら、グロタンディーク氏から公衆の面前で罵倒されていたでしょう。
これは私の大先生や大先輩方から聞いた茶飲み話です。