縁起の法はお釈迦様が教えられた、真の仏教の修行と呼べるものじゃ。
 通常の観察では連想記憶と今、ここにあるものの観察が混在したりするが、縁起の法では今、まさに起こっている心と体の動きを観察することが出来る。
 悟りを得る前の者でも、煩悩を離脱出来る故に、煩悩を破壊し、真の悟りに導く修行法と呼べるじゃろう。

 では判り易く一つずつ教えて行く事にしよう。

 縁起の中でも一番判りやすいのは、やはり接触によって生じる感覚であろう。
 接触によって感受が起こる、という一節じゃな。

 観察で紹介した鐘の音を聞く方法であれば、鐘の音を聞く、耳から音が聞こえた、音によって聞くという感覚が起こった、と観察する。
 音に因って起こされる感覚を詳細に観察するのじゃ。
 それが大きいのか、小さいのか、丁度いいのか、澄んだ音であるか、濁った音であるか、高い音であるか、低い音であるか、詳細に観察するのじゃ。
 音を聞く、聞いた音によって起こされた感覚を観察する。
 この連鎖を何度も観察すると、次第に慣れて来る。