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つづき

抽象化された世界は「美しい」

勝良さんは、さまざまな分野と関わりのある数学という分野の中でも、「純粋数学」と呼ばれる他の分野とは直接関係のない研究分野に関心を持ちながら、純粋数学の中ではさまざまな分野と関連するところに興味を持っている。博士論文では、作用素環論の中の「C*環論」と物理学に関連する「力学系」の交わる部分で、新しい視点を提供したが、最近は、哲学に近いといわれる集合論寄りの数学に興味を持っている。

本当に美しい数学というのは、後世に思ってもみない形で応用されることが少なくありません。私も後世に残る成果を残したいですね」と、勝良さんは意気込む。

今後は、C*環論だけでなく、力学系、整数論、集合論など、さまざまな分野の境界領域に研究対象を広げ、未解明な数学の新たな領域を切り拓いていきたいと展望を語った。

挫折を活かし数学力を強化

中学受験のときに挫折を味わいました。洛星中学・高校入学を目指して勉強していたのですが、入試のときに算数で1問だけどうしても解けない問題があって、その問題に固執するあまり、ほかの問題を見直さなかったら、たくさん計算ミスをしていたのです。

その前に東大寺学園に合格していて、受かったのが友達の中では私だけだったので、少し気が緩んでいたこともあるのでしょう。結局、友人たちは洛星へ、私だけが東大寺学園に行くことになりました。

東大寺学園は自由な校風でのびのびと勉強ができたこともあり、結果としてはよかったのですが、以来、数学の問題を解く際には、別の方法を使ったりして、3?4回答え合わせをするのが習慣になりました。中学受験での挫折がいい教訓になっています(笑)。

つづく