>>362
つづき

ルベーグの積分論
リーマン積分との関係
リーマン積分可能な関数はルベーグ積分可能であり, 両者の積分値は一致する.
ディリクレの不連続関数D(x) はリーマン積分できないが,
ルベーグ積分可能であって, その積分値はゼロである.
これは, 次のルベーグの収束定理のひとつの例にすぎない.

ルベーグの有界収束定理に対応するリーマン積分の定理は,
極限関数f (x) のリーマン積分可能性の条件のもとで,
アルツェラによって証明されていたが,
この条件が外せないこともまた,
ディリクレの不連続関数によってわかっていた.
この意味からすれば, リーマン積分と比較してのルベーグ積分の強みは,
ルベーグ可測関数の全体が各点での極限をとる操作のもとで閉じていることにある.

ハンケルがしくじったリーマン積分可能性についても明快に特徴づけが与えられる.
リーマン積分のルベーグの条件区間[a, b] で定義された関数がリーマン積分可能であるためには,
それが有界であり, かつ, 不連続点のなす集合のルベーグ測度がゼロであることが, 必要かつ十分である.
このルベーグの定理は, リーマンが書き残した条件を, 測度の理論を
用いて読み直せば, 自然に得られる. すなわち, リーマンの条件は,
本来測度論的なものであった. しかしリーマンの時代にはそもそも測度の理論がなかった.

つづく