週刊エコノミスト 2019年1月22日号
外国人労働者受け入れ拡大 「期限付き」で深まらぬ議論 その場しのぎでない共生策を=石原進
ttp://www.zasshi-online.com/magazine/ProductDetail/?page=1&dcode=shukan_economist4190115
ttps://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190122/se1/00m/020/035000c
 …(略)…かつて自民党内で議論された、ある提言を紹介したい。
「人材開国―日本型移民政策の提言―世界の若者が移住したいと憧れる国の構築に向けて」。作成したのは自民党外国人材
交流推進議員連盟(会長・中川秀直)だ。
     …(略)…
 …(略)…そのうえで、「50年間で1000万人規模の移民受け入れを達成すること」を大胆に提案したのだ。
     …(略)…
 この提言をめぐっては、右翼や保守議員から激しい反発があった。中川会長の事務所には抗議のメールや電話が殺到した。
後を追うように日本経団連が政策提言に「移民受け入れの検討」を盛り込んだところ、東京・大手町の経団連会館前に街宣車が
駆けつけ、批判を繰り広げた。
「移民」という言葉がイデオロギー化していた。政治的には「移民」をタブー視する傾向が強まった。マスメディアもその言葉の
使い方にデリケートになっていた。
 ところが、「移民」を堂々とタイトルに掲げる新聞連載が登場した。九州のブロック紙「西日本新聞」の「新移民時代」だ。16年
12月から約1年にわたる連載では、九州の深刻な人手不足を補うアジア人留学生や技能実習生の実態などを克明にルポした。
出稼ぎ留学生に頼らないと成り立たない日本語学校や地元企業、行政も大きなジレンマを抱えていた。
 単行本となった「新 移民時代」に注目したのが、菅義偉官房長官だ。菅官房長官は官僚にこの本を読ませ、西日本新聞社の
取材班キャップを呼んで勉強会を開いた。菅官房長官は「新 移民時代」が政府の政治決断の後押しをしたことを「毎日新聞」
のインタビューで認めている。
 安倍首相が「移民政策ではない」と繰り返すことで、保守層の反発を抑制したという指摘がある。