スケッチブックを閉じてベンチに置きました。そしてバスに乗り込みました。
けれど鈴本さんのことがどうも気になりました。私は次のバス停で降りました。
次のバス停とはいっても、距離にして3kmほどはあったと思います。
私は次のバスまで待つことにしました。

少し眠くなってウトウトした頃でしょうか。声が聞こえました。もちろん何と言っているかなんてわかりません。
でも姿が見える前から鈴本のような気がしてなりませんでした。
やがて鈴本さんが姿を見せました。スケッチブックを私に渡すと、手を合わせました。
私は口で自分の名前を伝えました。自分でも上手く聞こえないので伝わったかはわかりません。

帰り際、鈴本さんは自転車のベルを鳴らしました。
その音は、夏の風鈴のように美しく、やがて来る2学期の開始を告げるチャイムのような音でもありました。

(おわり)


庭さんスレ立てありがとうございます
そして皆さんお久しぶりです