素人レベルからでも投稿できる小説スレです
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です
投稿者は多大な時間と労力をかけて
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします
あとは作家さん各々の良心に従い思うままに書いてください
最後に、このスレの投稿される作品はすべてフィクションであり
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません
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探検
【物語】欅坂46の小説【エロも可】
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1名無しって、書けない?(家) (3段) (ワッチョイWW ff16-3bRD)
2019/06/30(日) 01:15:13.00ID:6+63nAnd0149ローシェンナ(千葉県) (ワッチョイW ff15-OvT2)
2019/07/18(木) 21:57:23.37ID:ZjMRIlu40 僕は言われたことをそのまま反復した。
「どうしてほしいんだろう?」
「質問に質問で返すなよ。」
ハワイアン柄は袖を触って言う。
至って冷静だ。
「ねぇ、なんですぐに返事しなかったか、気づいてよ」
扉が開いた。古いドアだ。随分音が五月蝿い。
「じゃあ、ね。」
家々に囲まれたホームにハワイアン柄は溶けて行く。
僕はすぐに答えられなかった自分を悔いた。
「そりゃ脈アリだね。いや、というか好きって言ってるようなもんじゃん。」
リビングの椅子へ逆向きに座り、スプーンを口にして答える。
「そうなの?」
鳩サブレを差し出す。頼まれたのだ。
「ありがと。そうでしょ。」
テーブルの上には付箋だらけの台本。
「舞台、近いの?」
「うん。来週からだし。」
「あれ?このまえは来月って言ってなかったっけ?」
「え?嘘だぁ。」
台本の表紙を見る。
「あ、ほんとだ来月からだ。焦ったぁ」
「ほんとポンコツだなぁ」
「うるさいなほんとに」
人差し指で小さく僕を指さす。
「次は主役なんだからね。愈々。」
胸を逸らしてふふん、と息を漏らし自慢げ。
「でも勘違いしてたでしょ、」
「ムカツクゥこいつ」
握り拳を作ってゆらゆらさせる。
口元の黒子が椎名林檎みたいと思う。
「でもさ。告白されるまえに、告白しなよ、あんた。」
「なんで?」
「そりゃぁ、そうでしょ?告白すんのってほんと緊張するんだからね。女子にそんなことさせるなってこと。」
「たまにはいい事いうじゃん」
「そうでしょ?」
「というか台本にアイス零れてるけど」
細かな活字に赤いボールペンの書き込み。
それを滲ませるバニラ。
「ああ、やっば。」
姉は、こういう人である。
ところで姉は現在下北沢の方で劇団員をやっている、立派な女優だ。
女優というのは優れた女と書くが、台本を無くす、約束をドタキャンする、アイスをこぼす、人の名前を間違えると三拍子いや、四拍子揃ったポンコツでけっして優れてはいないが、しかし何処を歩いていても華やかで目立つあたりやっぱり優れた女なのだろう。
カールの巻いたチョコレート色の髪はまるでどこかのお嬢様みたいだ。名前の玲香もそれに相応しい。
鳩サブレに夢中な姉を放り出して2階に行く。
「告白ねぇ」
そして僕は誰もいない部屋に寂しさを覚えながら独りごちた。
「どうしてほしいんだろう?」
「質問に質問で返すなよ。」
ハワイアン柄は袖を触って言う。
至って冷静だ。
「ねぇ、なんですぐに返事しなかったか、気づいてよ」
扉が開いた。古いドアだ。随分音が五月蝿い。
「じゃあ、ね。」
家々に囲まれたホームにハワイアン柄は溶けて行く。
僕はすぐに答えられなかった自分を悔いた。
「そりゃ脈アリだね。いや、というか好きって言ってるようなもんじゃん。」
リビングの椅子へ逆向きに座り、スプーンを口にして答える。
「そうなの?」
鳩サブレを差し出す。頼まれたのだ。
「ありがと。そうでしょ。」
テーブルの上には付箋だらけの台本。
「舞台、近いの?」
「うん。来週からだし。」
「あれ?このまえは来月って言ってなかったっけ?」
「え?嘘だぁ。」
台本の表紙を見る。
「あ、ほんとだ来月からだ。焦ったぁ」
「ほんとポンコツだなぁ」
「うるさいなほんとに」
人差し指で小さく僕を指さす。
「次は主役なんだからね。愈々。」
胸を逸らしてふふん、と息を漏らし自慢げ。
「でも勘違いしてたでしょ、」
「ムカツクゥこいつ」
握り拳を作ってゆらゆらさせる。
口元の黒子が椎名林檎みたいと思う。
「でもさ。告白されるまえに、告白しなよ、あんた。」
「なんで?」
「そりゃぁ、そうでしょ?告白すんのってほんと緊張するんだからね。女子にそんなことさせるなってこと。」
「たまにはいい事いうじゃん」
「そうでしょ?」
「というか台本にアイス零れてるけど」
細かな活字に赤いボールペンの書き込み。
それを滲ませるバニラ。
「ああ、やっば。」
姉は、こういう人である。
ところで姉は現在下北沢の方で劇団員をやっている、立派な女優だ。
女優というのは優れた女と書くが、台本を無くす、約束をドタキャンする、アイスをこぼす、人の名前を間違えると三拍子いや、四拍子揃ったポンコツでけっして優れてはいないが、しかし何処を歩いていても華やかで目立つあたりやっぱり優れた女なのだろう。
カールの巻いたチョコレート色の髪はまるでどこかのお嬢様みたいだ。名前の玲香もそれに相応しい。
鳩サブレに夢中な姉を放り出して2階に行く。
「告白ねぇ」
そして僕は誰もいない部屋に寂しさを覚えながら独りごちた。
150ローシェンナ(千葉県) (ワッチョイW ff15-OvT2)
2019/07/18(木) 21:58:09.74ID:ZjMRIlu40 特快が止まらない。そして、
国分寺、立川を目前に終点となる。
そのため武蔵小金井行きは死ぬほど評判が悪い。
総武線快速における津田沼行きみたいなものでどこへゆくにしても絶妙に中途半端なのである。
僕はそんな中途半端な武蔵小金井行きに乗ることを常としている。なぜなら、最寄り駅がその武蔵小金井駅だからである。そしてそのうえ、なんと言っても空いてる。
中央線快速はいつも通り通勤時間帯の混雑で8分遅れていた。数分の遅れなど中央線快速にとっては通常運転みたいなもんだ。
列車はさすが不人気なだけあって人がまばらで、僕は車内を見渡し颯爽と居眠りと決め込む。だから肩をつつかれた時は少々驚いた。
なぜか?乗り過ごしたと思ったからである。そのため、よく見りゃその正体が見慣れた顔じゃないかとわかって僕はほっ、とひと安心したのだ。
「これ、この前のシャツ返すね。ありがとう。」
「Next,stop is Mitaka.Left side will open.」
小声がアナウンスに被る。
そのせいで僕には、
「この前のシャツ side 。ありがとう、open」に聞こえる。心底可笑しい。
「どうも。」
GUと書かれた袋にそれは入っていて僕は袋ごと畳んでリュックに突っ込んだ。
「てっきり寝過ごしたかと思った。」
そう言うと、
「よく寝てたね。」
ひとつ飛ばしに空いた席がほとんど。しかしよく見れば先頭の車両は3人がけの端や真ん中が空いている。にもかかわらず僕の隣に座っている。
「どこから乗ってきたの?」
「うん?御茶ノ水。」
僕は東京駅から乗り、御茶ノ水に入線する数分の間で、可及的速やかに寝落ちしたらしい。
「そうなんだ。」
道理で右腕が暖かいわけだ。
「ねぇ、今度さ鎌倉行かない?」
「誰と?」
黙って僕の方を指さす。
「良いの?」
思わず訊ねる。こういうのは女友達とかと行くんじゃないのか。
「いいよ。ただし。」
少し無言になる。その間に東小金井駅へ滑り込む。つまり少し無言ではなくだいぶ無言だったわけだ。
「2人だけでね。尾関とか愛佳とか、誰にも内緒ね。」
その日は試験があったがそれどころではなくなった。
国分寺、立川を目前に終点となる。
そのため武蔵小金井行きは死ぬほど評判が悪い。
総武線快速における津田沼行きみたいなものでどこへゆくにしても絶妙に中途半端なのである。
僕はそんな中途半端な武蔵小金井行きに乗ることを常としている。なぜなら、最寄り駅がその武蔵小金井駅だからである。そしてそのうえ、なんと言っても空いてる。
中央線快速はいつも通り通勤時間帯の混雑で8分遅れていた。数分の遅れなど中央線快速にとっては通常運転みたいなもんだ。
列車はさすが不人気なだけあって人がまばらで、僕は車内を見渡し颯爽と居眠りと決め込む。だから肩をつつかれた時は少々驚いた。
なぜか?乗り過ごしたと思ったからである。そのため、よく見りゃその正体が見慣れた顔じゃないかとわかって僕はほっ、とひと安心したのだ。
「これ、この前のシャツ返すね。ありがとう。」
「Next,stop is Mitaka.Left side will open.」
小声がアナウンスに被る。
そのせいで僕には、
「この前のシャツ side 。ありがとう、open」に聞こえる。心底可笑しい。
「どうも。」
GUと書かれた袋にそれは入っていて僕は袋ごと畳んでリュックに突っ込んだ。
「てっきり寝過ごしたかと思った。」
そう言うと、
「よく寝てたね。」
ひとつ飛ばしに空いた席がほとんど。しかしよく見れば先頭の車両は3人がけの端や真ん中が空いている。にもかかわらず僕の隣に座っている。
「どこから乗ってきたの?」
「うん?御茶ノ水。」
僕は東京駅から乗り、御茶ノ水に入線する数分の間で、可及的速やかに寝落ちしたらしい。
「そうなんだ。」
道理で右腕が暖かいわけだ。
「ねぇ、今度さ鎌倉行かない?」
「誰と?」
黙って僕の方を指さす。
「良いの?」
思わず訊ねる。こういうのは女友達とかと行くんじゃないのか。
「いいよ。ただし。」
少し無言になる。その間に東小金井駅へ滑り込む。つまり少し無言ではなくだいぶ無言だったわけだ。
「2人だけでね。尾関とか愛佳とか、誰にも内緒ね。」
その日は試験があったがそれどころではなくなった。
151ローシェンナ(千葉県) (ワッチョイW ff15-OvT2)
2019/07/18(木) 21:59:55.39ID:ZjMRIlu40 「鎌倉好きなんだ、わたし。」
利用客が6万人くらいだからそこそこ人がいるのに、人がいない駅と勘違いされている武蔵小金井駅を出て大学へ歩く。本当はバスが近いが時間があるので歩くことにした。
「だからこの前の海も」
「そう。わたしが決めたの。ここ行きたいって。」
「そう言えばさ、告白の返事どうしたの?」
何の気なしにいちばん聞きたかったことを聞いた。
体の曲線がくっきりと現れたワインレッドのリブニットにイエローのロングスカートが夏の風に撫でられる。スタイルの良いからその服装がとても似合っている。たとえ小金井市から浮いていたとしても。
「断ったよ。」
電柱に視線を逃がして答えた。スレッドラインショルダーの白いバック。ショルダーのあたりを握り直す。
「そうなんだ。」
「鎌倉いつ行く? 」
携帯のカレンダーを確認する。結果的に再来週の木曜日になった。
「なににやにやしてんの?」
隣からそんな関西弁が聞こえる。
「にやにやってなに?」
「なにじゃないし。めっちゃにやけとったよ?」
きめ細やかな絹織物のような白い肌に大きくそして美しく濡れた眼が僕をのぞき込む。
黒のシャツが肌の白さを引き立たせている。
「そうかな?」
「なんかあったん?」
金色の髪がエアコンに当たって揺れる。
「いやなんにも。」
「えぇ、教えてくれへんの?けち。」
頬杖をついてそっぽを向く。
「まぁまぁ、そんな怒らんといてやみいちゃん」
「関西弁めっちゃムカつくんだけどぉ。あとうちのことその呼びかたしとるのあんただけやで」
iphoneのベゼルについた汚れを気にしながら、ポケットにしまい込んで言う。
「まぁ、いいじゃん。」
「同じ高校からここきたのうちとあんたとねるだけやからいいんやけど。」
机に付して首をふる。そうすると甘いシャンプーの香りが漂う。
「そういえばねるはどうしてんの?」
起き上がって僕に聞き返す。
聞こえなかったみたいで、もう一度言う。
頬に机の四角い跡を作りながらみいちゃんは答えた。
「うーん。スイスの大学に留学にいったみたいやけどなぁ。」
「よくわからないの?」
みいちゃんはうなづいて通路を見る。
気配に気づいたのか。
「土生ちゃーん」
と嬉しそうに頬を緩め声を大きく、
土生のもとへ行く。
そして空席になる隣の席。
あとにはエアコンのかび臭い香りと妙に爽やかな柔軟剤の残り香が漂う。
「あ、よかった空いてた」
授業が始まって15分ほど経って、騒がしい足音で尾関がやって来た。
そういって僕の隣に座る。
その瞬間、ふわりと日焼け止めの香りがした。
白のワンピースに髪はハーフアップで左右に下ろしている。
「ねぇ、理佐と鎌倉行くんでしょ?」
「…なんで?」
呆然とした。なんで知っているのか?
「理佐が嬉しそうにしてるから愛佳が問い詰めたらそう喋ってたよ」
無邪気にそう語る。
「誰にも内緒はどこにいったのか。」
僕はそう呟いてノートに目を落とした。
完
利用客が6万人くらいだからそこそこ人がいるのに、人がいない駅と勘違いされている武蔵小金井駅を出て大学へ歩く。本当はバスが近いが時間があるので歩くことにした。
「だからこの前の海も」
「そう。わたしが決めたの。ここ行きたいって。」
「そう言えばさ、告白の返事どうしたの?」
何の気なしにいちばん聞きたかったことを聞いた。
体の曲線がくっきりと現れたワインレッドのリブニットにイエローのロングスカートが夏の風に撫でられる。スタイルの良いからその服装がとても似合っている。たとえ小金井市から浮いていたとしても。
「断ったよ。」
電柱に視線を逃がして答えた。スレッドラインショルダーの白いバック。ショルダーのあたりを握り直す。
「そうなんだ。」
「鎌倉いつ行く? 」
携帯のカレンダーを確認する。結果的に再来週の木曜日になった。
「なににやにやしてんの?」
隣からそんな関西弁が聞こえる。
「にやにやってなに?」
「なにじゃないし。めっちゃにやけとったよ?」
きめ細やかな絹織物のような白い肌に大きくそして美しく濡れた眼が僕をのぞき込む。
黒のシャツが肌の白さを引き立たせている。
「そうかな?」
「なんかあったん?」
金色の髪がエアコンに当たって揺れる。
「いやなんにも。」
「えぇ、教えてくれへんの?けち。」
頬杖をついてそっぽを向く。
「まぁまぁ、そんな怒らんといてやみいちゃん」
「関西弁めっちゃムカつくんだけどぉ。あとうちのことその呼びかたしとるのあんただけやで」
iphoneのベゼルについた汚れを気にしながら、ポケットにしまい込んで言う。
「まぁ、いいじゃん。」
「同じ高校からここきたのうちとあんたとねるだけやからいいんやけど。」
机に付して首をふる。そうすると甘いシャンプーの香りが漂う。
「そういえばねるはどうしてんの?」
起き上がって僕に聞き返す。
聞こえなかったみたいで、もう一度言う。
頬に机の四角い跡を作りながらみいちゃんは答えた。
「うーん。スイスの大学に留学にいったみたいやけどなぁ。」
「よくわからないの?」
みいちゃんはうなづいて通路を見る。
気配に気づいたのか。
「土生ちゃーん」
と嬉しそうに頬を緩め声を大きく、
土生のもとへ行く。
そして空席になる隣の席。
あとにはエアコンのかび臭い香りと妙に爽やかな柔軟剤の残り香が漂う。
「あ、よかった空いてた」
授業が始まって15分ほど経って、騒がしい足音で尾関がやって来た。
そういって僕の隣に座る。
その瞬間、ふわりと日焼け止めの香りがした。
白のワンピースに髪はハーフアップで左右に下ろしている。
「ねぇ、理佐と鎌倉行くんでしょ?」
「…なんで?」
呆然とした。なんで知っているのか?
「理佐が嬉しそうにしてるから愛佳が問い詰めたらそう喋ってたよ」
無邪気にそう語る。
「誰にも内緒はどこにいったのか。」
僕はそう呟いてノートに目を落とした。
完
153名無しって、書けない?(東京MX) (ワッチョイ 7f25-DGEx)
2019/07/19(金) 23:46:39.61ID:5lN7/bUZ0 保守
「土田ニチャア」スレと「ジャップ」スレが異常に繁殖して、dat落ちしやすい状況になっているようなので保守しておきます。
「土田ニチャア」スレと「ジャップ」スレが異常に繁殖して、dat落ちしやすい状況になっているようなので保守しておきます。
154名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8f-hT5v)
2019/07/20(土) 11:21:49.77ID:brfx6ZGmK dat落ちリスク高まり中と聞いて
昨日描いた絵で保守しに来たけど
1枚あたり15分しかかけてない(通常の半分くらい)うえに
もはや48Gでも46Gでもない(笑)
http://o.5ch.net/1hvze.png
http://o.5ch.net/1hvzo.png
http://o.5ch.net/1hw0i.png
http://o.5ch.net/1hw0u.png
昨日描いた絵で保守しに来たけど
1枚あたり15分しかかけてない(通常の半分くらい)うえに
もはや48Gでも46Gでもない(笑)
http://o.5ch.net/1hvze.png
http://o.5ch.net/1hvzo.png
http://o.5ch.net/1hw0i.png
http://o.5ch.net/1hw0u.png
155コーラルレッド(茸) (スップ Sd5f-OvT2)
2019/07/20(土) 12:02:50.89ID:3HVcxOmVd お昼少し前の鎌倉駅には僕らの他に志田と尾関が居た。
「ごめん。」
秘密と言っておきながら喋ってしまった張本人の眼差しが必死に僕へ謝っていた。これは見なかったことにしよう。
「ねぇ、どこ行く理佐」
志田は眼差しで謝る人の腕を組んで馬鹿みたいにはしゃいでいる。
「えー、どこいこっかな」
駅前のロータリーを見回していう。
「なんかおち込んでるけど?」
僕の隣で尾関が何故か嬉しそうだ。
「逆になんでそっちは嬉しそうなんだよ」
「嬉しそう?そうかなぁ」
「先行くよ」
そうこうしているうちに外国人観光客の間をすり抜けて志田が先へゆく。
「行こうか」
尾関が短いブラウンの髪を後ろだけ束ねて言う。僕はその仕草を一瞥してしまった。
そして、そのときの妙な胸の緊張に知らないふりをした。
水彩画のような青空が頭上にどこまでも広がってゆく。
「ねぇ、落ち込んでる?」
コロッケを口いっぱい頬張りながら尾関は僕の顔をじっと見る。
「そりゃ…2人で行きたかったからね」
僕は観光客と修学旅行でひしめき合う小町通りの茶屋にあるベンチで呟く。
「でも理佐が喋ったのが原因だからね」
「でもなんで尾関までくるかね」
「愛佳が来てわたしが来ちゃダメなの?」
「まぁ…でも…」
通りの中でもやたら混雑してる和菓子屋があり、その店先の列に喋っちゃった人と志田がいる。気がつけばもうお昼で。だけどそんな気分じゃなかった。
「ねぇ、どっか行こうか…?2人で」
その言葉は突然だった。
「へっ?」
僕はそう聞き返すが、
「行こ」
とそれだけいい、僕の話を聞かず、手をとる。
項には、汗がガラス玉みたいに光る。
夏木立の雑踏が静寂に呑みこまれてゆく。
ざわめきを遠ざけて竹林が空に伸びる、タイル地の小路へ抜けた。
「ごめん…手…」
尾関はそっ、とはなそうとした。
「いや…いいよ、このままで」
僕は離そうとする手を握り直す。
「でも…」
尾関は何故か心配したような寂しいような顔で僕をじっとみる。
「ありがとう」
柔らかな感触がもどってくる。
「理佐のこと好きなんだ…よね」
「ああ…まぁ。」
アスファルトの反射熱で蒸された風の間で、そっと冷たい風がひと吹き。
尾関の髪を、撫でて山並に消えてゆく。
「理佐、好きなんだ…そっか、でも好きなんだけどな。」
「何?」
冷たい風に煽られて聞き返す。
「なんでもない。お腹すいたなぁ 」
尾関は急に僕の前に出て後ろ手を組んで空を見上げた。
「どこか入ろうか」
「うん」
尾関は振り向かずにそう言った。
僕は辺りに店が無いか探した。
その瞬間ポケットが震えた。
「ごめん。」
秘密と言っておきながら喋ってしまった張本人の眼差しが必死に僕へ謝っていた。これは見なかったことにしよう。
「ねぇ、どこ行く理佐」
志田は眼差しで謝る人の腕を組んで馬鹿みたいにはしゃいでいる。
「えー、どこいこっかな」
駅前のロータリーを見回していう。
「なんかおち込んでるけど?」
僕の隣で尾関が何故か嬉しそうだ。
「逆になんでそっちは嬉しそうなんだよ」
「嬉しそう?そうかなぁ」
「先行くよ」
そうこうしているうちに外国人観光客の間をすり抜けて志田が先へゆく。
「行こうか」
尾関が短いブラウンの髪を後ろだけ束ねて言う。僕はその仕草を一瞥してしまった。
そして、そのときの妙な胸の緊張に知らないふりをした。
水彩画のような青空が頭上にどこまでも広がってゆく。
「ねぇ、落ち込んでる?」
コロッケを口いっぱい頬張りながら尾関は僕の顔をじっと見る。
「そりゃ…2人で行きたかったからね」
僕は観光客と修学旅行でひしめき合う小町通りの茶屋にあるベンチで呟く。
「でも理佐が喋ったのが原因だからね」
「でもなんで尾関までくるかね」
「愛佳が来てわたしが来ちゃダメなの?」
「まぁ…でも…」
通りの中でもやたら混雑してる和菓子屋があり、その店先の列に喋っちゃった人と志田がいる。気がつけばもうお昼で。だけどそんな気分じゃなかった。
「ねぇ、どっか行こうか…?2人で」
その言葉は突然だった。
「へっ?」
僕はそう聞き返すが、
「行こ」
とそれだけいい、僕の話を聞かず、手をとる。
項には、汗がガラス玉みたいに光る。
夏木立の雑踏が静寂に呑みこまれてゆく。
ざわめきを遠ざけて竹林が空に伸びる、タイル地の小路へ抜けた。
「ごめん…手…」
尾関はそっ、とはなそうとした。
「いや…いいよ、このままで」
僕は離そうとする手を握り直す。
「でも…」
尾関は何故か心配したような寂しいような顔で僕をじっとみる。
「ありがとう」
柔らかな感触がもどってくる。
「理佐のこと好きなんだ…よね」
「ああ…まぁ。」
アスファルトの反射熱で蒸された風の間で、そっと冷たい風がひと吹き。
尾関の髪を、撫でて山並に消えてゆく。
「理佐、好きなんだ…そっか、でも好きなんだけどな。」
「何?」
冷たい風に煽られて聞き返す。
「なんでもない。お腹すいたなぁ 」
尾関は急に僕の前に出て後ろ手を組んで空を見上げた。
「どこか入ろうか」
「うん」
尾関は振り向かずにそう言った。
僕は辺りに店が無いか探した。
その瞬間ポケットが震えた。
156名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW ff15-OvT2)
2019/07/20(土) 12:03:41.84ID:3sgOX1aY0 保守がてら
157夢で逢えたら 第10話(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/20(土) 12:38:47.58ID:peKl4fvo0 「ちっ、エロいことしそこなっちゃったか」
駅に駆けてく年下の幼なじみ葵の後ろ姿をベランダから見送る夢の中で葵と新婚さんの俺
「まぁいいや、葵は葵としてもうひと眠りして理佐ちゃんとイチャイチャや」
なんて夢の中に居るの忘れて理佐ちゃんの夢を見ようと企む迂闊な俺
「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃん...は俺...の...よ...zzz」
見事夢の中でも夢見術実践しながら眠りにつく俺
「早く起きなよ!」
理佐ちゃんに逢おうと眠りにつく俺を揺り起こす葵
「う〜ん...せっかく会社バックレたんだからもう少し寝かせてくれ〜」
なんて布団にしがみつく俺
「なに寝惚けてんのよ!」
寝入りばな直後の俺を叩き起こす会社に行ったはずの幼妻葵
「寝惚けてねえよ〜お前こそ会社どうしたんだよ?」
なんて葵にブーたれる俺
「なんで中3の私と俺君に会社が関係あんのよ」
ブーたれる俺にボディープレスかます悪のりな葵
「うん!?中3と高2・・・」
狐につままれた気分とはこの事なりな俺
なんてこったい!?
夢の中で理佐ちゃんの夢見ようと寝たら現実の世界に戻って来ちまった!?
どうやら現実の世界で眠ると夢の中で目を覚まし、夢の中で眠ると現実の世界で目を覚ますらしい、、、
「いつまでも寝惚けてないで目を覚ましなよ...」
現実と夢の深淵な繋がりに呆然としながらも胡蝶の夢を地で行く俺を呆れながら苦笑いする葵
幼なじみゆえの安心感からか布団越しとはいえ俺の上に乗っかりながら笑う葵に
理佐ちゃんの夢は見れなかったけど葵と新婚さんな夢も悪くなかったな、、、
なんて胸の内で呟く俺なのであった、、、
つづく
駅に駆けてく年下の幼なじみ葵の後ろ姿をベランダから見送る夢の中で葵と新婚さんの俺
「まぁいいや、葵は葵としてもうひと眠りして理佐ちゃんとイチャイチャや」
なんて夢の中に居るの忘れて理佐ちゃんの夢を見ようと企む迂闊な俺
「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃん...は俺...の...よ...zzz」
見事夢の中でも夢見術実践しながら眠りにつく俺
「早く起きなよ!」
理佐ちゃんに逢おうと眠りにつく俺を揺り起こす葵
「う〜ん...せっかく会社バックレたんだからもう少し寝かせてくれ〜」
なんて布団にしがみつく俺
「なに寝惚けてんのよ!」
寝入りばな直後の俺を叩き起こす会社に行ったはずの幼妻葵
「寝惚けてねえよ〜お前こそ会社どうしたんだよ?」
なんて葵にブーたれる俺
「なんで中3の私と俺君に会社が関係あんのよ」
ブーたれる俺にボディープレスかます悪のりな葵
「うん!?中3と高2・・・」
狐につままれた気分とはこの事なりな俺
なんてこったい!?
夢の中で理佐ちゃんの夢見ようと寝たら現実の世界に戻って来ちまった!?
どうやら現実の世界で眠ると夢の中で目を覚まし、夢の中で眠ると現実の世界で目を覚ますらしい、、、
「いつまでも寝惚けてないで目を覚ましなよ...」
現実と夢の深淵な繋がりに呆然としながらも胡蝶の夢を地で行く俺を呆れながら苦笑いする葵
幼なじみゆえの安心感からか布団越しとはいえ俺の上に乗っかりながら笑う葵に
理佐ちゃんの夢は見れなかったけど葵と新婚さんな夢も悪くなかったな、、、
なんて胸の内で呟く俺なのであった、、、
つづく
158庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/20(土) 12:40:26.19ID:peKl4fvo0 俺も保守がてらw
159庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/20(土) 12:45:07.55ID:peKl4fvo0160名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8f-hT5v)
2019/07/20(土) 14:28:42.77ID:brfx6ZGmK >>159
誰だか気になった大阪府先生が調べてくれるかも知れませんが(笑)
現在、4枚目の絵の服と髪飾り違いみたいな写真が表紙になったファッション関係の雑誌が書店に並んでまして
普段はこんな感じの子です
http://o.5ch.net/1hhz4.png
誰だか気になった大阪府先生が調べてくれるかも知れませんが(笑)
現在、4枚目の絵の服と髪飾り違いみたいな写真が表紙になったファッション関係の雑誌が書店に並んでまして
普段はこんな感じの子です
http://o.5ch.net/1hhz4.png
161七夕(千葉県) (ワッチョイ ff15-omgX)
2019/07/20(土) 16:44:14.60ID:3sgOX1aY0 七夕に間に合わせようとして間に合わなかったものを供養がわりに
162七夕(千葉県) (ワッチョイ ff15-omgX)
2019/07/20(土) 16:45:42.99ID:3sgOX1aY0 「願い事?無いなぁ。」
飛鳥はそう言って笹の葉を指先で弄んだ。
「ほんとに何にも無い?」
そう聞くと弄ぶのをやめて
「無いよ。天の川にお願いしなきゃ叶わないような願い事なんて。」
「じゃあ天の川にお願いしなきゃいけないようなことじゃ無い願い事はあるんだ。」
訊かれると思ってなかったのか。飛鳥は上を向いて黙る。鼠色の曇天。彦星はどうやら会えそうに無い。
「ううん。願い事?そうだなあ・・・・あ、じゃあ・・・いやなんでも無い」
飛鳥は少し頬を緩ませたがそれを僕に見られていたと知るとすぐさま表情を固くする。
「あれ。飛鳥さんどうしたんですか」
僕の背後で声がする。それは全く突然のこと。
「あら。織姫がいらっしゃったじゃないですか」
僕の背後を見て飛鳥はそういう。振り向くと奴がいた。
そうねるだ。一応現在付き合っているということになっている。
「じゃ、私はこの辺で」
飛鳥は此れ幸いとキャンパスの正門へ小走りにさっていった。
「ねぇ、飛鳥さんと何話してたと?」
飛鳥が居なくなるとねるは僕の眼の前に現れてじっと僕を見る。
「なんでも無いよ。」
「怪しい。」
ジトッとした目で僕を見る。
「話があるの。」
ねるはそう言って僕をじっと見た。
「へえ。で別れたと。」
飛鳥は”モンブランとイチゴのカスタードワッフル”を小さな口をフル稼働させて食べる。それは小動物みたいで思わずじっとみてしまう。
「なんだよ。」
「いやなんでも無い。」
「ふうん。あっそ。」
「ところでさ。この前の願い事って何?」
「願い事?」
「願い事ねぇ。うん。それ聞いてどうすんの?」
「どうもしないよ」
どうもしないねえ。
飛鳥は僕の言葉を反復してワッフルのひとかけらを味わう。
上を向いて、ゆっくりと。惜しむように。黒髪を耳にかけて。
「でももう七夕終わりなんですけど。」
「まあそりゃあね。」
「ね。ところで私が好きな人って誰だかわかる?」
大学の学生ホール。喧騒は消えて僕らだけになる。
「誰よ。」
「質問に質問で返すなよ。今野かよ」
飛鳥はジトッとした目で僕を見る。
「言っとくけど。お前じゃ無いからな。」
飛鳥はしっかりそう宣言する。
しかしその後で’’そんなこともないけど’’とつけたしたのを聞き逃さなかった。
「実はさ。あんたの”元”カノの長濱先生、好きだったの。私。」
「ああ?」
椅子を引いて立ち上がる。また雑踏が戻る。飛鳥はその様子を見て笑う。
「アッハッハハッハ。うそうそ。」
さらに続けて、
「約束したじゃん。忘れた?」
「いつ?」
飛鳥は思いっきり不機嫌になる。珍しい。
「だから長濱先生にも嫌われるわけですよ。」
飛鳥は後ろ髪を持ち上げて腕に巻いていたゴムで髪を束ねる。
「もしもあなたが振られたらその後釜に私がなるって言ったの忘れた?」
「え?」
記憶にございませんとはいえない。その場で固まった。
飛鳥はそう言って笹の葉を指先で弄んだ。
「ほんとに何にも無い?」
そう聞くと弄ぶのをやめて
「無いよ。天の川にお願いしなきゃ叶わないような願い事なんて。」
「じゃあ天の川にお願いしなきゃいけないようなことじゃ無い願い事はあるんだ。」
訊かれると思ってなかったのか。飛鳥は上を向いて黙る。鼠色の曇天。彦星はどうやら会えそうに無い。
「ううん。願い事?そうだなあ・・・・あ、じゃあ・・・いやなんでも無い」
飛鳥は少し頬を緩ませたがそれを僕に見られていたと知るとすぐさま表情を固くする。
「あれ。飛鳥さんどうしたんですか」
僕の背後で声がする。それは全く突然のこと。
「あら。織姫がいらっしゃったじゃないですか」
僕の背後を見て飛鳥はそういう。振り向くと奴がいた。
そうねるだ。一応現在付き合っているということになっている。
「じゃ、私はこの辺で」
飛鳥は此れ幸いとキャンパスの正門へ小走りにさっていった。
「ねぇ、飛鳥さんと何話してたと?」
飛鳥が居なくなるとねるは僕の眼の前に現れてじっと僕を見る。
「なんでも無いよ。」
「怪しい。」
ジトッとした目で僕を見る。
「話があるの。」
ねるはそう言って僕をじっと見た。
「へえ。で別れたと。」
飛鳥は”モンブランとイチゴのカスタードワッフル”を小さな口をフル稼働させて食べる。それは小動物みたいで思わずじっとみてしまう。
「なんだよ。」
「いやなんでも無い。」
「ふうん。あっそ。」
「ところでさ。この前の願い事って何?」
「願い事?」
「願い事ねぇ。うん。それ聞いてどうすんの?」
「どうもしないよ」
どうもしないねえ。
飛鳥は僕の言葉を反復してワッフルのひとかけらを味わう。
上を向いて、ゆっくりと。惜しむように。黒髪を耳にかけて。
「でももう七夕終わりなんですけど。」
「まあそりゃあね。」
「ね。ところで私が好きな人って誰だかわかる?」
大学の学生ホール。喧騒は消えて僕らだけになる。
「誰よ。」
「質問に質問で返すなよ。今野かよ」
飛鳥はジトッとした目で僕を見る。
「言っとくけど。お前じゃ無いからな。」
飛鳥はしっかりそう宣言する。
しかしその後で’’そんなこともないけど’’とつけたしたのを聞き逃さなかった。
「実はさ。あんたの”元”カノの長濱先生、好きだったの。私。」
「ああ?」
椅子を引いて立ち上がる。また雑踏が戻る。飛鳥はその様子を見て笑う。
「アッハッハハッハ。うそうそ。」
さらに続けて、
「約束したじゃん。忘れた?」
「いつ?」
飛鳥は思いっきり不機嫌になる。珍しい。
「だから長濱先生にも嫌われるわけですよ。」
飛鳥は後ろ髪を持ち上げて腕に巻いていたゴムで髪を束ねる。
「もしもあなたが振られたらその後釜に私がなるって言ったの忘れた?」
「え?」
記憶にございませんとはいえない。その場で固まった。
163名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 4fb7-F28L)
2019/07/20(土) 18:43:39.57ID:1V9Jqssb0164名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (選挙行ったか? KK8f-hT5v)
2019/07/21(日) 18:33:51.75ID:6JU/eAo0KVOTE 保守のついでに
>>163解説
『=LOVE(イコールラブ)』
代々木アニメーション学院というところのバックアップによって出来た12人組の女子アイドルグループ
プロデューサーはあの指原莉乃
アイドル兼声優を目指すというコンセプトで指原はオーディションの段階から関わっており、楽曲の選考と作詞も手がけている
因みに指原にお鉢が回ってきた大きな理由は秋元氏が代々木アニメーション学院のお偉いさんになったから
最近≠ME(ノットイコールミー)という同じく12人組の妹分グループもできて、この夏のアイドルフェスにも初登場する模様
>>163解説
『=LOVE(イコールラブ)』
代々木アニメーション学院というところのバックアップによって出来た12人組の女子アイドルグループ
プロデューサーはあの指原莉乃
アイドル兼声優を目指すというコンセプトで指原はオーディションの段階から関わっており、楽曲の選考と作詞も手がけている
因みに指原にお鉢が回ってきた大きな理由は秋元氏が代々木アニメーション学院のお偉いさんになったから
最近≠ME(ノットイコールミー)という同じく12人組の妹分グループもできて、この夏のアイドルフェスにも初登場する模様
165名無しって、書けない?(千葉県) (選挙行ったか?W ff15-OQql)
2019/07/21(日) 19:34:02.58ID:2nFO00Wt0VOTE 携帯変えてメモが消えそうな保守
166庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/22(月) 09:32:22.05ID:PVastFvC0 >>163
当初の予定では直ぐにでも理佐ちゃんがメインになるはずが何故かスローな展開になってますw
当初の予定では直ぐにでも理佐ちゃんがメインになるはずが何故かスローな展開になってますw
167夢で逢えたら 第11話 前編(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/22(月) 13:30:48.61ID:PVastFvC0 「OLの私が夢に出てきたんだw」
我が家の居間で炬燵に温まりながら無神経に笑う年下の幼なじみ葵
「OLの私どうだった?」
葵に誘われ炬燵に入る俺に夢の詳しい内容を聞いてくる葵
「あんまり覚えてないけど遅刻しそうだ〜!?って叫びながら駅に駆けってたぜ・・・」
照れくさいので新婚さんだったことは言わずに適当にはぐらかす俺
「ちゃんと覚えててよ」
なんて頬を膨らまし炬燵の中で俺の足を蹴るおきゃんな葵
「夢なんてあやふやなんだから仕方ないだろ」
手加減しながら蹴り返す優しい俺
「何才ぐらいだったのかな・・・OLだったら大人っぽかった?」
などと目を輝かすもなんだったら現状小2に見える葵に
「小2に見えたよ」
なんて夢の中では俺が26才だったから葵は24才でそれなりに大人っぽく見えたが正直には答えない思春期特有な複雑さを見せる俺
「もう!バカ!」
再び頬を膨らませミカンを投げてくる葵
やはりガキだな、、、
たとえ一時とはいえこんなお子ちゃまと新婚さんになる夢を悪くないなんて思った自分に後悔する俺
「俺君は何やってたの?」
膨れっ面になりながらも俺のためにミカン剥いてくれる葵
「何やってたかな・・・?覚えてないや」
やはりはぐらかす都合良く記憶喪失になる俺
「頼りないなぁ」
なんて呆れ顔する葵
我が家の居間で炬燵に温まりながら無神経に笑う年下の幼なじみ葵
「OLの私どうだった?」
葵に誘われ炬燵に入る俺に夢の詳しい内容を聞いてくる葵
「あんまり覚えてないけど遅刻しそうだ〜!?って叫びながら駅に駆けってたぜ・・・」
照れくさいので新婚さんだったことは言わずに適当にはぐらかす俺
「ちゃんと覚えててよ」
なんて頬を膨らまし炬燵の中で俺の足を蹴るおきゃんな葵
「夢なんてあやふやなんだから仕方ないだろ」
手加減しながら蹴り返す優しい俺
「何才ぐらいだったのかな・・・OLだったら大人っぽかった?」
などと目を輝かすもなんだったら現状小2に見える葵に
「小2に見えたよ」
なんて夢の中では俺が26才だったから葵は24才でそれなりに大人っぽく見えたが正直には答えない思春期特有な複雑さを見せる俺
「もう!バカ!」
再び頬を膨らませミカンを投げてくる葵
やはりガキだな、、、
たとえ一時とはいえこんなお子ちゃまと新婚さんになる夢を悪くないなんて思った自分に後悔する俺
「俺君は何やってたの?」
膨れっ面になりながらも俺のためにミカン剥いてくれる葵
「何やってたかな・・・?覚えてないや」
やはりはぐらかす都合良く記憶喪失になる俺
「頼りないなぁ」
なんて呆れ顔する葵
168夢で逢えたら 第11話 後編(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/22(月) 13:31:19.15ID:PVastFvC0 「という訳で冬休み最後の日にお前に構ってる暇はない」
葵に宣告して再び夢の中に赴こうと炬燵で横になる俺
「何がという訳でなのよ、馬鹿らしいから夢見術なんて止めちゃいなよ、たいして効果ないじゃん」
そんな俺を横目に見ながら呟きミカンを口に放り込む葵
「効果は出とるんじゃ」
葵と新婚生活してるという夢の設定に『理佐ちゃんは俺の嫁!』という夢見術の呪文の効果を確信した俺
「効果って当て逃げされたのが効果なのww」
何を勘違いしたのか腹を抱えて笑い出すやはり小2やないかい!な葵
「笑ってんじゃねえ、お前が嫁で登場しなければ理佐ちゃんと新婚生活してる夢が見れたはずなんじゃ!」
笑う葵に挑発されてうっかり覚えてないはずの夢の内容を喋ってしまう粗忽な俺
めっちゃ恥ずかしい、、、
なんて後悔半端ない俺
「ごめん・・・そんな夢見てるなんて知らなかったから・・・」
何故か俺より遥かに恥ずかしそうな葵
夢で見た葵との新婚生活が現実になるのも悪くないかも知んないなんて思いながら炬燵に丸まる俺なのだ、、、
つづく
葵に宣告して再び夢の中に赴こうと炬燵で横になる俺
「何がという訳でなのよ、馬鹿らしいから夢見術なんて止めちゃいなよ、たいして効果ないじゃん」
そんな俺を横目に見ながら呟きミカンを口に放り込む葵
「効果は出とるんじゃ」
葵と新婚生活してるという夢の設定に『理佐ちゃんは俺の嫁!』という夢見術の呪文の効果を確信した俺
「効果って当て逃げされたのが効果なのww」
何を勘違いしたのか腹を抱えて笑い出すやはり小2やないかい!な葵
「笑ってんじゃねえ、お前が嫁で登場しなければ理佐ちゃんと新婚生活してる夢が見れたはずなんじゃ!」
笑う葵に挑発されてうっかり覚えてないはずの夢の内容を喋ってしまう粗忽な俺
めっちゃ恥ずかしい、、、
なんて後悔半端ない俺
「ごめん・・・そんな夢見てるなんて知らなかったから・・・」
何故か俺より遥かに恥ずかしそうな葵
夢で見た葵との新婚生活が現実になるのも悪くないかも知んないなんて思いながら炬燵に丸まる俺なのだ、、、
つづく
169名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8f-hT5v)
2019/07/22(月) 23:30:21.85ID:/dropXAxK 保守ついでの
>>163解説後編
『IZ*ONE(アイズワン)』
韓国で放送されている「プロデュース101」という番組の特別編「プロデュース48」からできた12人組の日韓混成のアイドルグループ
番組の趣旨はアイドルグループ候補生たちの練習風景や課題の成果・パフォーマンスなどを番組視聴者が審査し、その投票結果でメンバーが選別されるスタイルで、この企画にAKBGから40名弱が参加し、最終的には3人が残った
3人は2年半IZ*ONE専任で活動する契約になっている
日本でも曲を出しているので日本の音楽番組出演やコンサート、CDショップなどでのイベントも比較的頻繁に行われているようです
>>163解説後編
『IZ*ONE(アイズワン)』
韓国で放送されている「プロデュース101」という番組の特別編「プロデュース48」からできた12人組の日韓混成のアイドルグループ
番組の趣旨はアイドルグループ候補生たちの練習風景や課題の成果・パフォーマンスなどを番組視聴者が審査し、その投票結果でメンバーが選別されるスタイルで、この企画にAKBGから40名弱が参加し、最終的には3人が残った
3人は2年半IZ*ONE専任で活動する契約になっている
日本でも曲を出しているので日本の音楽番組出演やコンサート、CDショップなどでのイベントも比較的頻繁に行われているようです
170名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/23(火) 21:18:18.87ID:2lMc4DoN0 あげ
171名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK8f-hT5v)
2019/07/24(水) 14:11:04.15ID:RenjBSnhK Yahoo!ニュースでやっとねるが卒業することを知りましたという保守
172夏は理佐ちゃんの季節(家) (ワッチョイWW 8f16-Uo1s)
2019/07/24(水) 14:36:37.38ID:CikRAAJx0 >>171
情弱が過ぎますぞw
情弱が過ぎますぞw
173名医長沢(千葉県) (ワッチョイW ff15-Iv9J)
2019/07/24(水) 16:34:23.58ID:ljkKLlQh0 「バラバラに散らばる〜」
長沢は鼻歌を歌いながらメスを指揮棒みたいに振る。
「電メス持ちながら花葬歌うなよ。」
そう言った彼女は左右に垂れた細い髪に細い躯。白のシャツにジーンズ、青のキャップを被っている。
「いいじゃん」
長沢は電メスを診療台の上に置くとクーラーのリモコンを探す。
「ねぇ、この病院って人来るの?」
「来るよ。5年に一度」
「万博かよ。ここはなんかのパビリオンになるんかい」
「相変わらずゆいぽんツッコミスキル高いね」
先程登場したシャツにジーンズのオシャレな人物は長沢の近所でカフェをやっているゆいぽんこと小林由依である。
この医院は基本的に小林を追いかける織田と小林が交互に訪れることによって成り立っている。物語が。
「カフェの方はどうなの?」
長沢は前髪を指先で掻き分けて言う。
「喋り方HYDEに寄せるなよ 」
ゆいぽんはそういって目を細める
「違うよタモリのモノマネしてるコージー冨田だよ」
「誰がわかるんだよ」
こんな会話をいっつもしている。
窓の外は梅雨明けの突き抜けた青空が広がり、その下では蝉が呆れたようにないていた。
長沢は鼻歌を歌いながらメスを指揮棒みたいに振る。
「電メス持ちながら花葬歌うなよ。」
そう言った彼女は左右に垂れた細い髪に細い躯。白のシャツにジーンズ、青のキャップを被っている。
「いいじゃん」
長沢は電メスを診療台の上に置くとクーラーのリモコンを探す。
「ねぇ、この病院って人来るの?」
「来るよ。5年に一度」
「万博かよ。ここはなんかのパビリオンになるんかい」
「相変わらずゆいぽんツッコミスキル高いね」
先程登場したシャツにジーンズのオシャレな人物は長沢の近所でカフェをやっているゆいぽんこと小林由依である。
この医院は基本的に小林を追いかける織田と小林が交互に訪れることによって成り立っている。物語が。
「カフェの方はどうなの?」
長沢は前髪を指先で掻き分けて言う。
「喋り方HYDEに寄せるなよ 」
ゆいぽんはそういって目を細める
「違うよタモリのモノマネしてるコージー冨田だよ」
「誰がわかるんだよ」
こんな会話をいっつもしている。
窓の外は梅雨明けの突き抜けた青空が広がり、その下では蝉が呆れたようにないていた。
174夏は理佐ちゃんの季節(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/25(木) 08:22:19.09ID:N9HgViXI0 あげ
175名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (FAX! KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 00:22:10.57ID:xXQSsx+dKFOX 疲れながらとりあえず保守
176【Happy Home(1)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 13:45:20.45ID:xXQSsx+dK 「じゃあ、次は明後日ね」
「ありがとうございました」
そういう会話をしながら聴診器や点滴の道具を手際よく鞄につめて、先生は部屋を出て行った。
バタン…
閉じられた扉の向こうで今度はママの声。
「先生ありがとうございました。もう迎えは来てますので」
私の部屋に窓がないのでわからないけど、今日も外は大雨らしい。先生を乗せた車がバシャバシャとすごい水音をたてていたもの。
もう、どのぐらい経ったんだろう。1か月ぐらいかな。
たしかにそれまで私、頑張りすぎてたかも知れない。
地下アイドルからあのグループのメンバーになって、自分なりに頑張って注目してもらえたけど、いろいろ辛い目にもあって休んで、結局辞めることになって。
卒業後もグラビアとか舞台とか懸命に取り組んで。
この数年間、心も体も休まらなかったもんね…。
そしてある日突然高熱を出して全く動けなくなって、朦朧として意識を失って…気が付いたらこうして家のベッドで寝てた。
私が目をさましたとき、ママが号泣してた。
その時はとてもとてもホッとして嬉しかったけど、同時にものすごく申し訳なくて
「ごめんなさい!ごめんなさい!」って泣き叫んでしまったのを覚えてるなあ。
その日から私はこの部屋から出られず…ていうか、ベッドから降りる体力も無くて、こうして先生の往診を受けながら点滴してもらってるわけで。
左肘の点滴痕に貼られた絆創膏を撫でながら、さらに細くなった腕を見てため息をつく私。
先生も「慢性疲労ですね」としか言ってくれないけど、いつになったらよくなるのかなあ…?
…とか考えていたら
トントン…ガチャ
私が返事する前にママが何やら持って入ってきた。
「何その薄気味悪い飲み物?」
「タピオカっていうらしいわよ。今、若い女子に大ブームだって聞いて。まだなかなか食欲わかないみたいだからこういうのもどうかって思って」
「ありがとう…うわ!超甘いじゃん」
「すごいカロリーらしいわよ。体力もつくかも」
「ていうかさ、こうして毎日ベッドでじっとしてたら食欲わくわけないじゃん」
「でも運動だって先生の許可がないと」
「せめてトイレに行くぐらいはなんとかならないのかな」
「ママが全てやってあげてるでしょ」
「そう言う問題じゃなくてさ…」
私がそう言うと、ママの目から突然涙が…。
「ありがとうございました」
そういう会話をしながら聴診器や点滴の道具を手際よく鞄につめて、先生は部屋を出て行った。
バタン…
閉じられた扉の向こうで今度はママの声。
「先生ありがとうございました。もう迎えは来てますので」
私の部屋に窓がないのでわからないけど、今日も外は大雨らしい。先生を乗せた車がバシャバシャとすごい水音をたてていたもの。
もう、どのぐらい経ったんだろう。1か月ぐらいかな。
たしかにそれまで私、頑張りすぎてたかも知れない。
地下アイドルからあのグループのメンバーになって、自分なりに頑張って注目してもらえたけど、いろいろ辛い目にもあって休んで、結局辞めることになって。
卒業後もグラビアとか舞台とか懸命に取り組んで。
この数年間、心も体も休まらなかったもんね…。
そしてある日突然高熱を出して全く動けなくなって、朦朧として意識を失って…気が付いたらこうして家のベッドで寝てた。
私が目をさましたとき、ママが号泣してた。
その時はとてもとてもホッとして嬉しかったけど、同時にものすごく申し訳なくて
「ごめんなさい!ごめんなさい!」って泣き叫んでしまったのを覚えてるなあ。
その日から私はこの部屋から出られず…ていうか、ベッドから降りる体力も無くて、こうして先生の往診を受けながら点滴してもらってるわけで。
左肘の点滴痕に貼られた絆創膏を撫でながら、さらに細くなった腕を見てため息をつく私。
先生も「慢性疲労ですね」としか言ってくれないけど、いつになったらよくなるのかなあ…?
…とか考えていたら
トントン…ガチャ
私が返事する前にママが何やら持って入ってきた。
「何その薄気味悪い飲み物?」
「タピオカっていうらしいわよ。今、若い女子に大ブームだって聞いて。まだなかなか食欲わかないみたいだからこういうのもどうかって思って」
「ありがとう…うわ!超甘いじゃん」
「すごいカロリーらしいわよ。体力もつくかも」
「ていうかさ、こうして毎日ベッドでじっとしてたら食欲わくわけないじゃん」
「でも運動だって先生の許可がないと」
「せめてトイレに行くぐらいはなんとかならないのかな」
「ママが全てやってあげてるでしょ」
「そう言う問題じゃなくてさ…」
私がそう言うと、ママの目から突然涙が…。
177【Happy Home(2)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 13:47:53.05ID:xXQSsx+dK 「え?あ…ど…どうしたの?ご、ごめんなさい…」
私が咄嗟に謝ると、ママは今度はフフッと笑いながらこう言った。
「いや、謝ることじゃないのよ。こうしてまた2人で言い合いできるようになったのが本当に嬉しくてね」
「言い合いって…」
「あなたはいつまでもママの宝物だから」
そう言われた瞬間、私の背中にゾクゾクッと何かが走るのを感じた。
「幸せ」っていうやつなのか、よくわかんないけど、でもなんか、ちょっと違うような、何か…
そんなことをちょっと思ってる間に、ママは部屋を出て行ってしまった。
私が咄嗟に謝ると、ママは今度はフフッと笑いながらこう言った。
「いや、謝ることじゃないのよ。こうしてまた2人で言い合いできるようになったのが本当に嬉しくてね」
「言い合いって…」
「あなたはいつまでもママの宝物だから」
そう言われた瞬間、私の背中にゾクゾクッと何かが走るのを感じた。
「幸せ」っていうやつなのか、よくわかんないけど、でもなんか、ちょっと違うような、何か…
そんなことをちょっと思ってる間に、ママは部屋を出て行ってしまった。
178【Happy Home(3)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 13:50:29.87ID:xXQSsx+dK その2日後、約束通りまた先生は来てくれた。
いつも通り診察をして、栄養剤の点滴。
そしてまた2日後と告げて帰る。
今日もまた大雨みたいな音がした。
「…」
先生が帰ったあと、私はしばらくじっと黙って聞き耳を立ててみた。
自信はないけど
扉の向こうに誰もいない気がしたからだ。
「(これはチャンスかも知れない…)」
実は最近、何かおかしい、何かおかしいとずっと考えるようになっていた。
この部屋は確かに私の部屋なんだけど、何かおかしい。
ママは何かを隠してるんじゃないかって。
だから私を部屋から出さないように仕向けてるんじゃないかって。
だって、先生が帰るときにやたらバシャバシャと音がするのに、雨音自体はほとんど聞こえないし
それに家に帰ってきてから、思えば1回もあの奇声を聞いてないし。
パパやお兄ちゃんたちには1回も会ってない。
スマホとか取り上げられてるのも、エゴサしてまた病んだりしないようにっていう理由だけじゃないような気も…
だから、とにかくこの部屋から出てみたいってずっと思ってて。
そしたら何かが変わる気がしたんだ。
私は意を決して布団をはがし、ベッドの脇に降りてみた。
うん、何とか立てる。でもさすがに雲の上みたいにフワフワするなあ。
雲の上に立ったことないけどね(笑)。
そして恐る恐るドアに近づいて、大きく1回深呼吸して、ドアをそーっと開けた。
すると…
いつも通り診察をして、栄養剤の点滴。
そしてまた2日後と告げて帰る。
今日もまた大雨みたいな音がした。
「…」
先生が帰ったあと、私はしばらくじっと黙って聞き耳を立ててみた。
自信はないけど
扉の向こうに誰もいない気がしたからだ。
「(これはチャンスかも知れない…)」
実は最近、何かおかしい、何かおかしいとずっと考えるようになっていた。
この部屋は確かに私の部屋なんだけど、何かおかしい。
ママは何かを隠してるんじゃないかって。
だから私を部屋から出さないように仕向けてるんじゃないかって。
だって、先生が帰るときにやたらバシャバシャと音がするのに、雨音自体はほとんど聞こえないし
それに家に帰ってきてから、思えば1回もあの奇声を聞いてないし。
パパやお兄ちゃんたちには1回も会ってない。
スマホとか取り上げられてるのも、エゴサしてまた病んだりしないようにっていう理由だけじゃないような気も…
だから、とにかくこの部屋から出てみたいってずっと思ってて。
そしたら何かが変わる気がしたんだ。
私は意を決して布団をはがし、ベッドの脇に降りてみた。
うん、何とか立てる。でもさすがに雲の上みたいにフワフワするなあ。
雲の上に立ったことないけどね(笑)。
そして恐る恐るドアに近づいて、大きく1回深呼吸して、ドアをそーっと開けた。
すると…
179【Happy Home(4)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 13:52:44.49ID:xXQSsx+dK 「!!!???」
私は自分の目を疑った。
私の部屋のまえは廊下になっていて、向かい側が両親の部屋、右に行くとダイニングキッチン、左にトイレとお風呂、のはずなのに…
ドアを開けたときにそこにあったのは、小さな部屋だった。
右手奥に小さな調理台と、その前に小さな椅子とテーブル。左手にソファーベッド。
「どういうこと!?ここはどこなの?」
思わず大きな声が出てしまったが、反応は無かった。
窓からはさんさんと日光が降り注いでいる。
やっぱり大雨じゃなかったんだ。
一瞬で大混乱に陥った頭をなんとか整理しようと思ったが、それは無理だった。
どのぐらい呆然と立ちすくんでいたのか覚えていないけれど、ふと我に返った私の目に入ってきたのは、玄関らしいドアだった。
やはり、ここも開けなければ。
なんとか玄関のところまでたどり着き、鍵を開け、ドアを開いた。
外の世界から飛び込んでくるまばゆいばかりの光。そして…
「何これ…?海…!?」
玄関の外に広がっていたのは、キラキラと日光を反射するどこまでも広がった水面だった。
先生が帰るときのバシャバシャした音はこのせいだったのか。
「でも、これ…どこなの!?」
思わず玄関でへたり込んでしまったのは、眩しさや貧血のためだけじゃなかったと思う。
事態が全く呑み込めない私の耳に、徐々に近づいてくる水音が聞こえてきたのはその後だった。
私は自分の目を疑った。
私の部屋のまえは廊下になっていて、向かい側が両親の部屋、右に行くとダイニングキッチン、左にトイレとお風呂、のはずなのに…
ドアを開けたときにそこにあったのは、小さな部屋だった。
右手奥に小さな調理台と、その前に小さな椅子とテーブル。左手にソファーベッド。
「どういうこと!?ここはどこなの?」
思わず大きな声が出てしまったが、反応は無かった。
窓からはさんさんと日光が降り注いでいる。
やっぱり大雨じゃなかったんだ。
一瞬で大混乱に陥った頭をなんとか整理しようと思ったが、それは無理だった。
どのぐらい呆然と立ちすくんでいたのか覚えていないけれど、ふと我に返った私の目に入ってきたのは、玄関らしいドアだった。
やはり、ここも開けなければ。
なんとか玄関のところまでたどり着き、鍵を開け、ドアを開いた。
外の世界から飛び込んでくるまばゆいばかりの光。そして…
「何これ…?海…!?」
玄関の外に広がっていたのは、キラキラと日光を反射するどこまでも広がった水面だった。
先生が帰るときのバシャバシャした音はこのせいだったのか。
「でも、これ…どこなの!?」
思わず玄関でへたり込んでしまったのは、眩しさや貧血のためだけじゃなかったと思う。
事態が全く呑み込めない私の耳に、徐々に近づいてくる水音が聞こえてきたのはその後だった。
180【Happy Home(5)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 13:55:15.12ID:xXQSsx+dK 「ご苦労さま。早く行ってちょうだい」
ボートから買い物の荷物と一緒に降りてきたママは運転手にそう言ってお金を渡した。
ボートはバシャバシャと音をたてながら水平線めがけて戻っていった。
「気持ちはわからなくもないけど、無茶しすぎはダメよ」
ボートを見送って振り返ったママは、私を叱らず、優しく背中を撫でてくれた。
「ねえ、ママ、ここは一体どこなの?」
私は胸の中に湧き上がった疑問をぶつけた。
「おかしなこと訊くわね〜(笑)あなたの家じゃないの」
「違う!間取りだって違うし、第一、こんな海の中に…」
「海じゃないわよ。波だって立ってないでしょ」
「じゃあどこなの?私からスマホ取り上げたのも、エゴサしてしまわないように遮断する目的だけじゃなくて、きっとGPSでどこなのか調べられて不審がられないように…」
ママは私の言葉をニヤニヤしながら聞いていた。
「大当たり!って言ってあげたいとこだけど惜しいんだなあ」
「もったいぶらないで説明してよ!」
私の語気の強さにもうはぐらかせないと思ったのか、ママは急に真剣な眼差しになった。
「あなたは知らないほうがいいと思って黙ってたんだけど」
「私は真実が知りたい。ごまかさないで」
「わかったわ。じゃあ落ち着いて聞いてちょうだいね」
ママは家に入ると茶箪笥に向かい、引き出しから封筒を取り出した。
「あなたが高熱を出して倒れてから再び目を覚ますまで、10日間もあったのよ。その間に私はあなたと2人でここに来たの。
この場所と家を確保するまで、ママは本当に死に物狂いであちこち掛け合って、その10日間ほとんど寝てないんじゃないかってぐらいだったわよ。これが母親の愛ってものなのかって自分に感動したわ」
「2人って…パパやお兄ちゃんはどうしたのよ」
「みんな私の計画に反対したから縁を切ったわ」
「えっ…?離婚…したの?」
「そんなめんどくさい手続きをやってる暇は無いから勝手に出てきたわ。私たちの居場所は絶対に探すなって書き置きして。もしそういう動きを感知したら私たち無理心中するからって」
「な、なんてことを…」
私は体のあちこちが震えてくるのを感じた。
「ほらね。やっぱり知らないほうがいいことも世の中には…」
「どうして…どうしてこんなことを?」
それでも食い下がってくる私に、ママは封筒から出した1枚の紙切れを見せた。
ボートから買い物の荷物と一緒に降りてきたママは運転手にそう言ってお金を渡した。
ボートはバシャバシャと音をたてながら水平線めがけて戻っていった。
「気持ちはわからなくもないけど、無茶しすぎはダメよ」
ボートを見送って振り返ったママは、私を叱らず、優しく背中を撫でてくれた。
「ねえ、ママ、ここは一体どこなの?」
私は胸の中に湧き上がった疑問をぶつけた。
「おかしなこと訊くわね〜(笑)あなたの家じゃないの」
「違う!間取りだって違うし、第一、こんな海の中に…」
「海じゃないわよ。波だって立ってないでしょ」
「じゃあどこなの?私からスマホ取り上げたのも、エゴサしてしまわないように遮断する目的だけじゃなくて、きっとGPSでどこなのか調べられて不審がられないように…」
ママは私の言葉をニヤニヤしながら聞いていた。
「大当たり!って言ってあげたいとこだけど惜しいんだなあ」
「もったいぶらないで説明してよ!」
私の語気の強さにもうはぐらかせないと思ったのか、ママは急に真剣な眼差しになった。
「あなたは知らないほうがいいと思って黙ってたんだけど」
「私は真実が知りたい。ごまかさないで」
「わかったわ。じゃあ落ち着いて聞いてちょうだいね」
ママは家に入ると茶箪笥に向かい、引き出しから封筒を取り出した。
「あなたが高熱を出して倒れてから再び目を覚ますまで、10日間もあったのよ。その間に私はあなたと2人でここに来たの。
この場所と家を確保するまで、ママは本当に死に物狂いであちこち掛け合って、その10日間ほとんど寝てないんじゃないかってぐらいだったわよ。これが母親の愛ってものなのかって自分に感動したわ」
「2人って…パパやお兄ちゃんはどうしたのよ」
「みんな私の計画に反対したから縁を切ったわ」
「えっ…?離婚…したの?」
「そんなめんどくさい手続きをやってる暇は無いから勝手に出てきたわ。私たちの居場所は絶対に探すなって書き置きして。もしそういう動きを感知したら私たち無理心中するからって」
「な、なんてことを…」
私は体のあちこちが震えてくるのを感じた。
「ほらね。やっぱり知らないほうがいいことも世の中には…」
「どうして…どうしてこんなことを?」
それでも食い下がってくる私に、ママは封筒から出した1枚の紙切れを見せた。
181【Happy Home(6)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 14:56:23.94ID:xXQSsx+dK 「これが入院したときにわかったあなたの病名よ。進行性の難病で治療法も確立されてない。」
ママはそこで息を大きく吸った。
「つまり、私たちにはもう時間が無いのよ」
ママの瞳にうっすらと涙が浮かんでいた。
「私はね、ずっと女の子が欲しかったのよ。あなたは5人めにして初めて授かった女の子。そのときの喜びと言ったらそれは例えようがなかったわ。
おまけにすごく可愛くて。だから本当はずっとずっとそばに置いておきたかった。
でもあなたはアイドルになりたいと言い出した。私は本当は嫌だった。でも周りから娘のやりたいことをやらせてあげるのが真の愛情だって説得されて。
もちろんあなたの可愛さや歌や愛嬌良さ等でアイドルとして人気が出るのは予想通りだったけど、その反面辛い経験もたくさんしてたのが本当に心配だったし、いつでも帰ってきて欲しかったのが本音なのよ」
そう言うとママは突然土下座した。
「え?どうしたの?」
「だから、私、私ね、あなたが病気になった時に思わず神様に感謝してしまったの。娘を返してくださってありがとうございますって」
そしてまた私を見つめながら続けた。
「ひどいと言われるかも知れないけど、紛れもない本心なのよ。今も変わらない。私は決心したの。残りの時間、私はあなたのそばにずっといて、あらゆるものからあなたを守るって」
ママはそこで息を大きく吸った。
「つまり、私たちにはもう時間が無いのよ」
ママの瞳にうっすらと涙が浮かんでいた。
「私はね、ずっと女の子が欲しかったのよ。あなたは5人めにして初めて授かった女の子。そのときの喜びと言ったらそれは例えようがなかったわ。
おまけにすごく可愛くて。だから本当はずっとずっとそばに置いておきたかった。
でもあなたはアイドルになりたいと言い出した。私は本当は嫌だった。でも周りから娘のやりたいことをやらせてあげるのが真の愛情だって説得されて。
もちろんあなたの可愛さや歌や愛嬌良さ等でアイドルとして人気が出るのは予想通りだったけど、その反面辛い経験もたくさんしてたのが本当に心配だったし、いつでも帰ってきて欲しかったのが本音なのよ」
そう言うとママは突然土下座した。
「え?どうしたの?」
「だから、私、私ね、あなたが病気になった時に思わず神様に感謝してしまったの。娘を返してくださってありがとうございますって」
そしてまた私を見つめながら続けた。
「ひどいと言われるかも知れないけど、紛れもない本心なのよ。今も変わらない。私は決心したの。残りの時間、私はあなたのそばにずっといて、あらゆるものからあなたを守るって」
182【Happy Home(7)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 15:00:46.51ID:xXQSsx+dK 「それで…こんなことを…?」
「誰にも知られず静かに暮らせる場所を作るのにとにかく必死だったのよ」
「誰にも知られず…って…?先生やさっきのボートの運転手さんは知ってるじゃないの」
「あれは大丈夫よ。私たちの戸籍を売った先の人たちが手配してくれてるから絶対に口を割らないわ」
「戸籍を…売った…?」
「お金もとにかく必要だったしね。それにあっちだって戸籍売買の件がばれたら困るから協力してくれてるのよ」
これは悪い夢なんじゃないかと一瞬思ったけど
やっぱりそうじゃないっぽいとママの目を見て思った。
「ここは2人だけの世界なの。あなたがTVで『家のことを考えると泣いちゃう』と涙を流してるのを見てから、ずっと実現したかったことなのよ」
「でも…何か違うよ。これは家じゃないよ」
「いいえ、こここそが家よ。いろんなことから守られて休めるところ、それが家でしょ」
「守られてるって…要するに隔離されてるだけじゃん」
「その通りよ。守るためにはあなたを傷つける全てのものから隔離しないといけないの。だから、ほら、この家にはTVもラジオも無ければ電話だって無いのよ。辛うじてつながってるのは電線だけ。本当はそれも引きたくはなかったけど、さすがにそれじゃ生活できないからね」
「それにさっきあなたスマホのGPSがなんとかって言ってたけど、そもそもここは携帯の電波が全く届かないのよ。基地局が水没しちゃったし」
「水没?」
「あ…うっかり(笑)…まあいいわ、こうなったら最後まで言っちゃうけど、ここは海じゃなくてダム湖なの」
「ダム…湖?」
「頭美川をせき止めてダムを作ってるところなのよ。あと2か月でダムは完成してここらへんは頭美湖と呼ばれることになるわ。その時はこの家もすっかり湖の底よ」
「じゃあ…またどこかに移動するつもりなの?」
するとママは微笑みながら私を見つめて言った。
「大丈夫。最後に苦しいのは私だけだから。あなたは、あなたには…2か月あれば十分なのよ」
「誰にも知られず静かに暮らせる場所を作るのにとにかく必死だったのよ」
「誰にも知られず…って…?先生やさっきのボートの運転手さんは知ってるじゃないの」
「あれは大丈夫よ。私たちの戸籍を売った先の人たちが手配してくれてるから絶対に口を割らないわ」
「戸籍を…売った…?」
「お金もとにかく必要だったしね。それにあっちだって戸籍売買の件がばれたら困るから協力してくれてるのよ」
これは悪い夢なんじゃないかと一瞬思ったけど
やっぱりそうじゃないっぽいとママの目を見て思った。
「ここは2人だけの世界なの。あなたがTVで『家のことを考えると泣いちゃう』と涙を流してるのを見てから、ずっと実現したかったことなのよ」
「でも…何か違うよ。これは家じゃないよ」
「いいえ、こここそが家よ。いろんなことから守られて休めるところ、それが家でしょ」
「守られてるって…要するに隔離されてるだけじゃん」
「その通りよ。守るためにはあなたを傷つける全てのものから隔離しないといけないの。だから、ほら、この家にはTVもラジオも無ければ電話だって無いのよ。辛うじてつながってるのは電線だけ。本当はそれも引きたくはなかったけど、さすがにそれじゃ生活できないからね」
「それにさっきあなたスマホのGPSがなんとかって言ってたけど、そもそもここは携帯の電波が全く届かないのよ。基地局が水没しちゃったし」
「水没?」
「あ…うっかり(笑)…まあいいわ、こうなったら最後まで言っちゃうけど、ここは海じゃなくてダム湖なの」
「ダム…湖?」
「頭美川をせき止めてダムを作ってるところなのよ。あと2か月でダムは完成してここらへんは頭美湖と呼ばれることになるわ。その時はこの家もすっかり湖の底よ」
「じゃあ…またどこかに移動するつもりなの?」
するとママは微笑みながら私を見つめて言った。
「大丈夫。最後に苦しいのは私だけだから。あなたは、あなたには…2か月あれば十分なのよ」
183【Happy Home(8・終)】(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/26(金) 15:09:12.58ID:xXQSsx+dK 私がその言葉の意味を理解するのには少しだけ時間がかかった。
しかし、それがわかった途端
「イヤだあぁあ!!」
と叫んで、私は家の玄関を開けて外へ、湖へと飛び出した。
自分の病気と余命宣告がイヤだったのか、ママのしたことがイヤだったのか、全てがイヤだったのか、自分でもわからなかったけど。
バシャバシャバシャ…
湖に入ってみると、意外と浅かった。
立ってみると水は胸の高さぐらいしかなかった。
まだ工事中なんだもんね。
私はそのまま、振り返らずに水平線を目指して歩き出した。
背後からママが何やら叫んでる。
でも聞かないことにした。
気がつくと私は
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
と泣きながら歩いていた。
どこへ向かってるのかも分からずに。
ママのことは本当に大好きなんだよ。
でも…
次の瞬間、足元が急に軽くなったのと同時に、私は水の中に吸い込まれた。
そうだよね。
湖の底はもともと普通の村だったんだから、水の深さがずっと同じわけはなかったんだ。
でも気づいた時にはもう遅かった。
暗闇に吸い込まれながら私は運命を悟った。
ゴボゴボと湧いていた泡も、急に静かになった。
ごめんなさい。
ごめんなさい…ママ…
―了―
しかし、それがわかった途端
「イヤだあぁあ!!」
と叫んで、私は家の玄関を開けて外へ、湖へと飛び出した。
自分の病気と余命宣告がイヤだったのか、ママのしたことがイヤだったのか、全てがイヤだったのか、自分でもわからなかったけど。
バシャバシャバシャ…
湖に入ってみると、意外と浅かった。
立ってみると水は胸の高さぐらいしかなかった。
まだ工事中なんだもんね。
私はそのまま、振り返らずに水平線を目指して歩き出した。
背後からママが何やら叫んでる。
でも聞かないことにした。
気がつくと私は
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
と泣きながら歩いていた。
どこへ向かってるのかも分からずに。
ママのことは本当に大好きなんだよ。
でも…
次の瞬間、足元が急に軽くなったのと同時に、私は水の中に吸い込まれた。
そうだよね。
湖の底はもともと普通の村だったんだから、水の深さがずっと同じわけはなかったんだ。
でも気づいた時にはもう遅かった。
暗闇に吸い込まれながら私は運命を悟った。
ゴボゴボと湧いていた泡も、急に静かになった。
ごめんなさい。
ごめんなさい…ママ…
―了―
184明日は理佐ちゃんの誕生日(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/26(金) 21:57:15.70ID:K2bJWUVf0 >>183
ずーみんの闇が・・・
ずーみんの闇が・・・
185名無しって、書けない?(東京MX) (ワッチョイ 7f25-JDM+)
2019/07/26(金) 23:18:33.10ID:NWHmd2kV0 >>183
惹きつけられるストーリー展開ですね。
この「私」の人生というのは誰かが書いたシナリオに沿ったものにすぎないのではないのか?
家の中の家族や家具も舞台セットにすぎず、意図せずドアを開けてしまったら、そこには何もない真っ白な世界が広がっているだけじゃないのか?
今泉を取り巻く状況だけを書いているのに、誰もの心の中にある不安もうまく描かれている。
惹きつけられるストーリー展開ですね。
この「私」の人生というのは誰かが書いたシナリオに沿ったものにすぎないのではないのか?
家の中の家族や家具も舞台セットにすぎず、意図せずドアを開けてしまったら、そこには何もない真っ白な世界が広がっているだけじゃないのか?
今泉を取り巻く状況だけを書いているのに、誰もの心の中にある不安もうまく描かれている。
186名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/27(土) 09:58:21.26ID:+X5zDyAJK >>184
ありがとうございます
実はママの闇のほうがヤバいんですけどね
>>185
そういう解釈も出来るとは自分で書きながら思いつかなかった(笑)
惹きつけられるというのは最高の褒め言葉でとても嬉しいっす
実はこの話の大まかな着想はほぼ1年前に千葉県先生とのやり取りの中で既に出来てました
(過去スレです)
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1526544567/295-302
それを今突然書くことにした理由は
着想のもう一つのヒントが私の大好きなレジデンツというユニットの曲から来ているんですが(タイトルもそのまま使ってる)
最近そのレジデンツのドキュメンタリー映画のDVDを手に入れてテンション上がったから、というしょうもない動機です(笑)
あと>>175で自分が疲れてたのはこれを書いてたからです
ちなみにその曲↓
http://www.youtube.com/watch?v=x0_hqA4E_PE
これはオフィシャルMVではなくてファンの方が作られたものらしいんですが
今回のヒントになってるのがよくわかると思います(笑)
ありがとうございます
実はママの闇のほうがヤバいんですけどね
>>185
そういう解釈も出来るとは自分で書きながら思いつかなかった(笑)
惹きつけられるというのは最高の褒め言葉でとても嬉しいっす
実はこの話の大まかな着想はほぼ1年前に千葉県先生とのやり取りの中で既に出来てました
(過去スレです)
http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/keyakizaka46/1526544567/295-302
それを今突然書くことにした理由は
着想のもう一つのヒントが私の大好きなレジデンツというユニットの曲から来ているんですが(タイトルもそのまま使ってる)
最近そのレジデンツのドキュメンタリー映画のDVDを手に入れてテンション上がったから、というしょうもない動機です(笑)
あと>>175で自分が疲れてたのはこれを書いてたからです
ちなみにその曲↓
http://www.youtube.com/watch?v=x0_hqA4E_PE
これはオフィシャルMVではなくてファンの方が作られたものらしいんですが
今回のヒントになってるのがよくわかると思います(笑)
187『How Does the Sky Get Wings?』(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:06:08.63ID:1ykFicV10 【第1話】
僕の中学にはメダカを飼育する伝統があった。
生命の大切さを学ぶ機会にはなっていなかった気はするものの、男子生徒の暴力の抑止には一役買っていたと思う。
教室内に水槽が存在することで、誰も金属バットを振り回したりはしなかったし、近くを通る時は水面が揺れないようにみんな慎重に歩いていた。
それはもちろんメダカを気遣ってのこともあるのだが、天ちゃんの殺意を呼び起こさせないためでもあった。
天ちゃんに睨まれると次の日に死ぬ、という噂が立って早2ヶ月が経過していた。
しかし今のところ死者は報告されていなかったし、何なら僕は三度ほど目が合っている。
やはり単なる噂に過ぎないのであろうし、そもそも天ちゃんの鋭い眼光さえ一度も見たことがなかった。
大抵、天ちゃんはメダカを愛でているか、水槽の濁った水ごしに青い空を見通していた。
黙っていれば絵になる、普通の可愛い女の子だった。
そう、黙っていれば。
僕の中学にはメダカを飼育する伝統があった。
生命の大切さを学ぶ機会にはなっていなかった気はするものの、男子生徒の暴力の抑止には一役買っていたと思う。
教室内に水槽が存在することで、誰も金属バットを振り回したりはしなかったし、近くを通る時は水面が揺れないようにみんな慎重に歩いていた。
それはもちろんメダカを気遣ってのこともあるのだが、天ちゃんの殺意を呼び起こさせないためでもあった。
天ちゃんに睨まれると次の日に死ぬ、という噂が立って早2ヶ月が経過していた。
しかし今のところ死者は報告されていなかったし、何なら僕は三度ほど目が合っている。
やはり単なる噂に過ぎないのであろうし、そもそも天ちゃんの鋭い眼光さえ一度も見たことがなかった。
大抵、天ちゃんはメダカを愛でているか、水槽の濁った水ごしに青い空を見通していた。
黙っていれば絵になる、普通の可愛い女の子だった。
そう、黙っていれば。
188『How Does the Sky Get Wings?』(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:07:23.82ID:1ykFicV10 【第2話】
「君は私が本当はメダカだと言ったらどうする?」
これが記念すべき天ちゃんの一言目である。
頭のなかで文脈をたどってみたが、天ちゃんがメダカなのか、僕がメダカなのか、それが既成事実なのか、はたまた仮定なのか、全く意味が取れなかった。
ただこれだけは遠慮なく言えた。
「頭がおかしくなったと思うだろうね」
「そう…今にわかるよ。どっちの頭がおかしいか」
今のところ頭がおかしいのは天ちゃんの方ということになっているが、いつ逆転してもおかしくないくらいに彼女の顔は自信に満ちていた。
天ちゃんがメダカであることの証明になるかわからないが、毎日丁寧に世話をしているところを見ると、少しはその言葉を信じてもいい気がした。
彼女は自然な流れで世話係に任命され、一緒にいることの多い僕は水替えのたびに重たい水槽を持たされていた。
「君は私が本当はメダカだと言ったらどうする?」
これが記念すべき天ちゃんの一言目である。
頭のなかで文脈をたどってみたが、天ちゃんがメダカなのか、僕がメダカなのか、それが既成事実なのか、はたまた仮定なのか、全く意味が取れなかった。
ただこれだけは遠慮なく言えた。
「頭がおかしくなったと思うだろうね」
「そう…今にわかるよ。どっちの頭がおかしいか」
今のところ頭がおかしいのは天ちゃんの方ということになっているが、いつ逆転してもおかしくないくらいに彼女の顔は自信に満ちていた。
天ちゃんがメダカであることの証明になるかわからないが、毎日丁寧に世話をしているところを見ると、少しはその言葉を信じてもいい気がした。
彼女は自然な流れで世話係に任命され、一緒にいることの多い僕は水替えのたびに重たい水槽を持たされていた。
189『How Does the Sky Get Wings?』(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:08:21.61ID:1ykFicV10 【第3話】
「私に睨まれると死ぬ?」
「うん、そういう噂が流れてる」
「まあ、ある意味では正しいかもね。別に目が合ったからって殺しはしないけど」
「天ちゃんって時々面白い冗談を言うよね」
「冗談じゃないよ。本当のことだもの」
と言われた僕は睨まれていた。
クラスの前で無口な彼女の代わりにあらぬ誤解を解いてあげようと努めたいのは山々なのだが、当の本人がこの様子では誤解など初めからないも同然だ。
「いい?君がおもっているほどこの世界は複雑じゃないわよ」
「そうかな、簡単には見えないけど」
「簡単だとは言ってない。ただ単純で難しいだけ」
僕は水槽を持ち上げた。
「気を付けてね」
天ちゃんが言った。
「私に睨まれると死ぬ?」
「うん、そういう噂が流れてる」
「まあ、ある意味では正しいかもね。別に目が合ったからって殺しはしないけど」
「天ちゃんって時々面白い冗談を言うよね」
「冗談じゃないよ。本当のことだもの」
と言われた僕は睨まれていた。
クラスの前で無口な彼女の代わりにあらぬ誤解を解いてあげようと努めたいのは山々なのだが、当の本人がこの様子では誤解など初めからないも同然だ。
「いい?君がおもっているほどこの世界は複雑じゃないわよ」
「そうかな、簡単には見えないけど」
「簡単だとは言ってない。ただ単純で難しいだけ」
僕は水槽を持ち上げた。
「気を付けてね」
天ちゃんが言った。
190『How Does the Sky Get Wings?』(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:09:17.01ID:1ykFicV10 【第4話】
ある日の授業中、突然天ちゃんが泣き始めた。
みんなは彼女の精神がおかしくなったぐらいにしか思っていなかっただろう。
僕は授業が終わってから天ちゃんの机に向かった。
「どうした?そんな深刻そうな顔して」
「メダカが死んじゃうの」
「メダカ?いつも通りだよ」
「ううん、私にはわかる。もうじき死ぬよ」
それ以上彼女から何かを聞き出すことは困難に思われた。
これはひとつの才能ではないかと感じるのだが、打ちひしがれる彼女には何者をも寄せ付けないオーラがあった。
脱力して机に突っ伏している姿に、微かに怨念のようなものを見て取ることができた。
僕は離れようとした。
「助けて」
天ちゃんが言う。
その言葉に少しでも反応できていれば、世界はマシなものになったのかもしれない。
ある日の授業中、突然天ちゃんが泣き始めた。
みんなは彼女の精神がおかしくなったぐらいにしか思っていなかっただろう。
僕は授業が終わってから天ちゃんの机に向かった。
「どうした?そんな深刻そうな顔して」
「メダカが死んじゃうの」
「メダカ?いつも通りだよ」
「ううん、私にはわかる。もうじき死ぬよ」
それ以上彼女から何かを聞き出すことは困難に思われた。
これはひとつの才能ではないかと感じるのだが、打ちひしがれる彼女には何者をも寄せ付けないオーラがあった。
脱力して机に突っ伏している姿に、微かに怨念のようなものを見て取ることができた。
僕は離れようとした。
「助けて」
天ちゃんが言う。
その言葉に少しでも反応できていれば、世界はマシなものになったのかもしれない。
191『How Does the Sky Get Wings?』(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:09:52.46ID:1ykFicV10 【第5話】
「例えばこの水槽が世界だとするでしょ。そしたら私は神になる。そういう理屈」
どうもこの世界の神は天ちゃんらしいのだ。そして、元々はメダカだったという話も本当らしい。
別に無神論者ではなかったのだが、一神論、それも目の前の女の子が神だと言われて誰が信じられようか。
「世話ががりみたいなものよ。水槽の中を正常に保つこともできるけど、水槽ごとひっくり返すことだってできる。覆水盆に返らずなんて言うけど、また新しい水槽と生き物を用意すればいいだけの話」
「それで、天ちゃんはこの世界をどうしたいの?」
天ちゃんは空を指差した。
青空が暗くなり、雨が振り始める。
時が経つほど雨は強くなり、空が見えなくなった。
「上に行きましょ。溺れる前に」
「例えばこの水槽が世界だとするでしょ。そしたら私は神になる。そういう理屈」
どうもこの世界の神は天ちゃんらしいのだ。そして、元々はメダカだったという話も本当らしい。
別に無神論者ではなかったのだが、一神論、それも目の前の女の子が神だと言われて誰が信じられようか。
「世話ががりみたいなものよ。水槽の中を正常に保つこともできるけど、水槽ごとひっくり返すことだってできる。覆水盆に返らずなんて言うけど、また新しい水槽と生き物を用意すればいいだけの話」
「それで、天ちゃんはこの世界をどうしたいの?」
天ちゃんは空を指差した。
青空が暗くなり、雨が振り始める。
時が経つほど雨は強くなり、空が見えなくなった。
「上に行きましょ。溺れる前に」
192『How Does the Sky Get Wings?』(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:11:35.18ID:1ykFicV10 【第6話】
「お、やっと目覚めた」
天ちゃんが覗き込んでいた。
彼女は濡れたシャツやブレザーにアイロンをかけていた。
すでにTシャツに着替えていて、ついでに僕の方も着替えさせられていた。
「あのさ、天ちゃんと空を飛ぶ夢を見ていたんだ」
「あぁそれ夢じゃないよ。君、私の背中で気絶してたから」
「はあ…でここは?」
「空の上の島。ほら、地上で人が溺れてる。みんな私にすがってる」
「助けてあげないの?」
「そうして欲しい?」
「出来れば。それで天ちゃんが神じゃない世界に戻りたい」
天ちゃんは地上を指差した。
一瞬で雲が取り払われた。
「ほら、戻るよ」
「ひとつ聞いていい?天ちゃんは何でここに来たの?」
「その”何で”は手段?それとも目的を聞いてるの?」
「どっちもかな」
「それはね…」
天ちゃんは缶を手に取った。
“Red Bull gives you wings”
ホンダエンジンに13年ぶりの勝利をもたらしたレッドブル・レーシングとドライバーのマックス・フェルスタッペンに敬意を表して。
「お、やっと目覚めた」
天ちゃんが覗き込んでいた。
彼女は濡れたシャツやブレザーにアイロンをかけていた。
すでにTシャツに着替えていて、ついでに僕の方も着替えさせられていた。
「あのさ、天ちゃんと空を飛ぶ夢を見ていたんだ」
「あぁそれ夢じゃないよ。君、私の背中で気絶してたから」
「はあ…でここは?」
「空の上の島。ほら、地上で人が溺れてる。みんな私にすがってる」
「助けてあげないの?」
「そうして欲しい?」
「出来れば。それで天ちゃんが神じゃない世界に戻りたい」
天ちゃんは地上を指差した。
一瞬で雲が取り払われた。
「ほら、戻るよ」
「ひとつ聞いていい?天ちゃんは何でここに来たの?」
「その”何で”は手段?それとも目的を聞いてるの?」
「どっちもかな」
「それはね…」
天ちゃんは缶を手に取った。
“Red Bull gives you wings”
ホンダエンジンに13年ぶりの勝利をもたらしたレッドブル・レーシングとドライバーのマックス・フェルスタッペンに敬意を表して。
193名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ 1fb7-ZVB1)
2019/07/27(土) 22:17:39.46ID:1ykFicV10 >>183
本気のチワンさん久しぶりに見ましたw
哲学的なテーマで好きです
是非現実のずみ子ちゃんには海を渡り歩いてもらいたいものです
それにしてもファンの方が作ったMVすごいですね
で、海の底の絶望を見せられたので、天ちゃんで希望の空を、みたいな感じですw
本気のチワンさん久しぶりに見ましたw
哲学的なテーマで好きです
是非現実のずみ子ちゃんには海を渡り歩いてもらいたいものです
それにしてもファンの方が作ったMVすごいですね
で、海の底の絶望を見せられたので、天ちゃんで希望の空を、みたいな感じですw
194HAPPY BIRTHDAY 1(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/27(土) 23:06:18.30ID:0r2mBDBg0 「いまのわたしはあなたの知らないわたしだからね」
シャンパン色のドレスを着た理佐はそう告げた。
僕を拒絶するかの如く。
「たしかに昔よりずっと綺麗だけど」
僕がそういうや否や赤玉ポートワインの注がれたグラスから口を離した。そして指先でルージュの跡を拭い手元の白いナプキンへ指を擦り付ける。
「それは嬉しいけど…。もうわたしはアイドルであなたはそのファン。住む世界が違うの。」
デザートとして供された夏蜜柑のジェラートは皿の底で液体になった。
「しかし、つい数年前までは付き合っていて、いまもこうして時度会ってるじゃないか?」
僕はそう反論してスプーンを置いた。ジェラートはもう食べる気がない。
「だから…もう2度と会うことはないの」
「二度と会うつもりが無いとしたらどうして僕に」
理佐は無口になった。
「これ以上会ったら・・・もっと好きになりそうなの。」
ワインの酔いが頬までも赤くする。
理佐は口を結んで下を向く。
「好きになったらどうしていけないんだ」
のみ慣れぬ酒を酌み交わしたあとの妙な浮遊感。
「恋愛禁止だし・・・だから、これ以上あったら・・・」
いつの間にか店から人は居なくなっていた。
先程まではあんなに大入満員だったのに。
「これ以上好きにさせないでよ・・・いままでは友達
のつもりで居たのに付き合いたくなるじゃん」
マスカラの混じったほの黒い蠟涙。
「ごめん・・・」
「しばらく仕事に集中したいから会わないで」
理佐は指先で涙をぬぐって顔を上げた。
シャンパン色のドレスを着た理佐はそう告げた。
僕を拒絶するかの如く。
「たしかに昔よりずっと綺麗だけど」
僕がそういうや否や赤玉ポートワインの注がれたグラスから口を離した。そして指先でルージュの跡を拭い手元の白いナプキンへ指を擦り付ける。
「それは嬉しいけど…。もうわたしはアイドルであなたはそのファン。住む世界が違うの。」
デザートとして供された夏蜜柑のジェラートは皿の底で液体になった。
「しかし、つい数年前までは付き合っていて、いまもこうして時度会ってるじゃないか?」
僕はそう反論してスプーンを置いた。ジェラートはもう食べる気がない。
「だから…もう2度と会うことはないの」
「二度と会うつもりが無いとしたらどうして僕に」
理佐は無口になった。
「これ以上会ったら・・・もっと好きになりそうなの。」
ワインの酔いが頬までも赤くする。
理佐は口を結んで下を向く。
「好きになったらどうしていけないんだ」
のみ慣れぬ酒を酌み交わしたあとの妙な浮遊感。
「恋愛禁止だし・・・だから、これ以上あったら・・・」
いつの間にか店から人は居なくなっていた。
先程まではあんなに大入満員だったのに。
「これ以上好きにさせないでよ・・・いままでは友達
のつもりで居たのに付き合いたくなるじゃん」
マスカラの混じったほの黒い蠟涙。
「ごめん・・・」
「しばらく仕事に集中したいから会わないで」
理佐は指先で涙をぬぐって顔を上げた。
195HAPPY BIRTHDAY 2(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/27(土) 23:07:46.54ID:0r2mBDBg0 暗転。ざわめき。そしてその後で明転。
ガラス張りのオフィス。白い壁には真っ黒な画面。
男ふたりがその画面に向かって座っている。
男2人のうち若い方が研究員。年老いた方が博士。
そう言われている。
「ウォウ…なんだこれは?」
博士はため息を吐いてモニターから目を離した。
「100年前の日本人はこんな夢を見ていたのか?」
余計な感情が起こらない、無機質な白い壁で、伊藤博文のような髭を蓄えた博士は椅子から立ち上がり、壁を睨みつけ言語化不能な咆哮を上げた。
「失われた史実を見つけ出すためにこうして他人の記憶を観ているのだろう?だれがこんな妄想をみたいといったか?埋もれた史実は見つからないのか?」
青白い顔に猫背な若い白衣の男は粘っこい眼差しを博士に向けた。
「お言葉ですが。誰でもよいから連れてきて記憶回想モニターに繋げといったのは博士では?」
「そのAmazonレビューみたいな口調はやめてくれないか?新人とは上司を敬うものじゃないのか?」
「博士のやる気は評価。だけどそのやる気が空回りしてるなと思う。やっぱり博士はネームバリューだけかなと思ったから星1。まぁ映像が綺麗だったから最終的には星2って感じかな?別にわざわざ見にいくほどのものではないと思います!」
「大ヒット映画に必ずひとつはある辛口レビューみたいなこと言うのはやめにしようか?傷付くじゃないか?」
「博士こそ秋元康の歌詞みたいな口調はやめてください。寒いです。」
しばしの無言。二人は互いを睨み合う。
そしてそれから3分ほどたった。
「しかし…いまだに日本が消失した理由が解らない。」
ガラス張りのオフィス。白い壁には真っ黒な画面。
男ふたりがその画面に向かって座っている。
男2人のうち若い方が研究員。年老いた方が博士。
そう言われている。
「ウォウ…なんだこれは?」
博士はため息を吐いてモニターから目を離した。
「100年前の日本人はこんな夢を見ていたのか?」
余計な感情が起こらない、無機質な白い壁で、伊藤博文のような髭を蓄えた博士は椅子から立ち上がり、壁を睨みつけ言語化不能な咆哮を上げた。
「失われた史実を見つけ出すためにこうして他人の記憶を観ているのだろう?だれがこんな妄想をみたいといったか?埋もれた史実は見つからないのか?」
青白い顔に猫背な若い白衣の男は粘っこい眼差しを博士に向けた。
「お言葉ですが。誰でもよいから連れてきて記憶回想モニターに繋げといったのは博士では?」
「そのAmazonレビューみたいな口調はやめてくれないか?新人とは上司を敬うものじゃないのか?」
「博士のやる気は評価。だけどそのやる気が空回りしてるなと思う。やっぱり博士はネームバリューだけかなと思ったから星1。まぁ映像が綺麗だったから最終的には星2って感じかな?別にわざわざ見にいくほどのものではないと思います!」
「大ヒット映画に必ずひとつはある辛口レビューみたいなこと言うのはやめにしようか?傷付くじゃないか?」
「博士こそ秋元康の歌詞みたいな口調はやめてください。寒いです。」
しばしの無言。二人は互いを睨み合う。
そしてそれから3分ほどたった。
「しかし…いまだに日本が消失した理由が解らない。」
196HAPPY BIRTHDAY 3(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/27(土) 23:08:41.34ID:0r2mBDBg0 ちなみに二人はカリフォルニア州にある研究所の職員であり、目下のところ百年前におきた日本列島消失事件の謎を追うべく世界中から生き残りの日本人を探している。が、しかしアンチエイジングが発達した世界では二人に一人が100歳。こうして記憶を観るのも一苦労であった。
「いまのところ分かっているのは日本の消失が20xx年の7月28日ということだけです」
「西暦の下二桁もわからんのか」
「はい。アメリカの国務省にも資料を請求しましたがたとえ政府が雇った職員でもトップシークレットだと。」
「まったくあの大統領はわけわからん」
「ちなみに博士。さっきの映像にあった理佐とは誰ですか。」
「しらん。ググれ。」
「調べても出てこないから聞いてるんでしょうが。しかも死語ですよググれって」
「しょうがないだろ。百年前の映像ばかり見てたらうつったんだよ。」
「理佐って子は意外と可愛いですね。」
「意外じゃないだろう。むしろわかりやすく可愛いだろ。無口なところとか不器用でやさしいところとか。しかも今日は誕生日だ」
「博士作品の設定から逸脱するのはやめてください」「…。理佐というのはうちの曾祖父の恋人だ。」
「するとさっきのハゲでスケベヅラのアホメガネは」
「おい人の上司の先祖を変態アホクソメガネとは失礼じゃないか」
「悪口つけたすなよ。パワーアップしてんじゃんか。」
「もうやめようこの言い争い。映像見る度に同じこと繰り返してんじゃん?だから所長にも怒られるんだよ?テープまわしてないやろうな?って 」
「百年前の時事ネタでボケるなよ。分からないだろ」
「闇営業はしてないからな」
「ところで先程のおじいさんはほんとうに博士の? 」
「ああ。わたしの曾祖父だ。」
「では理佐という子は…」
「さきほどもいったが分かりやすく可愛いそして不器用で優しくて」
「さっきと同じじゃねーか先進めろや」
「…。曾祖父が昔付き合ってた恋人らしい。」
「すると博士の御家族は知らない? 」
「いや、夕食の度に自慢してるからほんとだ。だけど自慢しすぎてうそじゃないかと思ってたところだ。」
「曾祖父の立場低いな」
「曾祖母も理佐のことは知りすぎるほど知っている。」
「というと?」
「曾祖母も昔はアイドルだった。欅坂46という名前のな。」
「アイドルって…偶像とかですか?まさか2次元?」
「違う。日本ではアイドルとはわかい芸能人の女性の集団のことを指すのだ。習わなかったか」
「習いませんし知りませんね。てちがカワウソでキャプテンがMCで噛みたおすことぐらいしか」
「しってるじゃねーか」
「曾祖母とは…誰ですか」
「旧姓は尾関という苗字だ。そう。尾関梨香だ。」
「どうして…博士の曾祖父が…尾関さんと?」
「振られた勢いで元カノの友達に告って付き合った」
「最低だなあんたの曾祖父もういいぜ。」
幕
「いまのところ分かっているのは日本の消失が20xx年の7月28日ということだけです」
「西暦の下二桁もわからんのか」
「はい。アメリカの国務省にも資料を請求しましたがたとえ政府が雇った職員でもトップシークレットだと。」
「まったくあの大統領はわけわからん」
「ちなみに博士。さっきの映像にあった理佐とは誰ですか。」
「しらん。ググれ。」
「調べても出てこないから聞いてるんでしょうが。しかも死語ですよググれって」
「しょうがないだろ。百年前の映像ばかり見てたらうつったんだよ。」
「理佐って子は意外と可愛いですね。」
「意外じゃないだろう。むしろわかりやすく可愛いだろ。無口なところとか不器用でやさしいところとか。しかも今日は誕生日だ」
「博士作品の設定から逸脱するのはやめてください」「…。理佐というのはうちの曾祖父の恋人だ。」
「するとさっきのハゲでスケベヅラのアホメガネは」
「おい人の上司の先祖を変態アホクソメガネとは失礼じゃないか」
「悪口つけたすなよ。パワーアップしてんじゃんか。」
「もうやめようこの言い争い。映像見る度に同じこと繰り返してんじゃん?だから所長にも怒られるんだよ?テープまわしてないやろうな?って 」
「百年前の時事ネタでボケるなよ。分からないだろ」
「闇営業はしてないからな」
「ところで先程のおじいさんはほんとうに博士の? 」
「ああ。わたしの曾祖父だ。」
「では理佐という子は…」
「さきほどもいったが分かりやすく可愛いそして不器用で優しくて」
「さっきと同じじゃねーか先進めろや」
「…。曾祖父が昔付き合ってた恋人らしい。」
「すると博士の御家族は知らない? 」
「いや、夕食の度に自慢してるからほんとだ。だけど自慢しすぎてうそじゃないかと思ってたところだ。」
「曾祖父の立場低いな」
「曾祖母も理佐のことは知りすぎるほど知っている。」
「というと?」
「曾祖母も昔はアイドルだった。欅坂46という名前のな。」
「アイドルって…偶像とかですか?まさか2次元?」
「違う。日本ではアイドルとはわかい芸能人の女性の集団のことを指すのだ。習わなかったか」
「習いませんし知りませんね。てちがカワウソでキャプテンがMCで噛みたおすことぐらいしか」
「しってるじゃねーか」
「曾祖母とは…誰ですか」
「旧姓は尾関という苗字だ。そう。尾関梨香だ。」
「どうして…博士の曾祖父が…尾関さんと?」
「振られた勢いで元カノの友達に告って付き合った」
「最低だなあんたの曾祖父もういいぜ。」
幕
197名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/27(土) 23:11:11.70ID:0r2mBDBg0 理佐ちゃんの誕生日とのことで
198名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/27(土) 23:13:37.39ID:0r2mBDBg0 宇多田ヒカルのCOLORSを聞いて理佐ちゃんの写真集を見て小松左京を読み東京03のコントを見たらこうなりました。
199理佐ちゃん神の子可愛い子(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/28(日) 04:18:52.42ID:NYMYZkv30200避雷針と山の音(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:28:49.68ID:EDog0sUE0 渓谷の山道を霧雨が白く濡らす。僕は彼女を追っていた。彼女は村いちばんのそして唯一抗体をもつ、美少女で繰り返しの日々に腐食したこの村を救うはずだった。そう。いま、この彼女を逃したら村はほんとうに腐る。
僕はこの思いひとつにおう。
やがて彼女は丁字路を抜けたところで追いついた。
「行かないで…戻ってきてくれ」
「もう追いかけてこないで」
紺色のレインコートが振り向いて言う。
瞳は微かに潤んでいた。
フードの隙間からは黒髪が濡れて滴っている。
「どうしてもこの街を出るのか?」
雨足が強くなる。あの子の声も遠い。足元を見れば三和土を出た時に履き直した緑のレインブーツが泥に跳ねて迷彩柄となっている。
「何度も言わんで。もう疲れたったい。」
「でも、この前あった時はまだここに居ると。」
「強がって言っただけってなんで分かってくれんと?」
「それは…」
「わたしの居場所はもうここにはない!」
雷鳴が峠の奥で鳴り響く。
「帰るの…わたしの本当の居場所に。山の中じゃない。港の暖かい潮騒のある町に。こんな閉鎖的な町じゃなく。もっと人と人の繋がりが自然にある街に。」
「この村だって仲間がいたじゃないか。繋がりが絆が。あるじゃないか」
整備されていない土道は真ん中が窪み、水たまりが出来ていた。僕はそれを踏み抜く。
靴は重たい音を立てて歪んだ泥水を吸い込む。
僕はこの思いひとつにおう。
やがて彼女は丁字路を抜けたところで追いついた。
「行かないで…戻ってきてくれ」
「もう追いかけてこないで」
紺色のレインコートが振り向いて言う。
瞳は微かに潤んでいた。
フードの隙間からは黒髪が濡れて滴っている。
「どうしてもこの街を出るのか?」
雨足が強くなる。あの子の声も遠い。足元を見れば三和土を出た時に履き直した緑のレインブーツが泥に跳ねて迷彩柄となっている。
「何度も言わんで。もう疲れたったい。」
「でも、この前あった時はまだここに居ると。」
「強がって言っただけってなんで分かってくれんと?」
「それは…」
「わたしの居場所はもうここにはない!」
雷鳴が峠の奥で鳴り響く。
「帰るの…わたしの本当の居場所に。山の中じゃない。港の暖かい潮騒のある町に。こんな閉鎖的な町じゃなく。もっと人と人の繋がりが自然にある街に。」
「この村だって仲間がいたじゃないか。繋がりが絆が。あるじゃないか」
整備されていない土道は真ん中が窪み、水たまりが出来ていた。僕はそれを踏み抜く。
靴は重たい音を立てて歪んだ泥水を吸い込む。
201避雷針と山の音(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:29:34.15ID:EDog0sUE0 「絆、絆。仲間って重いったい。わたしはもうちょっと自由でいたい。もうわたしになんも期待せんで。この村にわたしはなんの役にもたたんの。」
柔らかい声が泣き叫ぶようにそう語る。
「ここから、こんな村からなにが変わると?こんな病気持ちばかりの所で仲良しごっこやるために生まれてきたんじゃなかと。」
「仲良しごっこって。ねるもいままで楽しそうに暮らしてきたじゃないか。」
フードを被っているせいで己の声が曇って変に反響する。雷は村の方におちたようだ。もっとも避雷針があるから問題ないと思うが。
「この村で翳ったまま暮らしとったら自分がダメになるって米も言っとった。それに・・・」
女の子はフードをとって叫ぶ。
「わたしは自分だけの正義を過信してなんの罪もない人を村八分にするのを絆と呼びたくない。それは絆に囚われた盲信しすぎた病気だ。」
「止めなかった君も同罪じゃないか。それに。村八分がいやならそういえばいい。嫌だとも言わずにただ逃げるなんて卑怯だ」
「君にそんなこと言われなくない。」
「どうして?」
「君にはわたしのすべてを認めて欲しかったと。わたたしがいままでずっと堪えてきたのは君がいたからったい。どんなことがあっても君がいたから、君がいるから。なにが起こっても君は自由でわたしのことを認めてくれた。だけど村長の候補に上がってから変わった。」
僕らの後ろでは足跡がいくつも重なる。
ねるの声を呼ぶ。泣きながら。
しかし、その涙は黒い。
「もう君ともお別れったい。じゃ・・・元気で。」
ねるは仄暗い道の先を見据えて歩き出した。
もはや僕はねるを止めるすべをもたない。
村は、朽ち果ててゆく。中心部から。
柔らかい声が泣き叫ぶようにそう語る。
「ここから、こんな村からなにが変わると?こんな病気持ちばかりの所で仲良しごっこやるために生まれてきたんじゃなかと。」
「仲良しごっこって。ねるもいままで楽しそうに暮らしてきたじゃないか。」
フードを被っているせいで己の声が曇って変に反響する。雷は村の方におちたようだ。もっとも避雷針があるから問題ないと思うが。
「この村で翳ったまま暮らしとったら自分がダメになるって米も言っとった。それに・・・」
女の子はフードをとって叫ぶ。
「わたしは自分だけの正義を過信してなんの罪もない人を村八分にするのを絆と呼びたくない。それは絆に囚われた盲信しすぎた病気だ。」
「止めなかった君も同罪じゃないか。それに。村八分がいやならそういえばいい。嫌だとも言わずにただ逃げるなんて卑怯だ」
「君にそんなこと言われなくない。」
「どうして?」
「君にはわたしのすべてを認めて欲しかったと。わたたしがいままでずっと堪えてきたのは君がいたからったい。どんなことがあっても君がいたから、君がいるから。なにが起こっても君は自由でわたしのことを認めてくれた。だけど村長の候補に上がってから変わった。」
僕らの後ろでは足跡がいくつも重なる。
ねるの声を呼ぶ。泣きながら。
しかし、その涙は黒い。
「もう君ともお別れったい。じゃ・・・元気で。」
ねるは仄暗い道の先を見据えて歩き出した。
もはや僕はねるを止めるすべをもたない。
村は、朽ち果ててゆく。中心部から。
202避雷針と山の音(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:30:20.90ID:EDog0sUE0 最初の女の子は笑顔が綺麗な声でいくつもの歌を歌う子で、この村に流行る伝染病の抗体をもっていた。村ではその女の子を必要としていた。
最初は女の子も協力してくれたけど、頑固な村人が抗体を打ち込んで治ってから女の子を邪見にあつかったり、無視したりした。女の子は繊細だったから次第に笑顔をなくした。やがて女の子は部屋に閉じこもりっきりになって明くる日の晩、姿を消した。
二人目の子はその女の子の抗体を研究していた女の子で、正義感の強い子だった。村人は研究者のその子を頼った。頼られることが嬉しくてその子も頑張ったけど、感染が拡大してから、村人に酷く虐められ、それこそ、研究書を汚されたりして、
結果的に「期待に応えられなくてごめんなさい」と書き残して行方知らずになった。
三人目の子は抗体を持っていて、かつ、村人にも人気の子だった。けど人気故に勘違いされて(その子は誤解されやすかった )、
塞ぎ込んでやがて他の村に出奔した。
最初は女の子も協力してくれたけど、頑固な村人が抗体を打ち込んで治ってから女の子を邪見にあつかったり、無視したりした。女の子は繊細だったから次第に笑顔をなくした。やがて女の子は部屋に閉じこもりっきりになって明くる日の晩、姿を消した。
二人目の子はその女の子の抗体を研究していた女の子で、正義感の強い子だった。村人は研究者のその子を頼った。頼られることが嬉しくてその子も頑張ったけど、感染が拡大してから、村人に酷く虐められ、それこそ、研究書を汚されたりして、
結果的に「期待に応えられなくてごめんなさい」と書き残して行方知らずになった。
三人目の子は抗体を持っていて、かつ、村人にも人気の子だった。けど人気故に勘違いされて(その子は誤解されやすかった )、
塞ぎ込んでやがて他の村に出奔した。
203避雷針と山の音(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:31:10.44ID:EDog0sUE0 この女の子はまさに4人目になろうとしていた。僕は、村長からその女の子を引き止めろと言われていた。この思いひとつに、と書いたがそんなこと思っちゃいない。村長が怖かったのだ。だから、女の子たちの、ねるの気持ちを無視して追いかけた。
だから、追い掛けるたびに距離が出来た。本当はこんな村捨ててどこかで頑張ってほしい。
だけど、命令として追いかけなくちゃ行けない。
だからもう2時間も悪天候の中無意味な追跡を続けていた。ねるはこの村で三人目の抗体を持っていた。そしてこのねるが村で最後の抗体所持者だった。
「行って早く!」
黙り込む僕らの背後で低い声が轟く。
「てっちゃん」
てっちゃんとは村長の娘でいままでずっと寝込んでいた。かつてはねるとも、親友だったが、寝込んでからはなにも話さなくなった。
「いいからこの村は捨てて。」
僕のすぐ後ろ。膝をついて泥に前髪を浸す。
ねるはてっちゃんに近づこうとする。
「あんたも、ねるつれてどっか行って」
僕も振り向いて前髪の奥に隠れた眼を見る。
だから、追い掛けるたびに距離が出来た。本当はこんな村捨ててどこかで頑張ってほしい。
だけど、命令として追いかけなくちゃ行けない。
だからもう2時間も悪天候の中無意味な追跡を続けていた。ねるはこの村で三人目の抗体を持っていた。そしてこのねるが村で最後の抗体所持者だった。
「行って早く!」
黙り込む僕らの背後で低い声が轟く。
「てっちゃん」
てっちゃんとは村長の娘でいままでずっと寝込んでいた。かつてはねるとも、親友だったが、寝込んでからはなにも話さなくなった。
「いいからこの村は捨てて。」
僕のすぐ後ろ。膝をついて泥に前髪を浸す。
ねるはてっちゃんに近づこうとする。
「あんたも、ねるつれてどっか行って」
僕も振り向いて前髪の奥に隠れた眼を見る。
204名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:32:36.01ID:EDog0sUE0 「僕は…」
「あんたもこの村をでたいんでしょ?分かってる。だから行って。もうこの村は腐るしかないの。」
雷鳴がいくつも轟、今度は火柱が上がる。
「避雷針も壊れた。村人はわたしを追いかけてくる。もう追いつくでしょう。だから行きな。 」
鋭い眼光が僕らを睨んだ。
「てっちゃん」
ねるは握り拳をつくって黙る。
「ただし、後悔しないでよ、そしてこんな村も忘れて、あんたも。」
靴音が重なる。向かい風が怯んで一瞬追い風になる。
僕はねるに近づいて、そっと抱きしめた。
そして手を取って鬱蒼とした森の中を走り出した。
霧雨は未だ柔肌をしとどに濡らす。
完
「あんたもこの村をでたいんでしょ?分かってる。だから行って。もうこの村は腐るしかないの。」
雷鳴がいくつも轟、今度は火柱が上がる。
「避雷針も壊れた。村人はわたしを追いかけてくる。もう追いつくでしょう。だから行きな。 」
鋭い眼光が僕らを睨んだ。
「てっちゃん」
ねるは握り拳をつくって黙る。
「ただし、後悔しないでよ、そしてこんな村も忘れて、あんたも。」
靴音が重なる。向かい風が怯んで一瞬追い風になる。
僕はねるに近づいて、そっと抱きしめた。
そして手を取って鬱蒼とした森の中を走り出した。
霧雨は未だ柔肌をしとどに濡らす。
完
205名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:38:41.48ID:EDog0sUE0 映画版のトリックを見直したり避雷針を聞いたらこんなのが思いついた。
206名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:53:56.95ID:EDog0sUE0 海の底、天空ときてつぎは暗い森です。
207名無しって、書けない?(千葉県) (ワッチョイW 0615-GTp3)
2019/07/28(日) 05:55:37.90ID:EDog0sUE0208理佐ちゃん神の子可愛い子(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/28(日) 07:30:33.58ID:NYMYZkv30 >>205
めっちゃトリックの雰囲気出てました
めっちゃトリックの雰囲気出てました
209夢で逢えたら 第12話(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/28(日) 09:05:01.52ID:NYMYZkv30 「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁!」
今日も今日とて夢の中の美人理佐ちゃんに逢いたいと呪文唱えて早寝目論む俺
理佐ちゃんに当て逃げされた夢とOLの葵と新婚生活する夢を見たことで夢見術を続けて行けば理佐ちゃんとの理想の生活が手に届くとこまで来てると確信抱く俺
そんな張り切る俺なのに、、、
「キャハハハ〜」
さっきからテレビ見ながら笑い転げるうるさい葵
「うるさいんじゃ!ボケ〜!」
怒鳴ると同時に枕を投げつける憧れの理佐ちゃんとは違い年下の幼なじみ葵には厳しい俺
「痛いな〜、何すんのよ!」
早寝するつもりの俺を泥試合に引き込もうと大げさに怒る振りする葵
「夢の中で愛しの理佐ちゃんが俺とイチャイチャしたくて待ってるんや!その手には乗らんわ!」
愚かな葵の仕掛けてきたプロレスには乗らないクールな俺
「なにが愛しの理佐ちゃんが待っててくれてるよw当て逃げされただけじゃんw」
なんて俺を嘲笑うデリカシーに欠ける葵
「小2は黙っとれ!!!」
逆鱗に触れた葵にジャイアントスイングかます文字通りのプロレスに乗ってしまう俺
「貴重な時間を無駄にさせやがって・・・」
年下の幼なじみ葵の挑発に乗ってしまい後悔半端ない俺
「という訳でとっとテレビ消して俺の部屋から立ち去れ」
役所広司のCMが流れるテレビを指差し葵に命じると布団に潜り込む俺
「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁・・・」
理佐ちゃんとのイチャイチャ生活を夢見て再び呪文を唱える俺
その耳許で
「役所広司、役所広司、役所広司」って囁く妨害魔葵
「う〜ん・・・やめろ・・・」
なんて葵に文句言いながら布団を蹴りあげるも眠りに落ちる俺
「もう、まだ8時なのに本当に寝ちゃうなんて俺君のバカ・・・」
文句言いながら俺の布団をかけ直して部屋を出ていく葵
こうして冬休み最後の夜は過ぎていく、、、
つづく
今日も今日とて夢の中の美人理佐ちゃんに逢いたいと呪文唱えて早寝目論む俺
理佐ちゃんに当て逃げされた夢とOLの葵と新婚生活する夢を見たことで夢見術を続けて行けば理佐ちゃんとの理想の生活が手に届くとこまで来てると確信抱く俺
そんな張り切る俺なのに、、、
「キャハハハ〜」
さっきからテレビ見ながら笑い転げるうるさい葵
「うるさいんじゃ!ボケ〜!」
怒鳴ると同時に枕を投げつける憧れの理佐ちゃんとは違い年下の幼なじみ葵には厳しい俺
「痛いな〜、何すんのよ!」
早寝するつもりの俺を泥試合に引き込もうと大げさに怒る振りする葵
「夢の中で愛しの理佐ちゃんが俺とイチャイチャしたくて待ってるんや!その手には乗らんわ!」
愚かな葵の仕掛けてきたプロレスには乗らないクールな俺
「なにが愛しの理佐ちゃんが待っててくれてるよw当て逃げされただけじゃんw」
なんて俺を嘲笑うデリカシーに欠ける葵
「小2は黙っとれ!!!」
逆鱗に触れた葵にジャイアントスイングかます文字通りのプロレスに乗ってしまう俺
「貴重な時間を無駄にさせやがって・・・」
年下の幼なじみ葵の挑発に乗ってしまい後悔半端ない俺
「という訳でとっとテレビ消して俺の部屋から立ち去れ」
役所広司のCMが流れるテレビを指差し葵に命じると布団に潜り込む俺
「理佐ちゃんは俺の嫁!理佐ちゃんは俺の嫁・・・」
理佐ちゃんとのイチャイチャ生活を夢見て再び呪文を唱える俺
その耳許で
「役所広司、役所広司、役所広司」って囁く妨害魔葵
「う〜ん・・・やめろ・・・」
なんて葵に文句言いながら布団を蹴りあげるも眠りに落ちる俺
「もう、まだ8時なのに本当に寝ちゃうなんて俺君のバカ・・・」
文句言いながら俺の布団をかけ直して部屋を出ていく葵
こうして冬休み最後の夜は過ぎていく、、、
つづく
210名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK96-MyxZ)
2019/07/28(日) 13:03:31.50ID:EITMtxb/K >>192
教室から雲の上へ、という場面転換が見事すぎて(拍手)
随分昔に大阪府先生の場面描写力について書いた記憶があるんですが
それを作品中で転換させるのもまた上手くて、文章なのに映画的なんですよね
って改めて思いました
以前自分がバトルロワイヤルを書いたときに大阪府先生が航海の一編を書いてくれたことも思い出しました
ありがとうございます
あと普通の同級生の女の子が実はとんでもない存在っていう流れから最終兵器彼女とか思い出したり(笑)
>>176
まさか後半のコントがメインだったとは(笑)
ひょっとして博士の曾祖父がサイテーなのはモデルが俺k…
おや?誰か来たようだ
>>205
なるほど、これも深い寓意性がありますね〜
この後に、外界で変人人の研究をしていた村人が戻ってきて腐敗から村を救ってくれることを期待したいですね
>>206
1年前の夏休みの宿題をやっと提出したような気分です(笑)
>>209
役所広司、役所広司、役所広司 で吹き出してしまったコーヒーを返してください
教室から雲の上へ、という場面転換が見事すぎて(拍手)
随分昔に大阪府先生の場面描写力について書いた記憶があるんですが
それを作品中で転換させるのもまた上手くて、文章なのに映画的なんですよね
って改めて思いました
以前自分がバトルロワイヤルを書いたときに大阪府先生が航海の一編を書いてくれたことも思い出しました
ありがとうございます
あと普通の同級生の女の子が実はとんでもない存在っていう流れから最終兵器彼女とか思い出したり(笑)
>>176
まさか後半のコントがメインだったとは(笑)
ひょっとして博士の曾祖父がサイテーなのはモデルが俺k…
おや?誰か来たようだ
>>205
なるほど、これも深い寓意性がありますね〜
この後に、外界で変人人の研究をしていた村人が戻ってきて腐敗から村を救ってくれることを期待したいですね
>>206
1年前の夏休みの宿題をやっと提出したような気分です(笑)
>>209
役所広司、役所広司、役所広司 で吹き出してしまったコーヒーを返してください
211庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/28(日) 16:57:31.44ID:NYMYZkv30 >>210
役所広司、役所広司、役所広司は実話ですけん(-o-;)
役所広司、役所広司、役所広司は実話ですけん(-o-;)
212夢で逢えたら 第13話 前編(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/28(日) 18:05:00.66ID:NYMYZkv30 「う〜ん・・・邪魔すんな・・・」
夢の中の美女理佐ちゃんとイチャイチャ新婚生活するために寝ようとしてたら幼なじみの葵に耳許で役所広司の名前囁かれうなされる俺
「ねぇ、早く起きてよ」
なんて葵の声に起こされて周りを見回してみたら、、、
「昨日の続きやないか・・・」
どうやら夢の世界で目覚めることに成功したけどOL姿の葵にガッカリする俺
眠る直前まで葵をかまっていたせいで葵と新婚生活してる夢の続きに巻き込まれた俺
「お前がかまってちゃんなせいで・・・」
忙しそうに朝ご飯の準備している幼妻の葵に文句な俺
愛しの理佐ちゃんとイチャイチャ新婚生活の夢を見れると確信していただけに恨み言の1つも出ちゃうやね
「なんで私がかまってちゃんなのよ!俺君の方が毎日甘えたがってかまってちゃんじゃん!」
俺の恨み言に噛みつきながらも夢の中での俺が葵に甘えたがるほど惚れてることを説明してくれる葵
むむっ、、、
確かに夢の中の葵には甘えたくなる何かがある、、、
なんてこの夢もまんざら悪くないかもなんてテーブルにご飯並べる葵を見ながらニヤニヤしてしまう流されやすい俺
「なに笑ってんの?」
そんな俺を不審そうに見つめる葵
「意外と可愛いんだよな・・・」
呟くなんとなく幼なじみの葵の可愛さを受け入れ初めてる俺
「急になに言い出すのよ!?」
俺の呟きに慌てる葵
ふむ、やはり可愛い
なんて湧き上がる幸せを感じる俺に
「もう、人のことからかってないで早く食べて」
文句言う割りにデレデレ笑顔でご飯よそう葵
夢の中の美女理佐ちゃんとイチャイチャ新婚生活するために寝ようとしてたら幼なじみの葵に耳許で役所広司の名前囁かれうなされる俺
「ねぇ、早く起きてよ」
なんて葵の声に起こされて周りを見回してみたら、、、
「昨日の続きやないか・・・」
どうやら夢の世界で目覚めることに成功したけどOL姿の葵にガッカリする俺
眠る直前まで葵をかまっていたせいで葵と新婚生活してる夢の続きに巻き込まれた俺
「お前がかまってちゃんなせいで・・・」
忙しそうに朝ご飯の準備している幼妻の葵に文句な俺
愛しの理佐ちゃんとイチャイチャ新婚生活の夢を見れると確信していただけに恨み言の1つも出ちゃうやね
「なんで私がかまってちゃんなのよ!俺君の方が毎日甘えたがってかまってちゃんじゃん!」
俺の恨み言に噛みつきながらも夢の中での俺が葵に甘えたがるほど惚れてることを説明してくれる葵
むむっ、、、
確かに夢の中の葵には甘えたくなる何かがある、、、
なんてこの夢もまんざら悪くないかもなんてテーブルにご飯並べる葵を見ながらニヤニヤしてしまう流されやすい俺
「なに笑ってんの?」
そんな俺を不審そうに見つめる葵
「意外と可愛いんだよな・・・」
呟くなんとなく幼なじみの葵の可愛さを受け入れ初めてる俺
「急になに言い出すのよ!?」
俺の呟きに慌てる葵
ふむ、やはり可愛い
なんて湧き上がる幸せを感じる俺に
「もう、人のことからかってないで早く食べて」
文句言う割りにデレデレ笑顔でご飯よそう葵
213夢で逢えたら 第13話 後編(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/28(日) 18:05:24.23ID:NYMYZkv30 「ちょっと待って!」
駅について葵のホームとは反対方向のホームに向かう俺を呼び止める葵
「曲がってるよ」
笑いながら俺のネクタイを直してくれる葵
「仕事頑張ってね」
そう言うとタイミング良くやって来た電車に向かい走り出す葵
「俺の嫁可愛いなぁ」
電車のドアの向こうから目立たないよう控え目に手を振る葵に思わず呟く俺
葵を乗せた電車がホームから出て行くのを見送る幸せ一杯の俺に
「浮気してんじゃねーよ」
なんて突然ドス声浴びせかける人影が、、、
風雲告げる『夢で逢えたら』謎の人影の正体やいかに?波乱の次回を待ってくれ
つづく
駅について葵のホームとは反対方向のホームに向かう俺を呼び止める葵
「曲がってるよ」
笑いながら俺のネクタイを直してくれる葵
「仕事頑張ってね」
そう言うとタイミング良くやって来た電車に向かい走り出す葵
「俺の嫁可愛いなぁ」
電車のドアの向こうから目立たないよう控え目に手を振る葵に思わず呟く俺
葵を乗せた電車がホームから出て行くのを見送る幸せ一杯の俺に
「浮気してんじゃねーよ」
なんて突然ドス声浴びせかける人影が、、、
風雲告げる『夢で逢えたら』謎の人影の正体やいかに?波乱の次回を待ってくれ
つづく
214千葉県だった人(東京都) (JPW 0Hef-GTp3)
2019/07/29(月) 11:42:53.68ID:gWBKN0e2H >>210
寓意性の高い話は面白いけど書くの難しいです
寓意性の高い話は面白いけど書くの難しいです
215名無しって、書けない?(大阪府) (ニククエWW 87b7-wawx)
2019/07/29(月) 20:26:51.40ID:a+qImPaK0NIKU >>210
そう言えば最終兵器彼女も翼生えてましたねw
以前、デジタルとアナログの話をした時に、他に何に注目していたかというと、
チワンさんと庭さんの描写はその気になれば1カットで撮れるのに対して、千葉県さんと僕の場合はカメラが数台必要で、シーンも膨大な量にならざるを得ないんですよ
デジタルチームについて申し上げますと、チワンさんは監督腕次第で何とでもなりそうですが、庭さんの作品を原作に忠実に再現しようとすると、一回に演者の覚えることが多過ぎて、恐らく女優理佐ちゃんが過労死してしまうんじゃなかいかと思います
アナログチームは、ロケハンが難しかったり、シーンが多いぶん撮影スケジュールが押したり、何かと頻繁に雨が降るので散水装置が必要になったり、というように時間と資金が必要になってしまいます
どっちもどっちですねw
そう言えば最終兵器彼女も翼生えてましたねw
以前、デジタルとアナログの話をした時に、他に何に注目していたかというと、
チワンさんと庭さんの描写はその気になれば1カットで撮れるのに対して、千葉県さんと僕の場合はカメラが数台必要で、シーンも膨大な量にならざるを得ないんですよ
デジタルチームについて申し上げますと、チワンさんは監督腕次第で何とでもなりそうですが、庭さんの作品を原作に忠実に再現しようとすると、一回に演者の覚えることが多過ぎて、恐らく女優理佐ちゃんが過労死してしまうんじゃなかいかと思います
アナログチームは、ロケハンが難しかったり、シーンが多いぶん撮影スケジュールが押したり、何かと頻繁に雨が降るので散水装置が必要になったり、というように時間と資金が必要になってしまいます
どっちもどっちですねw
216名無しって、書けない?(大阪府) (ニククエWW 87b7-wawx)
2019/07/29(月) 20:28:38.57ID:a+qImPaK0NIKU >>205
避雷針はクセ強い楽曲ですけど全く飽きませんよね
てっちゃんの代わりに避雷針役になれるメンバーが現れれば、彼女もエース徹することができると思うんですが、遠慮がちなメンバーが多いので難しそうですね
避雷針はクセ強い楽曲ですけど全く飽きませんよね
てっちゃんの代わりに避雷針役になれるメンバーが現れれば、彼女もエース徹することができると思うんですが、遠慮がちなメンバーが多いので難しそうですね
217名無しって、書けない?(大阪府) (ニククエWW 87b7-wawx)
2019/07/29(月) 20:29:28.82ID:a+qImPaK0NIKU218dinner(茸) (ニククエ Sdaa-GTp3)
2019/07/29(月) 21:31:42.44ID:NWaWnzpbdNIKU 「今日はわたしが奢るから」
ゆっかーはそう言って頬を膨らました。
「…ありがとう」
僕は気負いながら礼を言う。
ここは夜九時をすぎた代官山。
過ぎゆく人並みがみな札束を着込んでいる。
僕らのデートはいつも割り勘だけど、年に2度、
互いの誕生日の時は奢りになる。
ゆっかーの誕生日の時は僕。
そして僕の誕生日の時はゆっかー。
今年で付き合って3年だけど毎年。
これがあるから自分の誕生日が怖い。なんでか。
ゆっかーの奢りの規模が桁違いだからである。
1年目は我が家の生活費を余裕で超える、
予算の完全予約制、中華料理。2年目はミシュラン二ツ星のドレスコードがあるフランス料理。
この時は料理を食べ終えてからシェフがゆっかーのもとへ挨拶に来た。
そのシェフとゆっかーは英語でやりとりをしていた。もう信じられない。夢かと思った。
だってシェフが来た時、周りの客がどよめいていたのだもの。そりゃあ、生活レベルが全く違うのは分かっていたけど、ここまで違うとは。
と放心状態になった。しかもお支払いはクレジットカードだった。それをみた瞬間なんで僕はこんなお嬢と付き合えているのだ?と我を疑った。
ゆっかーはそう言って頬を膨らました。
「…ありがとう」
僕は気負いながら礼を言う。
ここは夜九時をすぎた代官山。
過ぎゆく人並みがみな札束を着込んでいる。
僕らのデートはいつも割り勘だけど、年に2度、
互いの誕生日の時は奢りになる。
ゆっかーの誕生日の時は僕。
そして僕の誕生日の時はゆっかー。
今年で付き合って3年だけど毎年。
これがあるから自分の誕生日が怖い。なんでか。
ゆっかーの奢りの規模が桁違いだからである。
1年目は我が家の生活費を余裕で超える、
予算の完全予約制、中華料理。2年目はミシュラン二ツ星のドレスコードがあるフランス料理。
この時は料理を食べ終えてからシェフがゆっかーのもとへ挨拶に来た。
そのシェフとゆっかーは英語でやりとりをしていた。もう信じられない。夢かと思った。
だってシェフが来た時、周りの客がどよめいていたのだもの。そりゃあ、生活レベルが全く違うのは分かっていたけど、ここまで違うとは。
と放心状態になった。しかもお支払いはクレジットカードだった。それをみた瞬間なんで僕はこんなお嬢と付き合えているのだ?と我を疑った。
219dinner(茸) (ニククエ Sdaa-GTp3)
2019/07/29(月) 21:33:17.99ID:NWaWnzpbdNIKU そして今年。
1週間くらい前に代官山で午後九時ね。
と言われた。
「わりとカジュアルな所だから」
ゆっかーはそのときそう言っていた。
だけどゆっかーのカジュアルと僕のカジュアルは、
違う。当たり前だけど。
僕にとってカジュアルは大戸屋、日高屋、くるまやラーメンで、これはもはやカジュアルと
さえ呼ばないほどカジュアルだ。
うまいけどさ。勿論。
一方、ゆっかーのカジュアルは、ホテルの最上階にあるイタリアンであり、南青山の創作フランス料理だ。
まったくカジュアルじゃない。
「ほら、ここ。」
繋いだ手をちょっと上げてその店を示した。
赤らんだ照明と深緑の樹木。
タイル張りの床。看板は煉瓦造りで
「bistro Augustas」
と書いてある。
僕は恐怖した。
「行こ。」
と嬉しそうに言うゆっかーを尻目に。
店は軽井沢の小洒落た別荘みたいなロッジで、
一歩踏み出す度木の床が軋む。
店内はあまり広くない。白いクロスが掛かったテーブルが五つほど。中央にはキャンドルライト。
客は札束を着込んだような紳士熟女が、
2組端のテーブルについている。
そして。よく見るとその2組のテーブルがあるさらに奥滲むような都市の夜景が見渡せるテーブルにちいさな札が置いてあった。
札はreserveと書いてあり、それを見つけると、「ここかな」とゆっかーか呟いた。
僕は「そうじゃない?」と上ずって呟き、とりあえず席につく。しばらくして、「お嬢様ようこそ、」と森有礼みたいな店員がゆっかーのもとに来た。
「あ、どうもお久しぶりです」
ゆっかーは夏の日差しみたいなきらきらした笑顔でそう応えた。僕はその笑顔に見蕩れた。
「今日は婚約者の方のお誕生日とかで」
その僕を一瞥し、ゆっかーに訊く。ゆっかーは
「いや婚約者なんてそんな…恋人です。だけどいずれは…けっこ…なんてやめてくださいよもう」
と独り相撲をしていた。
店員はにやにやしながら「それは失礼しました」とお辞儀してそのあと、黒革のやたら重いA4くらいのノートみたいなメニューを僕らにわたした。
そのメニューを見て凍り付いた。
だいたいの品目が五千円以上だからだ。
僕はたのしそうにメニューをめくるゆっかーがだんだん信じられなくなった。
そう、信じられないのは値段だけでなく味もだ。
舌をかみそうな長い名前のステーキも、
ゆっかーが注文するとき何度も噛んでた、さ行のソテーも
どれも胃の腑と脳裏に染み付いて離れないほど美味しかった。
「んー。」と言いながら首を小さく揺らし料理をたべるゆっかーの様はやはり年相応の女の子だった。
僕はその仕草も含めて染み付いた。
はたしてそのディナーにいくらかかったか。
僕はよく分からない。
金額も言わずゆっかーはまた例のカードを店員にわたしたからだ。おそらく、そうするのは僕に気を負わせないためかもしれない。
1週間くらい前に代官山で午後九時ね。
と言われた。
「わりとカジュアルな所だから」
ゆっかーはそのときそう言っていた。
だけどゆっかーのカジュアルと僕のカジュアルは、
違う。当たり前だけど。
僕にとってカジュアルは大戸屋、日高屋、くるまやラーメンで、これはもはやカジュアルと
さえ呼ばないほどカジュアルだ。
うまいけどさ。勿論。
一方、ゆっかーのカジュアルは、ホテルの最上階にあるイタリアンであり、南青山の創作フランス料理だ。
まったくカジュアルじゃない。
「ほら、ここ。」
繋いだ手をちょっと上げてその店を示した。
赤らんだ照明と深緑の樹木。
タイル張りの床。看板は煉瓦造りで
「bistro Augustas」
と書いてある。
僕は恐怖した。
「行こ。」
と嬉しそうに言うゆっかーを尻目に。
店は軽井沢の小洒落た別荘みたいなロッジで、
一歩踏み出す度木の床が軋む。
店内はあまり広くない。白いクロスが掛かったテーブルが五つほど。中央にはキャンドルライト。
客は札束を着込んだような紳士熟女が、
2組端のテーブルについている。
そして。よく見るとその2組のテーブルがあるさらに奥滲むような都市の夜景が見渡せるテーブルにちいさな札が置いてあった。
札はreserveと書いてあり、それを見つけると、「ここかな」とゆっかーか呟いた。
僕は「そうじゃない?」と上ずって呟き、とりあえず席につく。しばらくして、「お嬢様ようこそ、」と森有礼みたいな店員がゆっかーのもとに来た。
「あ、どうもお久しぶりです」
ゆっかーは夏の日差しみたいなきらきらした笑顔でそう応えた。僕はその笑顔に見蕩れた。
「今日は婚約者の方のお誕生日とかで」
その僕を一瞥し、ゆっかーに訊く。ゆっかーは
「いや婚約者なんてそんな…恋人です。だけどいずれは…けっこ…なんてやめてくださいよもう」
と独り相撲をしていた。
店員はにやにやしながら「それは失礼しました」とお辞儀してそのあと、黒革のやたら重いA4くらいのノートみたいなメニューを僕らにわたした。
そのメニューを見て凍り付いた。
だいたいの品目が五千円以上だからだ。
僕はたのしそうにメニューをめくるゆっかーがだんだん信じられなくなった。
そう、信じられないのは値段だけでなく味もだ。
舌をかみそうな長い名前のステーキも、
ゆっかーが注文するとき何度も噛んでた、さ行のソテーも
どれも胃の腑と脳裏に染み付いて離れないほど美味しかった。
「んー。」と言いながら首を小さく揺らし料理をたべるゆっかーの様はやはり年相応の女の子だった。
僕はその仕草も含めて染み付いた。
はたしてそのディナーにいくらかかったか。
僕はよく分からない。
金額も言わずゆっかーはまた例のカードを店員にわたしたからだ。おそらく、そうするのは僕に気を負わせないためかもしれない。
220dinner(茸) (ニククエ Sdaa-GTp3)
2019/07/29(月) 21:34:41.68ID:NWaWnzpbdNIKU 夜空の黒がより一層濃くなっている。
僕はたまりかねてゆっかーに切り出した。
「なんかいっつも豪華なものばかりで…僕は毎年ほんとしょーもないのばっかでごめん…」
「ううん、全然、気にしないで」
「申し訳なくて…ほんとだったら僕となんて
釣り合わないのに…僕にあわせてもらって」
「そんなこと気にしてないよ。だって好きだから。」
ぎゅっと僕の手を握って僕の眼を見つめる。
「それにそうやって細かいこと気にするの悪いくせだよ。わたしなんにも気にしてないし。
なんかあったときずっと話聞いてくれるの君くらいなんだから…。
いつもはみんなにからかわれて本気にされないの。だけど君だけはいつも真剣だった。ちょっと笑っちゃうくらいに。そういうところを好きになったのに。」
続けざまにゆっかーは言う。
「うん。」
この頃の僕は劣等感の塊だった。
大学に入れば周りはみな僕より自信ありげで、
要領もいい。二人で歩けば姉弟みたい、玉の輿だ、似合ってないと言われる。
その度に僕は今すぐ手を離して逃げ出したくなる。
好きだから尚更そうだ。
「わたしが気にしないんだから君も気にしないこと。」
ゆっかーは咳払いをし、人差し指を立てて言い聞かせるよう。
「それがわかったら君の奢りで珈琲とワッフルでも食べよう」
ゆっかーは悪戯っ子のような笑みを浮かべ、僕にいった。
やっぱりお金でも綺麗さでもなく人としての中身でまったく叶わないなと僕は思う。
基本人の悪口を言わないし卑下することもない。
そんなゆっかーに僕は恋人としての愛情ではなく、
一人間として尊敬する気持ちに変わりつつあった。
ゆっかーはそんなことを露知らずりんごと
ベリーのキャラメルワッフルと新メニューをうっとりとした顔で読み上げる。
そんな僕らを取り巻くこの代官山は
空気がダイアモンドを撒いたように燦然と瞬き、
アスファルトが雨上がりの濡れた夜空を反射していた。
了
僕はたまりかねてゆっかーに切り出した。
「なんかいっつも豪華なものばかりで…僕は毎年ほんとしょーもないのばっかでごめん…」
「ううん、全然、気にしないで」
「申し訳なくて…ほんとだったら僕となんて
釣り合わないのに…僕にあわせてもらって」
「そんなこと気にしてないよ。だって好きだから。」
ぎゅっと僕の手を握って僕の眼を見つめる。
「それにそうやって細かいこと気にするの悪いくせだよ。わたしなんにも気にしてないし。
なんかあったときずっと話聞いてくれるの君くらいなんだから…。
いつもはみんなにからかわれて本気にされないの。だけど君だけはいつも真剣だった。ちょっと笑っちゃうくらいに。そういうところを好きになったのに。」
続けざまにゆっかーは言う。
「うん。」
この頃の僕は劣等感の塊だった。
大学に入れば周りはみな僕より自信ありげで、
要領もいい。二人で歩けば姉弟みたい、玉の輿だ、似合ってないと言われる。
その度に僕は今すぐ手を離して逃げ出したくなる。
好きだから尚更そうだ。
「わたしが気にしないんだから君も気にしないこと。」
ゆっかーは咳払いをし、人差し指を立てて言い聞かせるよう。
「それがわかったら君の奢りで珈琲とワッフルでも食べよう」
ゆっかーは悪戯っ子のような笑みを浮かべ、僕にいった。
やっぱりお金でも綺麗さでもなく人としての中身でまったく叶わないなと僕は思う。
基本人の悪口を言わないし卑下することもない。
そんなゆっかーに僕は恋人としての愛情ではなく、
一人間として尊敬する気持ちに変わりつつあった。
ゆっかーはそんなことを露知らずりんごと
ベリーのキャラメルワッフルと新メニューをうっとりとした顔で読み上げる。
そんな僕らを取り巻くこの代官山は
空気がダイアモンドを撒いたように燦然と瞬き、
アスファルトが雨上がりの濡れた夜空を反射していた。
了
221稲川ぽん(茸) (ニククエ Sdaa-GTp3)
2019/07/29(月) 21:52:00.69ID:NWaWnzpbdNIKU 毎年怪談をやっていますとね、お会いした方に、
こんなことがあったんですけどね。
ってお話を頂くんです。
もっとも皆さんの前でお話できるほどのものもあればこれは出来ないなというものまでありまして、
できない理由というのは色々あって、ひとつは皆さんにお話をしたことがあるもの。2つ目はあまり怖くないもの。そして3つ目は怖すぎるもの。
それはひたすらわたしの観察日記を書いてるオダナナの話。今回はその怖すぎる話をしたいと思います。ってそんな怪談を話してみたい。
でもできない こんばんは小林由依です♪
こんなことがあったんですけどね。
ってお話を頂くんです。
もっとも皆さんの前でお話できるほどのものもあればこれは出来ないなというものまでありまして、
できない理由というのは色々あって、ひとつは皆さんにお話をしたことがあるもの。2つ目はあまり怖くないもの。そして3つ目は怖すぎるもの。
それはひたすらわたしの観察日記を書いてるオダナナの話。今回はその怖すぎる話をしたいと思います。ってそんな怪談を話してみたい。
でもできない こんばんは小林由依です♪
222理佐ちゃん至上主義者の庭(家) (ワッチョイWW 6316-Aoic)
2019/07/30(火) 14:45:07.85ID:hhi3sZ8G0223名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW 87b7-wawx)
2019/07/30(火) 22:47:09.35ID:p34uTJLe0224保守目的に軍曹復活(大阪府) (ワッチョイ 87b7-ZVB1)
2019/07/31(水) 22:15:48.78ID:o1mGywuk0 緑濃き初夏の雑木林、まだ蝉の鳴声が土中に眠る五月半ばのことである。
間怠っこい蝉声なんかいつまで経とうが鳴き始めそうにない、そんな軽い地面をさらうように蹴ってみた。
僅かに渦巻きながら土埃が立ち昇る。生物はすべて、若い間は軽い魂であることを思い出す。
鼻孔を通り抜ける空気のなかに、土埃には含まれることのないような自然とは違う種類の匂いを認めた。
しかしながら、確かにその匂いは自然のものではないのだが、昔からありふれた環境に薫るものであるため、別段に驚くこともない。
「やあ」
その声さえも自然の一部で、決して異質なものでない。
でも何故だろうか、彼女を見る度に心に騒ぎたがっている気がするのである。
土中の幼虫は鳴き声を発さないはずであるのに、一体どうしたことだろう。
「おはよう茜ちゃん、何してるの?」
「さっき蝶々が飛んでて、それを追いかけてきた」
「見つかった?」
「ううん、どっか行っちゃった。それよりさ、家に麦茶ない?」
「麦茶?あると思うけど…」
「本当!?暑くってさ、何か急に飲みたくなった」
二人で家に向かって歩いていると、視界の端くれに蝶々の羽が一瞬だけ光った。
あっ、と声をあげるよりも前に儚くも消えてしまった。
隣で必死に蝶々を探す茜ちゃんの真剣な眼がおかしくて、思わず笑みが溢れた。
見つけたらもう二度と逃がすまい。初夏には少々暑苦しいそんな気概が漂ってきた。
まだまだ涼し気な頬は、夏を迎えてもしっかりとそこに存在してくれているだろうか。
蝶々のように急に飛び去っては行かないだろうか。
自分も同じことを考えているのだなと思い、再び目尻が綻びる。
移りゆく季節の中で、僅かばかり間怠っこいこの気持ちが軽く飛ばされてしまえばいいと願った。
はっきりとは色付いていない初夏の影は、地中を刳りこまないようにそっと動いていた。
間怠っこい蝉声なんかいつまで経とうが鳴き始めそうにない、そんな軽い地面をさらうように蹴ってみた。
僅かに渦巻きながら土埃が立ち昇る。生物はすべて、若い間は軽い魂であることを思い出す。
鼻孔を通り抜ける空気のなかに、土埃には含まれることのないような自然とは違う種類の匂いを認めた。
しかしながら、確かにその匂いは自然のものではないのだが、昔からありふれた環境に薫るものであるため、別段に驚くこともない。
「やあ」
その声さえも自然の一部で、決して異質なものでない。
でも何故だろうか、彼女を見る度に心に騒ぎたがっている気がするのである。
土中の幼虫は鳴き声を発さないはずであるのに、一体どうしたことだろう。
「おはよう茜ちゃん、何してるの?」
「さっき蝶々が飛んでて、それを追いかけてきた」
「見つかった?」
「ううん、どっか行っちゃった。それよりさ、家に麦茶ない?」
「麦茶?あると思うけど…」
「本当!?暑くってさ、何か急に飲みたくなった」
二人で家に向かって歩いていると、視界の端くれに蝶々の羽が一瞬だけ光った。
あっ、と声をあげるよりも前に儚くも消えてしまった。
隣で必死に蝶々を探す茜ちゃんの真剣な眼がおかしくて、思わず笑みが溢れた。
見つけたらもう二度と逃がすまい。初夏には少々暑苦しいそんな気概が漂ってきた。
まだまだ涼し気な頬は、夏を迎えてもしっかりとそこに存在してくれているだろうか。
蝶々のように急に飛び去っては行かないだろうか。
自分も同じことを考えているのだなと思い、再び目尻が綻びる。
移りゆく季節の中で、僅かばかり間怠っこいこの気持ちが軽く飛ばされてしまえばいいと願った。
はっきりとは色付いていない初夏の影は、地中を刳りこまないようにそっと動いていた。
225名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/01(木) 12:55:57.12ID:xEmzwj3JK >>224
かつての軍曹シリーズより更に一歩進んだ感じの文学的で深い味わいが素敵です
先般の映画に例えた話題の時に感じたんですが、自分と(元)庭先生の作品がワンカットで撮れる感じなのは、どちらも基本的に会話がメインであることが理由ではないでしょうか
もちろん庭先生の基本がハメ撮りであるのに対して自分は漫才とコントであるという差はありますが(笑)
基本的に会話以外の部分は会話の意味を補足・解説するための付属品的な感じです(だから自分はセリフだけで書きたくなったりもする)
大阪府先生や千葉県先生の場合は登場人物やセリフもすべてが物語の世界の構成要素のひとつひとつになっている感じなので
それが見事にキマっているのが感心しきりなのであります
かつての軍曹シリーズより更に一歩進んだ感じの文学的で深い味わいが素敵です
先般の映画に例えた話題の時に感じたんですが、自分と(元)庭先生の作品がワンカットで撮れる感じなのは、どちらも基本的に会話がメインであることが理由ではないでしょうか
もちろん庭先生の基本がハメ撮りであるのに対して自分は漫才とコントであるという差はありますが(笑)
基本的に会話以外の部分は会話の意味を補足・解説するための付属品的な感じです(だから自分はセリフだけで書きたくなったりもする)
大阪府先生や千葉県先生の場合は登場人物やセリフもすべてが物語の世界の構成要素のひとつひとつになっている感じなので
それが見事にキマっているのが感心しきりなのであります
226Here comes my love(茸) (スップ Sd43-3IqM)
2019/08/01(木) 16:33:28.34ID:Dvjl6gfKd 車列が滲み焼き魚の匂いがどこかから漂う。
「なんかいいにおいがする」
いくちゃんは鼻を動かしてあたりをキョロキョロさせる。季節はまもなく冬に向かう頃で吐息も白く凍えるようだ。僕はいくちゃんの手を握りながら言う。
「手、冷たいね」
いくちゃんは頬を膨らまして、
「あっためてよ」
そう言って腕を絡ませる。
柔らかな感触に僕はいくちゃんの顔を見る。
「どうしたの?」
いくちゃんは不思議そうな顔をした。
「うん?別に?」
「そっか」
いくちゃんは僕の腕をさらに抱きしめながら、
「家よっていい?」
と訊いた。
「うち、誰もいないよ?」
いくちゃんは最近姉と喋ることを楽しみの一つとしている。
「だからいいんじゃない」
いくちゃんは寒いのかだいぶ頬を赤くして答えた。
柔らかな感触がもっと強くなる。
「寒いから暖まりたいの」
いくちゃんは僕の目をじっとみる。
「温まる…?いくちゃん家の方が暖かいじゃない」
「だから違うの。君と温まりたいの。」
「じゃ僕が行こうか?」
「家、お母さんいるから」
「ふうん」
「だから、家行ってもいい?」
「いいけど」
いくちゃんはスカートの丈を折って短くさせて、
「早く行こ」
と僕の手を引っ張った。
いくちゃんの手は何故か酷く汗ばんでいる。
その日、いくちゃんは家に泊った。
「なんかいいにおいがする」
いくちゃんは鼻を動かしてあたりをキョロキョロさせる。季節はまもなく冬に向かう頃で吐息も白く凍えるようだ。僕はいくちゃんの手を握りながら言う。
「手、冷たいね」
いくちゃんは頬を膨らまして、
「あっためてよ」
そう言って腕を絡ませる。
柔らかな感触に僕はいくちゃんの顔を見る。
「どうしたの?」
いくちゃんは不思議そうな顔をした。
「うん?別に?」
「そっか」
いくちゃんは僕の腕をさらに抱きしめながら、
「家よっていい?」
と訊いた。
「うち、誰もいないよ?」
いくちゃんは最近姉と喋ることを楽しみの一つとしている。
「だからいいんじゃない」
いくちゃんは寒いのかだいぶ頬を赤くして答えた。
柔らかな感触がもっと強くなる。
「寒いから暖まりたいの」
いくちゃんは僕の目をじっとみる。
「温まる…?いくちゃん家の方が暖かいじゃない」
「だから違うの。君と温まりたいの。」
「じゃ僕が行こうか?」
「家、お母さんいるから」
「ふうん」
「だから、家行ってもいい?」
「いいけど」
いくちゃんはスカートの丈を折って短くさせて、
「早く行こ」
と僕の手を引っ張った。
いくちゃんの手は何故か酷く汗ばんでいる。
その日、いくちゃんは家に泊った。
227理佐ちゃん至上主義者の庭(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/01(木) 22:10:19.44ID:J1zNrPAc0228名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/02(金) 12:05:00.51ID:Q59MwGgTK >>226
一人称で書かれていても主人公の内面とか下心を直接的に書かないところが、味わいの素であり純文学的な香りの素であり庭先生や自分との違いなんでしょうね
http://o.5ch.net/1i96x.png
スレチ
一人称で書かれていても主人公の内面とか下心を直接的に書かないところが、味わいの素であり純文学的な香りの素であり庭先生や自分との違いなんでしょうね
http://o.5ch.net/1i96x.png
スレチ
229名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW bdb7-Rd6d)
2019/08/02(金) 18:22:55.43ID:bKPq58ib0230名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW bdb7-Rd6d)
2019/08/02(金) 18:27:10.97ID:bKPq58ib0 >>228
この絵が誰か気になるので早めに答え合わせがあることを切に願います。
この絵が誰か気になるので早めに答え合わせがあることを切に願います。
231名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/02(金) 19:21:14.66ID:Q59MwGgTK >>230
お待たせ致しましたm(_ _)m
先生が>>139で調べてくれたのと同じくSTU48岩田陽菜がモデルです
元ネタ(後半に出てくる)
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1156837454822821889/pu/vid/1280x720/70ZimH7cge7fm0Vu.mp4
以前からよく描いてる子のうちの1人なんですが
主な理由はもちろん『描きやすい顔だから』です(笑)
http://i.imgur.com/DQyAhQn.jpg
http://o.5ch.net/1i8fx.png
お待たせ致しましたm(_ _)m
先生が>>139で調べてくれたのと同じくSTU48岩田陽菜がモデルです
元ネタ(後半に出てくる)
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1156837454822821889/pu/vid/1280x720/70ZimH7cge7fm0Vu.mp4
以前からよく描いてる子のうちの1人なんですが
主な理由はもちろん『描きやすい顔だから』です(笑)
http://i.imgur.com/DQyAhQn.jpg
http://o.5ch.net/1i8fx.png
232名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW bdb7-Rd6d)
2019/08/02(金) 20:42:50.14ID:bKPq58ib0 >>231
早速ありがとうございますm(_ _)m
書店で2回手を伸ばした本は買えといいますが、同じ子の絵に2回も釣られた場合はやはりその子を推すべきなんでしょうかw
それくらいチワン先生の描く岩田陽菜ちゃんは魅力的です
素人なので描きやすさについてはわからないのですが、大きな口元に魅力がある気がしますね
早速ありがとうございますm(_ _)m
書店で2回手を伸ばした本は買えといいますが、同じ子の絵に2回も釣られた場合はやはりその子を推すべきなんでしょうかw
それくらいチワン先生の描く岩田陽菜ちゃんは魅力的です
素人なので描きやすさについてはわからないのですが、大きな口元に魅力がある気がしますね
234名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/03(土) 23:40:32.89ID:6/fJpxlE0 >>229
服を脱がなくても良いなんて達人の域やないですか(-o-;)
服を脱がなくても良いなんて達人の域やないですか(-o-;)
235夢で逢えたら 第14話(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/04(日) 00:04:24.24ID:AnaSwtdN0 「浮気してんじゃねーよ」
愛しの嫁葵を乗せた電車を見送る俺の背後に忍びよりドス声浴びせかける謎のドス声
「はい!?」
突然のドス声に驚きながら振り向く俺
そこには逢いたいと切望して夢にまで見たというか夢の中にしか存在しない天地開闢以来の美人理佐ちゃんが!?
「うおっ!?」
初めてちゃんと見たけどめっちゃ美人が過ぎる理佐ちゃんに驚きの悲鳴上げる俺
「なに驚いてんのよ?」
なんて不機嫌な顔して俺を詰る理佐ちゃん
どうやら理佐ちゃんに逢うために夢の中に訪れてるくせに年下の幼なじみ葵との新婚生活に幸せを感じてる流されやい俺を怒っているらしい理佐ちゃん
「いきなり理佐ちゃんに好かれてるなんて素晴らし過ぎる!」
さすが自分の夢だけあって都合良く始まる展開に喜ぶ俺
夢見術に感謝カンゲキ雨嵐すっかり葵を忘れる俺なのである
「なにヘラヘラ笑ってんのよ?」
喜ぶ俺にますます怒る理佐ちゃん
「ごめんごめん、ついに憧れの理佐ちゃんとカレカノな関係の夢を見れてることに感激してんだよね」
愛しの理佐ちゃんにデレデレな俺
「訳わかんないこと言ってんじゃねーよ」
なんてドス効かす理佐ちゃん
「えっ、違うの・・・」
自分の夢だけに都合良く考え過ぎていただけにちょっとガッカリする俺に
「違うよ!私たち結婚してんでしょ!」
なんて膨れっ面しながら文句言う理佐ちゃん
「結婚してんの!?」
いくら夢とはいえあまりにも早い展開に驚く俺
「ほら、夢じゃないでしょ」
言いながら俺のほっぺたをつねる理佐ちゃん
「いたたたた〜」
信じられないくらいの痛みに悲鳴あげながらも頬にかんじる理佐ちゃんの指先に理佐ちゃんと新婚さんなんだと幸せが溢れる俺
それにしても夢なのにめっちゃ痛えな、、、
つづく
愛しの嫁葵を乗せた電車を見送る俺の背後に忍びよりドス声浴びせかける謎のドス声
「はい!?」
突然のドス声に驚きながら振り向く俺
そこには逢いたいと切望して夢にまで見たというか夢の中にしか存在しない天地開闢以来の美人理佐ちゃんが!?
「うおっ!?」
初めてちゃんと見たけどめっちゃ美人が過ぎる理佐ちゃんに驚きの悲鳴上げる俺
「なに驚いてんのよ?」
なんて不機嫌な顔して俺を詰る理佐ちゃん
どうやら理佐ちゃんに逢うために夢の中に訪れてるくせに年下の幼なじみ葵との新婚生活に幸せを感じてる流されやい俺を怒っているらしい理佐ちゃん
「いきなり理佐ちゃんに好かれてるなんて素晴らし過ぎる!」
さすが自分の夢だけあって都合良く始まる展開に喜ぶ俺
夢見術に感謝カンゲキ雨嵐すっかり葵を忘れる俺なのである
「なにヘラヘラ笑ってんのよ?」
喜ぶ俺にますます怒る理佐ちゃん
「ごめんごめん、ついに憧れの理佐ちゃんとカレカノな関係の夢を見れてることに感激してんだよね」
愛しの理佐ちゃんにデレデレな俺
「訳わかんないこと言ってんじゃねーよ」
なんてドス効かす理佐ちゃん
「えっ、違うの・・・」
自分の夢だけに都合良く考え過ぎていただけにちょっとガッカリする俺に
「違うよ!私たち結婚してんでしょ!」
なんて膨れっ面しながら文句言う理佐ちゃん
「結婚してんの!?」
いくら夢とはいえあまりにも早い展開に驚く俺
「ほら、夢じゃないでしょ」
言いながら俺のほっぺたをつねる理佐ちゃん
「いたたたた〜」
信じられないくらいの痛みに悲鳴あげながらも頬にかんじる理佐ちゃんの指先に理佐ちゃんと新婚さんなんだと幸せが溢れる俺
それにしても夢なのにめっちゃ痛えな、、、
つづく
236名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/04(日) 00:48:13.73ID:1Ktj7gUIK237名無しって、書けない?(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/04(日) 10:39:50.50ID:AnaSwtdN0238名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/04(日) 17:52:01.06ID:1Ktj7gUIK239ヌードにも芸術的価値はありまぁす!(大阪府) (ワッチョイ bdb7-7ShF)
2019/08/04(日) 21:52:17.28ID:31upeAk80240揺れる(千葉県) (ワッチョイW 9b15-C3V+)
2019/08/04(日) 22:04:05.47ID:FGWrhfs40 銀の車体が傾斜しながら県境を渡る。
その境目は春と夏を分かつようで、今僕が向かう先は風に戸を揺らしながら夏だった。
首をあげた刹那に右顬と首がつめたいものを食べたあとのように痛んだ。
季節の変わり目に弱いのか、気圧のせいか遺伝で僕はずっとこの偏頭痛に悩まされている。
「おは」
その時携帯が震え画面にそのような文字列が並ぶ。
相手は新潟にいる彼女だ。時間はただ今15時58分。
昼迄寝ていたらしい。世間的にはおはようではない。
列車は減速して船橋駅に滑り込む。
熱風がエアコンの風を掻き混ぜて不快に肌が湿った。
「いつまで寝てたんだよ」
僕はそう返事を送る。
「うっさい」
すぐさまそうかえってくる。その勢いが怖い。
「というかこっち帰ってこないの?」
津田沼駅に着いた頃、彼女からそう訊かれる。
「8月下旬ごろ」
そう返すと、
「遅い」
と言ったきりなにも返ってこなくなった。
現在8月2日。列車はゆっくりと夏の扉を開かんとしている。エアコンの風が首筋を刺す。
その境目は春と夏を分かつようで、今僕が向かう先は風に戸を揺らしながら夏だった。
首をあげた刹那に右顬と首がつめたいものを食べたあとのように痛んだ。
季節の変わり目に弱いのか、気圧のせいか遺伝で僕はずっとこの偏頭痛に悩まされている。
「おは」
その時携帯が震え画面にそのような文字列が並ぶ。
相手は新潟にいる彼女だ。時間はただ今15時58分。
昼迄寝ていたらしい。世間的にはおはようではない。
列車は減速して船橋駅に滑り込む。
熱風がエアコンの風を掻き混ぜて不快に肌が湿った。
「いつまで寝てたんだよ」
僕はそう返事を送る。
「うっさい」
すぐさまそうかえってくる。その勢いが怖い。
「というかこっち帰ってこないの?」
津田沼駅に着いた頃、彼女からそう訊かれる。
「8月下旬ごろ」
そう返すと、
「遅い」
と言ったきりなにも返ってこなくなった。
現在8月2日。列車はゆっくりと夏の扉を開かんとしている。エアコンの風が首筋を刺す。
241揺れる(千葉県) (ワッチョイW 9b15-C3V+)
2019/08/04(日) 22:04:49.66ID:FGWrhfs40 列車を出ると湿気った熱風が体中を包んだ。
僕は脳内で暴れる偏頭痛を指で揉みながら抑える。しかし収まる様子はなく自宅に帰ってからも黙ってクーラーの訊いた布団で眠っていた。
うとうとと眠って着信に気づいたのは2時間ほど経ってからである。
「まなか」と書かれた不在着信があった。
僕は2時間前でありながらすぐさまかけ直す。
密室のなかで呼出音が寂しく響く。
音は壁に吸い込まれ、消える。
「もしもし」
だいぶ不機嫌な彼女が出た。
「寝てた?」
続けざまに彼女が訊く。
「うん」
そう言うと「すぐ出てよ」 さらに言われた。
「ごめん」
機嫌が悪くなるとめんどくさい。
「寂しいじゃん」
しばらくして小声で言う。
「なに」
わざとききかえすと、
「うざい」
と言って切られた。
そのあとで「できれば早めに帰ってきて」
とLINEが来る。彼女はそういう人だった。
僕は脳内で暴れる偏頭痛を指で揉みながら抑える。しかし収まる様子はなく自宅に帰ってからも黙ってクーラーの訊いた布団で眠っていた。
うとうとと眠って着信に気づいたのは2時間ほど経ってからである。
「まなか」と書かれた不在着信があった。
僕は2時間前でありながらすぐさまかけ直す。
密室のなかで呼出音が寂しく響く。
音は壁に吸い込まれ、消える。
「もしもし」
だいぶ不機嫌な彼女が出た。
「寝てた?」
続けざまに彼女が訊く。
「うん」
そう言うと「すぐ出てよ」 さらに言われた。
「ごめん」
機嫌が悪くなるとめんどくさい。
「寂しいじゃん」
しばらくして小声で言う。
「なに」
わざとききかえすと、
「うざい」
と言って切られた。
そのあとで「できれば早めに帰ってきて」
とLINEが来る。彼女はそういう人だった。
242揺れる(千葉県) (ワッチョイW 9b15-C3V+)
2019/08/04(日) 22:05:25.13ID:FGWrhfs40 「へぇ、新潟なんだぁ」
とろんとした口調で小池美波が言う。
「あぁ、まぁ。」
グラスに半分ばかり残ったビール。
飲み放題の安さが売りの神田駅近く、3階建ての雑居ビル。その2階で今日、ゼミの飲み会が開かれている。そこで僕は偶然小池と隣になった。
ゼミは日本近代文学ゼミで今にも死にそうな老人が担当で、ゼミ生は15人前後。男女比は6:4。
「お酒苦手じゃなかったの?」
僕は烏龍ハイのグラスを傾けて訊く。
「うん。苦手なんやけど、でもこういうの断れなくて」
「ふうん。」
「それにな。うち、大学から家まで1時間半かかるからもう帰らなあかんねん」
腕時計を見る。時刻は十時半。
シンデレラはかなり早いおかえりである。
「僕も帰ろうかな」
かく言う僕も家までは1時間少しあった。
「じゃ、お先失礼します」
小池の甘い声がけたたましいばかりの座に溶ける。
僕もついでに帰ろうとしたら、
「おっ、ついにみいちゃんをお持ち帰りかぁ」
と先輩が囃し立てる。
先輩は4年。今回は就職活動が無事終了したことの報告もかねて参加している。
どうやら就職先は教授のコネで決まったらしい。
「お疲れ様」
齋藤冬優花は先輩の隣をキープしながら、さっと、僕らを一瞥する。
「お先」
店を出たのは午後10時40分であった。
とろんとした口調で小池美波が言う。
「あぁ、まぁ。」
グラスに半分ばかり残ったビール。
飲み放題の安さが売りの神田駅近く、3階建ての雑居ビル。その2階で今日、ゼミの飲み会が開かれている。そこで僕は偶然小池と隣になった。
ゼミは日本近代文学ゼミで今にも死にそうな老人が担当で、ゼミ生は15人前後。男女比は6:4。
「お酒苦手じゃなかったの?」
僕は烏龍ハイのグラスを傾けて訊く。
「うん。苦手なんやけど、でもこういうの断れなくて」
「ふうん。」
「それにな。うち、大学から家まで1時間半かかるからもう帰らなあかんねん」
腕時計を見る。時刻は十時半。
シンデレラはかなり早いおかえりである。
「僕も帰ろうかな」
かく言う僕も家までは1時間少しあった。
「じゃ、お先失礼します」
小池の甘い声がけたたましいばかりの座に溶ける。
僕もついでに帰ろうとしたら、
「おっ、ついにみいちゃんをお持ち帰りかぁ」
と先輩が囃し立てる。
先輩は4年。今回は就職活動が無事終了したことの報告もかねて参加している。
どうやら就職先は教授のコネで決まったらしい。
「お疲れ様」
齋藤冬優花は先輩の隣をキープしながら、さっと、僕らを一瞥する。
「お先」
店を出たのは午後10時40分であった。
243揺れる(千葉県) (ワッチョイW 9b15-C3V+)
2019/08/04(日) 22:06:11.90ID:FGWrhfs40 高尾行きの快速は乗客がひとつ飛ばしに座っていた。小池は端の席を目ざとく見つけて陣取る。
僕はその隣なに座る。その途端、
「お持ち帰りってなに」
とろんとした眼差しで小池はそう訊かれた。
「さぁ、なんだろうね」
青、緑、紫の繁華街を中央線は駆ける。
僕はそれをみて答えを誤魔化す。
ホテル・ニューヨークとはなんとも貧相な名前だとおもいながら。
「わかったぁ。君が無理やりわたしのことを」
濃紺のシャツはエアコンの風に揺れる。
小池に乗客の視線が集まる。
「しっ」
僕は小池のシャツを引っ張って座らす。
咳払いの重なり。カーブに列車が揺れると快速は新宿駅に到着する。
「そういえば最寄り駅どこ?」
僕は何となく訊く。
無言の空間が嫌だった。
「八王子。」
小池はそういって欠伸をする。
僕はふうんとただそれだけ言う。
そのとき着信があった。
彼女だった。
僕はまばらな乗客のどこか虫の居所が悪そうな顔を察して画面だけを見つめて無視する。
しかし小池が、「誰?」と僕の画面を見つめて
勝手に通話のボタンを押してしまったのだ。
「もしもし」
コール時間が長かったせいか彼女は不機嫌で、
僕は携帯を小池の手から救いあげようとする。
しかし俊敏な動きで躱されてしまう。
そして「もしもし?誰?」
と小池が彼女と会話し始めたのだ。
「あんた、誰よ。はっ、なに?」
棘のある声が指に耳に刺さる。
「わたし?小池美波です。いま?いまは、えーっと、あ、お持ち帰りされてまーす」
と小池はそれだけヘロヘロした口調で言って携帯を突っ返してきた。
「お前帰ってきたら覚えてろよ」
彼女はそう言って切る。悪夢である。
小池はそれっきり起きなかった。
完全に寝込んでいたのだ。
僕はその隣なに座る。その途端、
「お持ち帰りってなに」
とろんとした眼差しで小池はそう訊かれた。
「さぁ、なんだろうね」
青、緑、紫の繁華街を中央線は駆ける。
僕はそれをみて答えを誤魔化す。
ホテル・ニューヨークとはなんとも貧相な名前だとおもいながら。
「わかったぁ。君が無理やりわたしのことを」
濃紺のシャツはエアコンの風に揺れる。
小池に乗客の視線が集まる。
「しっ」
僕は小池のシャツを引っ張って座らす。
咳払いの重なり。カーブに列車が揺れると快速は新宿駅に到着する。
「そういえば最寄り駅どこ?」
僕は何となく訊く。
無言の空間が嫌だった。
「八王子。」
小池はそういって欠伸をする。
僕はふうんとただそれだけ言う。
そのとき着信があった。
彼女だった。
僕はまばらな乗客のどこか虫の居所が悪そうな顔を察して画面だけを見つめて無視する。
しかし小池が、「誰?」と僕の画面を見つめて
勝手に通話のボタンを押してしまったのだ。
「もしもし」
コール時間が長かったせいか彼女は不機嫌で、
僕は携帯を小池の手から救いあげようとする。
しかし俊敏な動きで躱されてしまう。
そして「もしもし?誰?」
と小池が彼女と会話し始めたのだ。
「あんた、誰よ。はっ、なに?」
棘のある声が指に耳に刺さる。
「わたし?小池美波です。いま?いまは、えーっと、あ、お持ち帰りされてまーす」
と小池はそれだけヘロヘロした口調で言って携帯を突っ返してきた。
「お前帰ってきたら覚えてろよ」
彼女はそう言って切る。悪夢である。
小池はそれっきり起きなかった。
完全に寝込んでいたのだ。
244庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/05(月) 11:11:54.67ID:I9ICIKDQ0245庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/05(月) 11:17:29.43ID:I9ICIKDQ0246名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイWW bdb7-Rd6d)
2019/08/05(月) 22:20:14.23ID:p9A3YzQE0 >>243
まあ修羅場ではありますが、何とも羨ましい状況ですねw
>>244
なるほど、考えてみれば芸術のための芸術はもうほとんど存在しないですね
それよりもてちこさん失敗の一幕ですが、泣いてる女の子を見ると守りたくなるのが普通だと思うんですけど、なぜ理佐ちゃんの場合は美しいという感想が第一に浮かんでしまうのでしょうか、先生
https://i.imgur.com/K7Rw2dv.gif
http://tvcap.info/2019/8/5/cuio190805-0050580734.jpg
まあ修羅場ではありますが、何とも羨ましい状況ですねw
>>244
なるほど、考えてみれば芸術のための芸術はもうほとんど存在しないですね
それよりもてちこさん失敗の一幕ですが、泣いてる女の子を見ると守りたくなるのが普通だと思うんですけど、なぜ理佐ちゃんの場合は美しいという感想が第一に浮かんでしまうのでしょうか、先生
https://i.imgur.com/K7Rw2dv.gif
http://tvcap.info/2019/8/5/cuio190805-0050580734.jpg
247名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/06(火) 00:57:42.63ID:wBT7BImQK >>246
『美しい』という概念ならびに言葉
更には人間が美しさを感じる機能
というものは
理佐ちゃんという最高傑作が出来る日のために
神様が作り上げて用意していたものだからです
と言い出す…もとい、解説してくれるに1500ポイント
『美しい』という概念ならびに言葉
更には人間が美しさを感じる機能
というものは
理佐ちゃんという最高傑作が出来る日のために
神様が作り上げて用意していたものだからです
と言い出す…もとい、解説してくれるに1500ポイント
248庭と呼ばれた男(家) (ワッチョイWW f516-DQXz)
2019/08/06(火) 10:40:15.67ID:FG7wAyge0249名無しって、書けない?(ガラパゴス県) (ガラプー KK2b-meqT)
2019/08/06(火) 12:34:53.24ID:wBT7BImQK >>248
なりきって書いときました
なりきって書いときました
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