>>347
大規模化するための技術的ハードルは山積み

 今後、量子版ムーアの法則に従って超伝導量子コンピュータの集積度は順調に増大し続けるだろうか? 
超伝導量子コンピュータのハードウェア開発に携わる一研究者としての率直な意見は、「極めて困難」である。
なぜなら、大規模化するために乗り越えなければならない技術的ハードルが山積みだからである。

 最後に、読者、特に経営層のみなさんにぜひ認識していただきたいことがある。
現在大ブームとなっている量子コンピュータであるが、その商用化に向けた研究開発競争はまだスタート地点にたったばかりである。
商用化のためには、多くの技術課題を一つひとつ地道に解決しなければならない。
そのため、量子コンピュータがビジネスで本格活用されるのは2035年よりも大幅にあとになる可能性が極めて高い*2。つまり長期戦の覚悟が必要となる。