一方、正則写像の微分幾何を中心に展開した複素幾何学においては、
多様体上の特殊な計量の存在と一意性が主要な問題であった。カラビ予想の解決により
複素多様体の幾何学的構造がより詳しく論じられるようになったが、
正曲率の空間上の課題が残された。ポアンカレ予想の解決は
この動きに関連した成果である。
この間に小平・中野型のコホモロジー消滅定理が
特殊な連接層である乗数イデアル層へと拡張され、
標準計量の存在問題に応用された。
これをきっかけにして、L²評価の方法による乗数イデアル層の研究が盛んになった。