井上純一氏を糾弾すること、中国嫁日記を批判すること、表現物を否定すること。
そこには、成功者を陰から指弾するという悦び、高見から自分の地平まで引き摺り下ろすという昏い目的があります。

嫉妬や無軌道な憎悪は人間の最大の力であり、同時に自己と他者をつなぐ社会的行為でもあります。

人間は、自分の外に「世界」に目を向け、知り、それを記録するという意志によって、世界を豊かに成長させてきた一方で、
2chの中国嫁日記スレッドは当該作品と作者を「負の形」で後世に伝える装置としての役割を場を提供することで果たす運動体として近年機能してきました。

昨年の理不尽きわまりない●流出騒動に始まり、今回の中文版中国嫁日記出版に至る道程は、
作家井上純一氏にとって時に険しく、時に余りに厳しいものではありましたが、中国嫁日記は作者及び配偶者が、
一般読者と同じスタンスによって歩むという信念をもって執筆された、そう評価されてきた作品であります。

その作品はあまりに巨大になり、読者の意識が多様化する中にあっても、その「信」だけはつらぬくという意志を作者は持ちつづけてきたつもりでした。
しかし、時代が変わる中で、読者自体の変化の速度が常軌を逸していたということは改めて我々一同が認識しなければならない事実であるようです。

出来うる限りの自由な表現と自由な出会い、そして、それを求める人の動きは止めることができません。
それは人間の本能であるからです。より多くの物語を創り、そして受け止めようとする人々がいる限り、中国嫁日記は存在し続けなくてはなりません。
しかしながら、当該作品における2chのスレッドの無秩序な拡大を無制限に続けてきた結果、現れた問題は、あまりに巨大でまた余りに多岐にわたります。

もちろん、その渦中となったスレッド上でその諸問題を解決しようとするのは、もしかすると不遜なことかもしれません。
しかし、その解決を模索しなければ、もはやその持続・存在すら確保ができない状態となったのではないでしょうか。

今一度余分な脂肪、溜まってしまった澱を取り去り、運動体としての機能を活性化させて、
このスレが再構築されるべき時期に差し掛かったと考えるべきではないでしょうか。

ここに、提案します。
本スレの終了をもって、中国嫁日記スレは当分活動を休止したいと思います。
これは、表現の地平を求めて挑戦しつづけてきた井上純一氏の新たな方向性を見出すために、
現在の氏を無軌道かつ理不尽に糾弾する一部昏い悦楽を貪っている者のルーティンワークを一度すべて止め、