友人女性が証言「私が真犯人」裁判で激しい攻防

 スピード違反をしたとして道交法違反に問われた福岡県内の女性事務員(24)をめぐる福岡地裁の裁判が異例の展開を見せている。友人女性が起訴後に「私が運転した真犯人」と名乗り出たためだ。速度違反自動監視装置(オービス)に記録された運転者の写真鑑定や証言の信用性について、検察と弁護側が激しい攻防を繰り広げている。

 起訴状では、被告は2015年1月14日未明、同県福津市の国道3号で、法定速度(時速60キロ)を超える時速95キロで乗用車を運転したとしている。

 県警は、速度違反を感知すると車のナンバーや運転者を自動で撮影するオービスの記録から被告が運転していたと特定した。調べに対して被告が「普段は乗っているが、この時は運転していない」と主張したため、3Dで撮影した顔の画像とオービスの顔写真を鑑定。「同一人物の可能性が高い」との結果が出たという。

 一般道での速度超過が30キロ以上の場合、違反を認めれば罰金刑になることが多いが、否認を続けたため、17年12月に在宅起訴された。

 「私が運転した」と名乗り出た友人は、小中学校の同級生で、今年1月に弁護側証人として出廷。うそをつけば偽証罪に問われる可能性があると裁判官から説明を受けたうえで、「共通の友人を送るために(被告から)車を借りた。
社会人として恥ずかしいので違反を黙っていたが、(被告に)申し訳なく、正直に話すことにした」と証言した。被告も法廷で「友人をかばって本当の運転者が誰か、当初は言えなかった。お金には困っておらず、罰金を逃れたいわけでもない」と訴えた。

 一方、検察側は新たに、友人の顔とオービスの顔写真の鑑定を地裁に請求。地裁が行った鑑定で「別人である」との結果を受け、検察側は「被告が運転したのは明らか」と主張している。弁護側は「オービスの顔写真は画質も悪く、鑑定結果は信用できない。友人が偽証罪のリスクを負う理由もない」と反論している。裁判は11日に結審し、25日に判決が言い渡される予定。

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