>>112続き
いまや、チェルノブイリに生息する野生動物の数は、事故以前よりも多いといわれています。すなわち、約
30年間にわたって動物たちは被曝しつづけており、その潜在的な影響については確認できていないもの
の、『立入禁止区域』はあらゆる哺乳類の繁栄を支えてきたことになるのです。
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オコジョもいれば、オオカミもいる。
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ノロジカに、オオヤマネコ。

また、この研究は、人間の文明と野生動物との関係をもあきらかにするものでした。かつて、チェルノブイ
リの『立入禁止区域』にも多くの人間が暮らしており、もちろん土地は人間のために利用されていた……。
しかし、そこから人が消えたとたん、野生動物の数はまたたく間に増えたのです。すなわち、農業・林業・
狩猟といった人間の営みは、ともすれば放射線よりも動物たちに悪影響を与えてきたといえるでしょう。

福島とイノシシ
日本では2011年3月11日、東日本大震災と福島第一原発事故が発生しました。チェルノブイリがいわば『動
物たちの楽園』と化している一方、すこしだけ福島に目を転じてみることにしましょう。

現在、福島県の一部地域は『帰還困難区域』に指定されており、出入制限などが行われています。もっとも、
すでに避難区域をはじめとした地域でイノシシの野生化が問題となっており、人の暮らしている地域では
農業にも影響が出ているようです。もちろん、狩猟や捕獲はおこなわれているものの、放射能に汚染されて
しまったイノシシは処分すら難しい状況だといいます。
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放射線量基準のために出荷もできず、処分する費用もかさむ一方。