サルが野生のオオカミを飼い慣らして集団生活しているのが確認される

アフリカ・エチオピアなどに生息するゲラダヒヒというサルは、
体長約70センチメートルの大きさで、花や種子を食べ、
草原や岩場に数十頭の小規模な集団を形成して生活しています。
ゲラダヒヒにとって野生の犬やサーバルなどの小型の肉食獣は天敵であり、ゲラダヒヒの集団が襲われることも珍しくないとのこと。

これまで肉食獣と相容れないかに考えられていたゲラダヒヒですが、
エチオピアの動物学者が、捕食者として天敵ともなり得るオオカミがゲラダヒヒの集団で共生している様子を確認しました。
このオオカミはゲラダヒヒの集団内を悠然と動き回り、
ゲラダヒヒも逃げたりオオカミを撃退したりすることなく、まるでオオカミがそこにいないかのように振る舞っていたそうです。

ゲラダヒヒとオオカミの奇妙な共同生活を観察し続けた研究者は、
オオカミがゲラダヒヒの集団内に居るときの方が、単独行動しているときよりも
獲物であるネズミなどのげっ歯類を40%も多く獲得している事実が分かったとのこと。
つまり、オオカミにとってはゲラダヒヒの集団で生活することはより多くの獲物をゲットするチャンスがあり、大きなメリットがあるというわけです

研究者が長期間、ゲラダヒヒとオオカミの集団を観察したところ、
オオカミはゲラダヒヒの赤ちゃんを食べることはなかったとのこと。
無力な赤ちゃんザルを襲うことは容易なはずなのに、
あえて捕食しないことから、ゲラダヒヒとオオカミとの相互関係が非常に安定したものであると予想されています。


ゲラダヒヒがオオカミを許容する行動は、現時点ではメリットは不明ながら、
ウィンウィンの関係を築くためのサルによる家畜獲得のスタート地点と言えるのかもしれません。
http://gigazine.net/news/20150823-monkey-wolf-mutualism/
http://i.gzn.jp/img/2015/08/23/monkey-wolf-mutualism/a02.jpg
http://i.gzn.jp/img/2015/08/23/monkey-wolf-mutualism/a01.jpg