【生態学】北極に点在する緑のオアシスの正体は? キツネの巣穴が生態系を豊かにする
http://potato.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1464131223/
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052400179/

 「どこもかしこも茶色い景色のなかで、そこだけが緑色に輝いています」と、米国アラスカ州ノーススロープ郡の野生生物学者、ブライアン・パーソン氏は言う。「ですから、とても目立つのです」

 パーソン氏が言う「そこ」とは、ホッキョクギツネの巣のことだ。

 彼はほぼ10年をかけて、アラスカ北部全域におけるホッキョクギツネの行動を調査した。
体重3〜5キロのホッキョクギツネは、主にレミングなどの小動物を狩る肉食獣で、アラスカ、カナダからグリーンランド、ヨーロッパまでの北極地方全域に生息している。

 衛星通信対応の首輪を装着した個体を追跡調査したところ、彼らは東に向かってチュクチ海にたどり着き、そこから引き返して、海氷を渡りながら隣接するシベリアの沿岸をぐるりと迂回するように移動したという。

 茶色い大地に散らばった緑色の点を飛行機から見下ろすと、「そこにおよそどれくらいの数の巣穴があるかがわかります」と彼は言う。「ホッキョクギツネは土地を肥沃にします。いわば緑の庭を育てているのです」

 ツンドラの大地と鮮やかな対比を見せるホッキョクギツネの庭に関する、初めての学術論文を発表した学者らは、この動物を「生態系のエンジニア」と呼んでいる。

 2014年にカナダのマニトバ州チャーチル付近で行われた実験では、ホッキョクギツネが生み出す有機性廃棄物は、夏には一般的なツンドラ地帯の3倍にのぼる植物のバイオマス量を支えていることが判明した。