安直なアニメ声優志望に早くから釘を刺していたこの人が
結局は正しかった訳で


「アニメ流行の当節ならば“声優”というのは独立した職業のようにきこえもする。
 しかし、本来、声優という職能は、演技者(俳優)の持つ才能の一部でしかない。
 演技者であってこそ声優という部分の才能も発揮される。

 現に声優だけを職業として、その人気だけで自分の実力を楽しんでいる声優は少ない。
 声だけで演技するという事は、単なる発声の訓練ですむものではない。
 つまり、演技者(俳優)としての能力があって、初めてなし得るという事を忘れないで欲しいのだ。」

  1979年10月 富野喜幸