不飽和脂肪酸 wikipediaより

不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)とは、1つ以上の不飽和の炭素結合をもつ脂肪酸である。不飽和炭素
結合とは炭素分子鎖における炭素同士の不飽和結合、すなわち炭素二重結合または三重結合のことである。
天然に見られる不飽和脂肪酸は1つ以上の二重結合を有しており、脂肪中の飽和脂肪酸と置き換わることで、
融点や流動性など脂肪の特性に変化を与えている。また、いくつかの不飽和脂肪酸はプロスタグランジン
類に代表されるオータコイドの生体内原料として特に重要である。不飽和脂肪酸に二重結合が複数あると
き自動酸化されやすく油脂の酸敗や自然発火などの原因となっている。リノール酸で言えば11番の炭素原
子は二つの二重結合にはさまれていて活性を持つ。

性質
不飽和脂肪酸は同じ炭素数の飽和脂肪酸に比べて、低い融点を示し不飽和結合の数が多いほど顕著である。
魚類など寒冷地に生息する変温動物にとって、不飽和脂肪酸の低い融点は生体構成脂質として有用と考え
られるし、また魚類は多種多様な不飽和脂肪酸を利用している。不飽和脂肪酸が活性酸素と反応して生じ
る脂肪酸酸化物ラジカルは生体内で比較的長寿命であることから、DNAが活性酸素で切断される発癌機構に
対しての寄与も示唆されている。油脂に含まれる不飽和結合の割合はヨウ素価によって求めることができ、
値によって乾性油等に大別される。

エライジン化
オレイン酸などcis型不飽和脂肪酸を亜硝酸、セレン、亜硫酸などを作用させて(付加と引き続く脱離反応
で)融点の高いトランス体へと変換することをエライジン化 (Elaidinization) と呼ぶ。特にオレイン酸
は広く一般の油脂の成分として見出され、油脂をエライジン化すると融点が上昇して固化するが、リノー
ル酸・リノレン酸あるいは高度不飽和脂肪酸グリセリドの場合は固化しないので、オレイン酸の存在の指
標とされることがある。

命名法 :脂肪酸の命名法はIUPAC生化学命名法[1]に定義されている。すなわち、脂肪酸とそのアシル基の
命名はIUPAC有機化合物命名法 (Rule C-4) に従うまた許容慣用名や略号については下の表に示す。