女性を一個の唐揚げ弁当とする。
一個の唐揚げ弁当は、こうやって君の元に来る。

10代。
出来立ての弁当に、男たちが群がる。
唐揚げはジューシーで旨い。
米はつやつや、サラダもみずみずしくて綺麗な色。
我先にと奪い合うように、男たちが殺到する。
貪り喰うよ、タダだしな。

20代。
喰いかけの弁当に、男たちが近寄る。
唐揚げは少し変な臭いがする。
米はパサパサ、サラダは萎びてきた、けど喰える所も無くはない。
餓死するよりゃマシだと、男たちは口にする。
一時の空腹を満たすよ、タダだしな。

30代。
残った弁当に、誰も寄り付かない。
弁当は言う「どうして喰わないの?アンタ草食系?」
既に唐揚げは骨だけ、少し残った肉は腐って蛆が湧いてる。
弁当ガラには硬くなった米粒がこびり付き、サラダはしなびて変色している。
使用済みの爪楊枝が落ち、鼻をかんだ後のティッシュも入っている。
もはや弁当じゃない、残飯だ。

でもそんな残飯に、代金を支払う一人の男が現れる。
そう、それは君だ。

一個の唐揚げ弁当は、こうやって君の元に来る。