>>57の続き
そのような感覚、感情を振り切るようにテイタニアは首を横に振り「返事は期待しないが、
この部屋を掃除させてもらおう。」と要求した。
「今は……忙しい…………。」とキリコが答え終わる間も無く、テイタニアは問答無用で
キリコの家の中に入った、いや、押し入った。人間離れしたスピードでだ。
駅から徒歩7~8分のワンルームマンションの一室にあるキリコの家は、玄関に入るなり
汚部屋が広がっている。テイタニアはその部屋に入った瞬間、またしても人間離れした
スピードで掃除を始めた。
中身を出した後で床に放置された数え切れないスーパー、コンビニのポリ袋を、
室内を高速移動しながら全て拾い集めゴミ箱に捨てる。費やされた時間は1分少々といった
ところか。
キリコも呼応するように脱ぎ散らかした耐圧服の収納を始めた。耐圧服を手に取り、
クローゼットに収納。全ての耐圧服を収納するのに掛かった時間は僅かに15秒。
しかも、クローゼットにただ放り込んだのではない。全てハンガーに掛けた上での時間だ。
まさに、異能清掃体故に為せる技であった。
無造作に転がった空き缶、空き瓶、未読の書籍、雑誌を片付けていくと、久しく目にして
いなかったフローリングの床が見えてきた。そして床のゴミが全て片付くのにさほど時間は掛からなかった。
その様相は掃除というよりは、最早戦いと言っても過言ではなかった…………。

戦いと言っても過言ではなかった。