成立後は10年近くにわたって使われることのなかった「目的外使用罪」だが、
今年になって、ついにその封印は解かれた。起訴第一号となったのが、この山本さんだった。
 後述するとおり、山本さんは民事裁判の誤審によって、ひどい目に遭っている。
いわば司法被害者だ。その納得いかない思いを判事に聞いてほしいと、
最高裁の法廷で発言を求めたところ、警備員らによって、力づくで退廷させられた。
挙句に、身に覚えのない公務執行妨害と傷害罪という犯罪に問われることになった。
公判で山本さんは無実を訴え、世論の支援を求めようと実況検分の写真を
インターネットで公開した。すると、「目的外使用罪」という、あらたな罪に問われてしまったのである。
 検察は、長年使ってこなかった「目的外使用罪」を鞘から抜き、
冤罪を訴える山本さんを斬りつけた。以下、順を追って山本さんの身に起きた出来事を説明しよう。
この国で生活する以上、誰の身にも降りかかる可能性があり、知っておかないと
大変なめに遭ってしまうことがわかるはずだ。

(以下略)