グリーンランドに昔から住んでいるイヌイットの伝統的な食事は、いかに大量のオメガ-3系脂肪酸が
高脂肪食の健康への悪い効果を打ち消してくれるひとつの例証となっているが、イヌイットにとっての
真実は他のみんなにとっては真実ではないかもしれない。

研究チームは、イヌイットと彼らのシベリアの祖先には、オメガ-3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含む
海獣を主として食べる影響を打ち消すための脂質代謝の特別な遺伝子変異が見られることを発見したという。

191名のグリーンランド人と、60名の欧州人、44名の中国人のゲノムを比較した結果、この遺伝子変異は
100%のイヌイットにみられるが、欧州人では2%、中国人(漢民族)では15%にしかみられないことが明らかになった。
これがオメガ-3系脂肪酸の生合成をイヌイットとは異なるものにしているという。

「イヌイットはアザラシやクジラの高脂肪の肉を主食としているが心血管系疾患が少なく、
まったく健康そうに見えるのは魚油に保護効果があるからだと考えられてきた」とプロジェクトリーダーの
ラスムス・ニールセン教授は語っている。「今回我々が発見したのは、イヌイットが彼らの食生活に
ユニークな遺伝的適応をしているということだ。従って彼らの食事の効果を単純に他の集団に
応用することはできない。イヌイットにとってオメガ-3系脂肪酸は極めて良い物かもしれないが、
残りの我々にはそうではないかもしれないのだ。」

http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&;-Format=detail.htm&kibanID=51180&-lay=lay&-Find