「逆の結果を示した疫学研究もあるのです。スウェーデンの研究では、小太りの男性は、メタボでなくても死亡率・心血管系のイベント発生率が標準体重に比べて高くなる。
この研究の優れている点は、解析期間が30年と長いこと。小太りと標準体重では、最初の10年は死亡率などに差はないが、10年を超えると差が出てくる。つまり、小太りの弊害が出てくるには時間がかかるということです」。


ところで、実は「小太り長生き説」の裏には、こわい現実が隠れているのだ。東北大学は、目立たないが、大事な調査も2つ同時に行っている。1つは「肥満の度合いと病気になる率(有病率)の関係」だ。
最も病気になりにくいのは男性でBMI22.2、女性で21.9だった。ともに基準値の22に近い「標準体重」の人々だ。有病率は基準値を真ん中にU字型のカーブを描く。
やせるにつれ、太るにつれ、どんどん有病率は高くなる。「小太り」は抵抗力があるかもしれないが、「標準」より病気にかかりやすいのだ。


もう1つの調査は、「肥満の度合いと生涯医療費の関係」である。医療費の負担は、一番額が多いのが「肥満」で、「小太り」「標準」「やせ」の順で低くなる。
太るにつれて病状が重くなり、カネがかかることを示している。この2つの調査の意味するものは何か。ある専門医はサイトの中でこう語る。
「小太りは、確かに長生きするかもしれないが、『長生き=健康』ではないということだ。私は、長生きの寝たきりより、健康な標準を目指したい」。
https://www.j-cast.com/2015/11/22251033.html?p=all