>>80
T君はプライド高すぎて、負けず嫌いがすぐ涙になるタイプだった。
女の子や小さい子相手でも、絶対に譲りたくないし、自分が1番じゃないと気に入らない。
あれでいて意外と傷つきやすかったのかな。顔は理知的で中性的な美形だったし、色白でスラッとして、いかにもエリートな容姿ではあった。

睨んだ相手に文句つけられて…は、Mちゃんとの対立でよくあったな。
皆でカードゲームしてても、他の子が勝ちそうになると涙いっぱい溜めて、上目遣いに相手を睨みつける。
この時点で、真っ赤に充血した大きな目から、ボタッボタッと大粒の涙が落下。ズボンとかカーペットに落ちてた。
相手が俺やSちゃんなら良いけど、Mちゃんなら｢アンタ何がしたいの？！｣｢雰囲気悪くなるからやめて！｣と一蹴。
T君は目をカッと見開いて、唇ぷるぷるして数秒耐えるけど、グィーッと口元大きく歪めて結局号泣。
歯を食い縛ろうとするほど、激しく肩が揺れて、大きな嗚咽が響いてた。
こうなったら途中でゲームが中断してしまったし、涙の水たまりが拡がってトランプ数枚が犠牲になることもあった。

あと、T君は1つ下のK君が大嫌いだった。
彼が遊びに入ってくるだけで｢入らないでください！｣と牽制したり、遊具から突き落として大泣きさせてた。
K君は一度泣き出すと、大粒の涙ボロボロの頬を上げたまま、俺やMちゃんに縋ろうとする。
それでもT君はすました顔してて、Mちゃんに｢謝りなさいよ｣と問い詰められて、目鼻がスーッと赤くなる。
泣くな、と思って、隣で肩や背中をさすって宥めたら、フゥ、フゥ、と深呼吸して頭を冷やしてた。
ここで優しく｢やっぱりK君に謝ろうか｣と声かけたら、｢僕の方が年上なのに頭を下げろと？！理不尽だ！｣と唾を飛ばして逆ギレ。
Mちゃんにすかさず｢理不尽なのはT君じゃない！｣｢泣ーけ！泣ーけ！｣と囃し立てて、結局T君は大泣き。
う゛わぁぁあー、う゛ぉっ、う゛ぅ゛ーおおぉーーーッグ…とか色んな声出して、濁音混じりに泣いてた。
当然、特大の涙もボロボロ次々に落として、地面に水たまりどころか流れて小川ができることもあった。
落ち葉1枚くらいなら一緒に流れてくほどの勢いだったな。

K君は一時的に(3年生頃)、一応言葉が完成して、急に生意気にイキるようになった。その後はまた、元のほんわかキャラに戻ってたが…。
T君に毛嫌いされて攻撃されるのは変わらずで、見てて可哀想だったな。