>>16
物心着いたときにはT君は既に泣き虫で、毎日のように大泣きを間近で見てた。
でも1番よく泣いたのは、5歳から小4くらいまでの時期。
Mちゃんとの小競り合いも日常茶飯事だったし、1人だけ別の意見を主張して泣かされたり…。

近所のグループ内ではかなり頭も良くて、理詰めで相手を口撃するくせに、小突かれたりビンタされたら次の瞬間には目が真っ赤に充血。
鼻や頬も赤くして、一瞬キョトンとしたあと、「う、うぅっ、うぇぇえーーん…」と泣き出す。
両目合わせて同時に5、6粒、特大の涙があふれて、睫毛から直接ポタポタ。
そのまま泣き声も涙も止まらず、顔中ぐちゃぐちゃに変形させて泣いてた。
特にひどい暴力に曝されたら、泣き声が収まってからも肩まで震わせて過呼吸状態。
その間も大粒の涙がポタポタ、5秒くらいおきに目から直接落ちて、地面に巨大な水たまりができた。

なんとか泣き止もうとしても、また抓られたり嫌味言われて、小さい子たちにもシゲシゲ泣き顔見られて二度目の大泣き。
さすがに可哀想だから肩を持ったが、正直、T君が屁理屈をやめれば喧嘩にならないのにとは思った。

T君は泣いた跡がくっきり残るほうで、放課後に公園や児童館で泣かされたら、翌日の朝もまだ顔が浮腫んで赤くなってた。
割と整った顔立ちだったし、泣き跡残して登校した日は女子の視線が彼に集中してた。

ちなみに学校では寡黙な優等生で、KYな一面も見せないほど。学校での泣き顔はあまり印象にない。
Mちゃんとも別クラスだったし、いじめや喧嘩の被害に遭うのはうまく避けてたみたい。

高学年になってもしゃくりあげて泣いたけど、泣き声上げての号泣は減り、泣く頻度も減った。
高学年以降は、勉強やコンクール関連の悔し泣きが多かったかな。
そういう時は、一声かけるとやはり一気に「うぅっ」「うぇーん」とくぐもった泣き声上げて、小さい頃の幼児泣きに戻ってた。