「乾布摩擦で身体と精神鍛錬」病欠めっきり減る 長時間続けて強い意志養う

乾布摩擦で体力を鍛え「寒さなんか吹き飛ばせ」−とがんばっている小学校や保育園があちこちでみられる。これから寒さが厳しくなるにつれて厚着をするようになり、
運動不足にもなりがち。病気に対する抵抗力も弱まる一方、身体が硬いためころんだだけで思いがけない大けがをする例も珍しくない。
乾布摩擦の励行によって、病気や事故を未然に防ぐ体力をつけるにとどまらず、子供たちの精神力を養ううえにも大きな成果を上げている*県W郡S町の町立S小学校
(*校長、児童二百八人)の例を中心に、乾布摩擦の効用や心得を探ってみた。

昼食後の午後一時半、半そでのトレーニングシャツとパンツ姿の児童たちが校庭にかけ足で飛び出す。
教師の号令に従って一斉に約一分間の姿勢矯正、続いてラジオ体操で乾布摩擦の準備を整える。校庭に集まり始めたころ、寒そうに背を丸くしていた児童たちも、
ラジオ体操を終えて体がぬくもると、みんなのびのびとした表情に変わる。
いよいよ乾布摩擦のスタート。上半身裸になり、レコードに合わせて約五分間、各自が用意してきたタオルで全身をゴシゴシとこする。
体はやがて赤味を帯びていき、いかにも健康そう。「乾布摩擦をしたあとは気持ちがすっきりします。だんだん元気になっていくみたい」
と五年生の*さんと*さんは口をそろえる。解散後も半そでシャツ、短パン姿のままで掃除をしていた六年生の*君は
「乾布摩擦をするようになってからほとんど風邪もひかなくなりました。こんな服装でも寒さを感じません」と話す。
<年間通じ励行>
同校で乾布摩擦を体力づくりの一環として取り入れたのは、一昨年の十月から。それ以来、雨の日も廊下や体育館を利用するなど年間を通じて励行している。
また夏休み、冬休みなどの長期休暇も、学区の町内会やPTAの協力で続けている。こうした地域ぐるみの健康増進運動で、昨年は*県健康優良校に選ばれた。
<冬もシャツ一枚>
乾布摩擦の成果は−。*校長は「まず、病気で休む児童が少なくなった。風邪をひいても全般的に治りが早いようだ。また、登下校の時だけ学童服を着用し、
校内ではシャツ一枚という薄着の児童も多く、それだけ機敏に行動が出来るために骨折などの大けががなくなった。体の鍛錬で寒さに耐えられることと、
毎日の習慣づけから精神的な強さも養われていることは確か」と効果を認める。
同校に通う一年生の女児と二年生の男児を持つ*さんは「上の子は幼いころすぐ熱を出したり、食べ物をもどしたりしていましたが、
入学してからは欠席することもないほど元気になりました。学校から帰ってもランニングシャツの上に一枚重ねるだけで、くつ下もはかずに遊んでいます」と喜ぶ。

※「さん」と「君」の使い分けは原文ママ