死刑囚である小泉氏が提唱する理論の要点は、「万物光速理論」と呼ぶべきものだ。
この世のあらゆるものは、光速で動いていると。

小泉氏の式で表すならば、「 Vx^2+Vy^2+Vz^2+Vt^2=c^2 」である。

4つ目の次元である「T次元」はどこにあるのかについては、小泉氏の言及はない
が、おそらく、厚紙のような空間の「厚さ方向成分」のようなものと考えて差し支え
ないだろう。

厚紙のような空間の住民は、巨視的には世界は2次元だと認識しているが、
ミクロの世界では3次元空間である。
これと同様に、この世は3次元空間だと認識されているが、ミクロの世界では
4次元空間である。

厚紙のような空間の表面・裏面をそれぞれ「A面」「B面」と定義するとき、
A面から発してB面に到達し、B面に潜った粒子は、再度A面から現れて、再びB面に
向かうという空間構造である、ということであろう。

巨視的に3次元空間にみえる空間で光速未満に見える物体は、実は「T次元」方向の
速さ成分を持っていて、ミクロの世界では、万物が光速で走行している、ということ
である。

A面から発してB面に到達し、B面に潜った粒子が、再びA面から現れるとき、
質量に応じて、現れる位置に揺らぎが生じるとすれば、ミクロの不確定性の説明も
可能であるかもしれない。