次に、

  「S の空間原点は、S' では x' 軸方向に速度 -v で運動する点になる」

つまり、

   「 x = 0 を満たす (x, t) は、x' = -vt' を満たす (x', t') に変換されなければならない」

という条件を適用します(この時点で x = ct なんて制約はないことがわかります)そうなるためには a00〜a11はどのような値でなければならないかを調べる、ということです。

さらに、

  「S の原点を通り x 軸方向に進む光は、S' では原点を通り x' 軸方向に進む光になる」

ことから

  「x = ct を満たす (x, t) は x' = ct を満たす (x', t') に変換されなければならない」

という条件を適用します。

そうやって、係数を定めて行って、最終的に全部の係数を定めます。この係数は、最初に述べたように、すべての (x, y, z, t) に対して同じ係数ですし、x = ctに限るなんて制約もありません。

正比例という縛りがあると、一つの点での値が決まればすべての点での値が決まってしまうように、線形という縛りがあると、特定のいくつかの場合についての変換が決まればすべての場合についての変換が決まるのです。