【姉御】篠原美也子のANN【110番】
93年秋から2年間、水曜2部で放送されていたこの番組。
「モテない、金無い、受からない」のキャッチコピーで、男子浪人生などに人気を博しました。
主なコーナーとして、リスナーからの投稿によって小説を完成させる“篠原美也子文庫”、
篠原美也子作成の珍妙なグッズをプレゼントする“ミヤコロンドン”などがありました。
篠原美也子オフィシャルサイト room493
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Guitar/3094/
http://www.room493.com/
現在放送中、篠原美也子のありえない日々(WEBラジオも聴けます)
http://www.tbc-sendai.co.jp/fr_02radio.html
邦楽板の本スレ。
【二年目母さん】篠原美也子with龍part5【大奮闘】
http://music2.2ch.net/test/read.cgi/musicj/1067214023/ >137
そうだったんだ。登場人物を男から女に変えちゃったって話してたから、>>93-97かと思ったんだけど。 高速道路を埋め尽くした渋滞の列は全く動く気配がなかった。
事故かな、マコトはちらりと腕時計を見た。
5時を回り、辺りはもうほとんど暗くなっている。
12月31日、今年最後の日。
マコトは10年ぶりに故郷を目指していた。
日本海に面した小さな都市。
多分、もう雪をかぶっているはずの故郷。
間に合うかな、マコトは窓の外に目をやった。
吉村、杉山、長谷川、懐かしい顔が浮かんでくる。
奴等は来るだろうか。
4人は高校3年間を同じボクシング部で過ごした仲間だった。
卒業後、実力を見込まれたマコトは東京のジムへ、他の3人は地元で進学、就職と道は分かれたが、
進路が決まった18歳の大晦日、思い出の詰まった体育館のリングの上で、4人はある約束をしたのだ。
10年後の今日、午後11時55分、ここでもう一度会おう。
一人東京へ向かうマコトへの3人からのはなむけの言葉だったのかもしれない。
あれから10年。
「いまだに4回戦なんて、参るよな」
マコトは苦笑交じりに呟き、動かない車の列を見つめた。 久しぶりにキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!! 一方その頃、家賃4万円の某アパートで長谷川は一人寂しくコンビニ弁当だった。
「奴ら、来るかな」
突然、電話が鳴り響く。
長谷川は3回ほど待ってから受話器を取るや否や、
「おい、どうしちまったよ」
と、独特の早口が聞こえてきた。
上司の上西工場長だ。
しかし、言われていることの意味がよく掴めない。
長谷川が、そう困惑したのも束の間、
「早く来い、ラインが止まってんだよ」
上西工場長が苛立たしく言った。
このときになって、長谷川はようやく意味を理解したが、一つだけ疑問に思う。
「あの、俺、今日休みで、明日の元旦から夜勤のはずですけど」
「今日が夜勤で、元旦休みだろ」
そんな気がしてきた。
「ぼけたこと言ってないでさっさと来い、10分は待つ」
「すいません、いますぐ行きます」
電話を切った頃には、長谷川も己の勘違いをすっかり認めていた。
「これは困った」
ナナハンをすっ飛ばして本社工場に向かう中、長谷川は仕事という大障壁の突破口を探した。 >142
ここの板はかなり長い間書き込みが無くても落ちないから、自分のペースでどうぞ。 「おい、寒いよ、帰ろうぜ」
杉山が言った。
「バカ、ここに集まるって約束しただろう」
吉村はそういうと、10年前と変わらないように見える体育館のドアを開けた。
杉山と吉村は同じ地元の大学に進学した。
杉山は卒業して出版関係の会社に就職したが、吉村は2年目に中退し、実家の酒屋を継いでいた。
「でもさ、こんなに早く来なくてもいいだろ」
猫背になって杉山がいうと吉村は電気をつけてこういった。
「トレーニングするんだよ、試合に備えてな」
その言葉で、"吉村はマコトと試合をするつもりだ"ということに、杉山が気付いたとき、
吉村は続けて当たり前のように言った。
「マコトは強かったけれど、俺との勝負は五分五分だったんだ。
俺だってトレーニングしてるからさ、情けない負け方はしないぜ。
杉山、応援してくれよ」
どうなっても知らない、といった表情の杉山はシャドウボクシングをする吉村を背中に体育館の外を見た。
真っ暗だったが、それも10年前と変わらないように見えた。 インターを抜けると見慣れた風景が広がりだす。
一面白い世界。
マコトは5時間の銃チアのあとに、10年ぶりの故郷に臨んだ。
しかし、パチッ、という音とともに視界が消えた。
「全く、あと少しだというのに」
ボンネットを空け、あれこれ調べてみる。
案の定、バッテリーがいかれていた。
見渡したところ、他に走る車は見当たらない。
目的地まであと10km。腕時計が11時の時報を知らせた。
マコトは何か決心するようにボンネットを強く閉じ、
「プロボクサーマコト、28、走ります」
照れもなく、そう言い放つと、マコトは雪の中を全力で走り始めた。
「工場長、怒っていたな」
青くなった右目の辺りを押さえながら、長谷川も雪道を急いでいた。
工場に着いた長谷川は、仲間との約束が頭から離れず、
結局、工場長のキツイ一発と引き換えに、何かと切り抜けてきたのだ。
「これであいつら来なかったら、俺はただのバカだな」 除夜の鐘が聞こえる。
10kmの道のりを軽くこなしたマコトは、白い屋根の懐かしい体育館に明かりを見た。
"奴等、来てるな"、マコトはにやっと笑い、残り100mの雪の絨毯を全力で走り抜けた。
だが、靴の雪を階段で拭い、ドアに手をかけたとき、中の様子がおかしいことに気付いた。
何か大声で言い争っている。
この聞き覚えのある声、確かに吉村と長谷川の声だ。
何となくドアを開けることにためらいを感じたマコトは、二人の怒鳴り声に耳を傾けた。
「バカ野郎、わざと負けて、マコトが喜ぶとでも思ってんのか」
「何言ってんだ。マコトに自信を持ってもらうためだろう。
あいつはいまだにベルトを掲げたことがないんだぜ。二人とも協力しろよ」
気がつくと、マコトはだだっ広い何も無い校庭で、上を向いて立っていた。
嬉しさ、思い出、自分の無力さに対する怒りと悲しみ、いろんなものが滴となってマコトの頬を流れていく。
マコトの心に降り積もった雪。
みんなが雪解けを待っている。
さぁ、走ろう、春に向かって。 吾輩はカメレオンである。
名前は特に無い。
生まれは遠くの暑い国だが、1年前、ここ四ツ越デパート8回のペット売り場へやってきた。
雨も降らず、シャッターが開かなければ、太陽も見えないガラス箱の中の暮らしは、
決して大満足とは言い難いが、たった一つ、生まれ故郷では滅多にお目にかかれないものが
ここにはわんさと溢れており、吾輩の無聊を慰めてくれる。
それは人間である。
吾輩の住むガラス箱の片側は売り場に面しており、店員および亀やら蜥蜴やら吾輩やらを
眺める買い物客を見ることができる。
そして、もう片側はもう一枚のガラスの壁越しに屋上広場が見渡せる。
夏はビアガーデンとやらで賑わい、真冬の今はさすがに人もまばらだが、
それでも少し暖かい午後にはサラリーマンやOLや家族連れの休憩所となる。
毎日様々な人間達が、吾輩の目の前で思わぬ姿を落としていく。
午前10時。
今日もそろそろ開店の時刻である。 開店のアナウンスと共にこのペット売場に飛び込んできたのは、一組の老夫婦だった。
「おじいさん、この茶色のがいいじゃないかねぇ。毛が長くて可愛らしいじゃないか」
どうやら犬を買いに来たらしい。
ふと、老爺と目が合った。
「はて、この緑色のは何だろう」
吾輩を知らないらしい。
吾輩はシンボルマークでも吾輩自慢の舌を出して見せた。
「なんという素晴らしい舌だ。螺旋状に伸びている」
感動してくれたようだ。
「何でこんなに舌が長いんじゃろうなぁ、なぁ、婆さんや」
しかし、老婆は犬に夢中で老爺を無視している。
吾輩は開店前に店員が入れてくれた朝御飯を舌で取って食べた。
ここでは昆虫の死骸だが、生まれ故郷では元気に飛んでいるおいしそうな昆虫を
特大の目をめいっぱい動かして見つけては、この長く螺旋状の舌で捕食していたのである。
この吾輩の達者な舌の動きに老爺は感心してくれたらしい。
老爺は相変わらずガラス越しで犬に愛嬌を振りまいている。 しばらくすると、吾輩を見つめていたその老爺はくるりときびすを返し、
犬を見ている老婆へ近づいていった。
吾輩はその後姿を見つめていたが、何やら吾輩にはわからない話を始めてしまったので、
すぐにそれにも飽きてしまった。
吾輩は何気なく後ろを振り返った。
今日もいい天気だ。
こんなとき人間ならどんな気持ちになるのだろうか。
残念ながら、吾輩のように狭い世界にいるものには広い世界にいる人間の気持ちはわからない。
そのとき、吾輩は妙なことに気付いた。
この時期、滅多に人が来ることのないあの屋上に一人の女性が立っているではないか。
それに、吾輩の記憶ではあのフェンスとかいう鉄の咲くより外に立っている人間を見たことがない。
「おじいさん」
突然、さっきの老婆が声を上げた。
振り返ると、慌てた顔で屋上を指差している。 老婆の一言で店内中がざわめきに包まれた。
そして、店員やら騒ぎを聞きつけた客やらで屋上広場は大騒ぎである。
吾輩にはその騒ぎの理由がもう一つ理解できないのだが、
ただならぬ雰囲気であることだけはわかる。
「来ないで。来ないでください」
フェンスの向う側の女性は首を大きく振りながら叫んでいる。
そして、女性がそうして体を動かす度に周囲からは悲鳴のような声があがる。
そんな人間達の不思議な行動に首をかしげている吾輩に、
毛づくろいをしていた隣の犬がポツリと呟いた。
「全く訳が解らないよ、人間ていう生き物は。
ああやって自分で自分を殺そうというのだからな」
自分で自分を殺す。どういうことだろうか?
吾輩の頭はますます混乱する。
「ちょっと私の話を聞いてちょうだい」
混乱する吾輩を尻目にさっきの老婆が女性に近づいていくのが見えた。 周りの緊迫したざわめきが見守る中、老婆が女に向かって何やら話し始めた。
それを見て、先ほどの犬が前足をなめながら言った。
「見ろよ、もうじき死ぬ老人がまだ十分に生きられる人間の死を止めようとしている。
ホント、わかんねえよなぁ、人間って」
すると、それまでいきさつを黙って見ていたこの店で一番年上のインコが呟いた。
「そうじゃ、わからん生き物じゃ。
彼らは自分が人間であることを自覚しているようで自覚しとらん。
己を高いところから見つめることができんのじゃよ。
自分の広さを忘れている」
この狭いガラス箱の中にいる吾輩にとって、そんな広さはとても魅力的に聞こえた。
一体、この空と人間とどちらが広いのだろうか。
女がこちらの世界に戻ってきた。
拍手が鳴り響く中、老婆と女はかたく抱き合っていた。
今日もまた晴れている。
吾輩は久しぶりに体の色を変えてみたくなった。
この広い空の色に。
吾輩は青いカメレオンである。
4回目のコールで、テレフォンカードの残り度数を示す数字がひとつ減った。
「もしもし」
「はい、橋本でございます」
「あ、こんばんは、吉田ですけど」
「あら、吉田さん?こんばんは、お久しぶりね。
東京に行かれたんですって?今、東京から?」
「はい、そうです。あの・・・」
「吉田さん、家の弘なんかより全然しっかりしてるから平気だと思うけど、
ほら、女の子の一人暮らしは狙われやすいって言うし」
「あの、弘君は・・」
「あらいやだ。おしゃべりしちゃって。ちょっと待っててね」
洋子は軽く溜息をついた。
幼なじみでもある弘の母の話好きはいつものことだが、
目の前で瞬く間に減っていくカードの回数と、引越し騒ぎの疲れが洋子をイラつかせた。
「もしもし」
弘の声がいつもより少し遠くで聞こえた。 春の雪、これも懐かしいですね。
どこかでとってつけた文章になりますが、テレフォンカードは今でも普通に
ありますが、携帯が普及した今では少しマイナーな物になったようにも思えます。
ですが、この話の様な男女のやり取りは小説としてはなかなかいいですね。 「あ、あたし。どうなった?」
「何がだよ?」
「何がじゃないでしょう。人がせっかく心配してやってるんだからね。あいつのことよ」
「まあ、こっちも大学決まって、あいつとも同じところなんだけど、何となくってとこかな」
「まったく、もうちょっとしっかりしなさいよ。
引越しで疲れてるのに電話してあげたのは、弘の声が聞きたかったんじゃないんだからね。
弘がかわいそうだから電話してあげてるんじゃないの。しっかりしてよね。もう。」
「なあ、俺も正直言うとわかんなくなってきてるんだ。
洋子とは中学まで一緒だったろ?高校は別だったけど。
高2のとき初めて相談したよな。好きな子がいるって。
それから、その子に対しての気持ちはかわらないはずなんだ、今でも。
でも、ちょっと気持ちが変なんだ」
「あ、ちょっと待って。またかけ直す。カードがなくなる」
冷却時間は5分は必要だ。
弘のバカ野郎、私はもう東京よ。
電話の残り度数は75を示していた。 「お姉ちゃん、またかけるの?ねぇ?」
小学生が三人、電話ボックスの外で洋子が出てくるのを恨めしそうに待っていた。
「ごめんね」
と声をかけ、洋子は電話ボックスの外、初めてこの痛みを知った日のことを思い出し、
そっと唇をかみ締めた。
そう、高2の夏。
思いがけなかった相談。
「もしもし、そう、弘。
あのさぁ、夏休みだけどさぁ。
そう、みんなで。
えっ?違うよ、行けなくなったんじゃなくて。
ほら、洋子と一緒の高校の友達。うん、参加するって聞いたよ。
だからさぁ、ちょっと相談なんだけどさぁ。
あの子とさぁ、キャンプで。
あ、そう。図星図星。
応援してくれるって?
あっ、それから・・・」
「お姉ちゃん、いいよ」
さっきの小学生が電話ボックスから出てきたので、洋子は再び弘の家に電話をかけ、
まだ呼び出し音のままの受話器に向ってこう呟いた。
「引越しで疲れているのに電話をしてあげたのは、弘の声がとても聞きたかったから」 「俺、あいつと話していると、すぐそばにいるはずなのにすごく遠く感じるんだ。
ついでに壁に隔たれているような気がする。あいつが悪いんじゃない。
でも何か違うんだよな。俺、自分の気持ちがわかんねぇよ」
「自分の気持ちがわかんないなんて嘘だよ。
ただ誤魔化してるだけ。逃げてるだけ。
あんなに電話でのろけてたの、弘なんだからね。
いい?あんたはあいつが好き。それでいいのよ。
弘は理屈っぽすぎるよ。
ちょっと、何笑ってんの?」
「洋子、お前なぁ」
「何よ」
「別に、何でもない」
「それ、弘の口癖。いつも何か言いかけてやめるんだから。
気になるじゃない。何なのよ?」
「いや、洋子の怒った顔が見えるからさぁ」
洋子の目からこぼれた涙が受話器を湿らせた。
残念でした、私は怒ってません。
そんなつぶやきが声にならず、テレフォンカードにひとつ穴を開けた。
「お前みたいなふくれっ面できる奴はなかなかいないからなぁ」
弘は遠い。ずっと遠い。 本スレが落ちたようなのですが、どこかに移転したかご存知の方いますか? 「どうした?急に黙っちまって」
「ううん、別に、何でもない」
洋子は努めて明るい声を出そうとしたが、心なし語尾が上がってしまった。
「洋子、おまえはどうなんだ?」
「どうって、何が?」
「東京行ってさぁ、友達とか家族とか思い出とか、いろんなのこっちに置いてきちまったろ。
寂しくないのか?」
弘にそう尋ねられると、洋子は胸がつぶされる様な思いになった。
心細くなった。
しかし、弘に打ち明けることなどできなかった。
「何よ、いきなり。私は平気よ。忙しくてそんなこと考えてる暇なんてなかったわ。
弘こそ私がいなくて大丈夫だった?」
洋子は少しおどけて聞いてみた。
沈黙が流れた。
洋子は弘が軽く息をのむのを感じた。
「なぁ、わかるかなぁ、 こっち、雪が降ってるんだぜ、春なのにさぁ、おかしいよなぁ、
雪はさぁ、いいよな。優しい気持ちになれるよな」
「そうね」
「洋子ならわかるよな、今、俺の見てる景色」
「うん、わかる、見えるよ。まだまだ積もりそうだね。明日は銀世界だね。
ありがとう・・・」 3人の人間がエレベーターを待っていた。
2台のうち1台は故障中となっている。
20階建ての高層マンション。
やっと扉が開くと、塾帰りらしい小学生が真っ先に無人の箱に飛び込み、
フロアパネルの前に陣取った。
そして「16」という数字を押した後、いつも教えられているらしい口調で
残りの2人に問いかけた。
「何階ですか?」
2人は一瞬顔を見合わせ、まず、スーツ姿の中年男がおずおずと、
「13階を」
と言い、大学生風の若い男が、
「同じです」
と少し驚いたように続けた。
煙のような居心地の悪さが2人の間を流れ、母親の言いつけを守ったことで
満足げな少年が「13」のボタンを押し、扉がゆっくり閉まりかけたとき、
小走りの足音が聞こえた。
「すみません」
軽く息を弾ませたOLらしい若い女に少年は同じ質問をし、女は
「20」
と答えた。
今度こそ扉は閉まり、特有の気詰まりな空気の中、
階数ランプの数字が「10」から「11」に変わろうとした瞬間、
何の前触れもなしに、エレベーターが止まった。
何が起こったのか誰もすぐには理解できなかった。
5秒の沈黙の後、少年が「開」のボタンを何度か押したが
重厚なドアに変化は無かった。
恐ろしく長い次の数秒間、4人は互いに何度も視線を交わし、
ようやく自分達の置かれている状況を理解した。
大学生風の男が緊急時のためのボタンを何度か押したが、
それがきちんと役割を果たしているか確かめようがなく、
カタカタという音だけが空しく響いた。
通気孔はあるが妙に息苦しく、中年のはげあがった頭には
不健康そうな脂汗が流れていた。
少年がおろおろとし、平静を装う大人達に向かって
何か話しかけようとした。
しかし、口がパクパクと動いただけで音にならない。
結局、先に言葉を発したのはOL風の若い女だった。
「閉じ込められたようですね。
閉じ込められたのですね。
閉じ込められたんだわ」
そう繰り返す女の顔つきはどことなく楽しげで、
男達の冷静さを一度に崩壊させるだけのおぞましさを持っていた。 この話読んでたら思い出した...
「閉じ込められたようですね。
閉じ込められたのですね。
閉じ込められたんだわ」
これ妙にゾクゾクしたの覚えてる 非常用のボタンを押す音は次第に大きさを増し、大学生風の男は、
やがて、そこにある全てのボタンを叩いた。
中年男はポケットを探って煙草を出そうとしたが、周りを見て断念した。
代わりにしわくちゃのハンカチを取り出し、汗を拭ったが、
焦りは拭いきれない様子である。
少年はへたへたと座り込むと泣きべそをかき始めた。
取り乱したことで生じた大小様々な音は、
彼ら自身をますます困惑させたに過ぎない。
女は壁面の鏡に向かい、先ほど走ったために乱れた髪を撫で付けると
にやりと笑った。
そのとき、突然電気が消えた。
過度の緊張が、エレベーターが一回り小さくなったような錯覚を起こさせる。
重苦しい空気が圧迫する。
「上へ参ります」
女の明るい声が暗闇を埋めた。
すると、ガタンとひとつエレベーターが大きく揺れ、ゆっくり動き出した。
それはジェットコースターが最初の坂を上がっていくときの
あの不気味なまでののろさにあまりに似ていた。 「どこまで上るのですか?」
大学生がおずおずと聞いた。
「どこまで上るんだ?」
中年男が上擦った声で叫んだ。
暗闇だけがあり、返事はない。
女を捕まえようと中年男はもがくように手を伸ばした。
そして、ついに女の首根っこを捕まえると、女にしては少し太い首を力一杯締め上げた。
「何故何も答えない?」
「く、くるしい・・・」
うめき声を上げたのは大学生だった。
「あっ、失礼」
中年男は慌てて手の力を緩めた。
その間にも、真っ暗なエレベーターがゆっくりゆっくりありえないほどの遅さで、
上へ上へとどこまでも上っていくのを3人の男達は震えながら感じていた。
どれほどの不気味な時間が流れただろうか。
不意に「下へ参ります」という女の声が響いた。
声はしたけれど、小さな箱の暗闇の中には女の姿はどこにもないように思われた。
急降下するに違いない、そう思った3人は恐怖におののきながら身構えた。 「3名です」
再び女の声が響くと、エレベータの床が音もなく消えた。
3人の男は姿を消した。
堕ちた。
呻き声を感じて中年男が下を見ると、やつれた男が下敷きになっている。
大学生は隙間なく男達が敷き詰められていることに気付いた。
3人の顔からさっと血の気が引き、すがるように上を見上げたとき、箱の蓋が閉まった。
立ち上がると、小学生でさえ頭をぶつけるほどに蓋が迫っている。
キレイに並べられた男達がマッチ棒のように見えた。
エレベータの床が音もなく現れた。
壁面の鏡が左右を軸として向う側に60度回転すると、OL風の女が滑り込み鏡のドアを閉めた。
小さく溜息をついて、わずかに汗がにじんだ額に白いハンカチを押し当てた。
すると、インターホンから冷たく抑揚のない女性の声が響く。
「ごくろうさま、あなた、新人ね?」
「はい、そうです」
「乗り遅れるところだったじゃないの。時間がないと注意したはずよ。
それから、あなた、不気味さが足らないわ・・・」 同じ学校に兄弟がいるのは何となくやりづらいものである。
野球部の部室を出たところで、妹の里美に呼び止められた大輔は、
にやっと笑ったチームメイトの原田に軽く蹴りをいれ先に行かせた後、
妹に向き直った。
「何?」
里美は大輔と一つ違いの中学2年生。
何となく目をそらす兄の気持ちをお構いもなく、大輔の腕をつかむと、
野球部の部室の隣、体育用具室へ兄を引っ張り込んだ。
そして、珍しく真剣な顔で振り返ると、一通の手紙を差し出した。
「何だよ?」
「これ、読んで」
「何なんだよ?」
「いいから読んで」
「嫌だ」
「何でよ」
大輔の手に無理矢理手紙を握らせようとした里美を、大輔は押しのけた。
ところが、思いのほかの勢いによろけた里美がぶつかった拍子に、
棚からばらまかれたテニスボールを踏んでしまった大輔は、
里美を押し倒すようなかたちでマットの山に突っ込んだ。
「あいてて・・」
埃っぽいマットから顔を上げ、下敷きになった里美に声をかけようとした大輔の目に
背番号「5」が見えた。 ジングルが何気に印象深い
「ちいさな事は気にしない、 大きな事は考えない!」とか
「至らない姉〜」 とか ジングル、やっぱ、傑作は「もてない、金ない、受からない」かな。 たった一つの朝を待ついくつもの夜ってフレーズが好きだった。 それは紛れもなく大輔のものである。
卒業してしまった先輩の後を引き継ぎ、今日まで着用しているものである。
大輔は、何故それが今自分目の前にあるか理解できず手を伸ばそうとした瞬間、
背番号「5」が大きく動いた。
「そんなに押さなくたっていいでしょ。もう、いいわ。」
大輔の顔にテニスボールを投げつけると、
ものすごい剣幕で体育用具室を飛び出していった。
何がなんだかわからず唖然としたが、驚いたのはむしろその姿だった。
あれは確かに自分の顔だった。
大輔は怒ると右の眉があがる癖があったが、今見たのはまさにそれであった。
「今のは一体?」
事の真意を確かめようと慌てて用具室を出た大輔は妙な違和感を感じた。
何となく視線が低くなったような気がする。
そのとき、後から大輔の肩をポンと叩く者がいた。
それは、里美のクラスメイトの香であった。
香は少し不安そうな表情で大輔に話しかけてきた。
「手紙、渡してくれた?」 今、君の周りには何が聞こえていますか・・・。
篠原美也子のオールナイトニッポン! 今、君の周りには私の声以外、何が聞こえていますか・・・。
ようやく普通に見られるようになりましたな。
文庫の続きはどうなっているのでしょうか?
>>179
いまさらですが、彼女はインディーズに活動していますよ。
篠原美也子文庫
http://plaza25.mbn.or.jp/~parisblue/shinohara/index.html なんだか深い眠りを邪魔されたときの感覚に似ていた。
香の話の内容が理解できないのだ。
「手紙って?」
大きな戸惑いを含んだその声が、大輔自身にはやたら甲高く、
裏返って聞こえた。
「忘れないでって言ったのに」
香は落胆の表情を隠しきれず、大きな溜息をついた。
混乱と戸惑いの中、大輔は里美が持ってきた手紙を思い出したが、
それと香をつなぐ線が見つからないのだ。
あらためて香に視線を向け、そこで初めて異変に気付いた。
確か香は大輔より10センチは背が低くなかっただろうか?
だが、今の香は大輔と同じ目線で話している。
混乱をおさえるため頭に両手を当てると、
野球部の大輔にあるはずのない長い髪に手が触れた。
次の瞬間、ものすごい形相で渡り廊下を走ってくる坊主頭の大輔の姿が
視界に飛び込んできた。
大輔より早くそれに気付いていた香は、決心したように呟いた。
「いいわ、やっぱり私、自分で告白するから」
そして、大輔をその場に残し走り出した。 「先輩」
声をかけようとした香をかすめるようにして彼女の横を全力疾走で駆け抜けた大輔の姿をした里美は、
そのまま里美の姿をした大輔の首根っこを掴んで再び体育用具室へと駆け込んだ。
「いったいどういうこと?」
自分の顔が、しかも女の子の口調で迫ってくるというのは気分の良いものではない。
大輔は自分の顔から目をそらして、ポリポリと頭をかいた。
「そんなこと、こっちが聞きたいね。まったく、こっちは試合が近いってのによ」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
ぶつぶつと文句を言っている大輔に向かって、彼の顔をした里美が右の眉を上げて怒鳴った。
彼、いや、彼女は今にも泣き出しそうである。
頼むからその顔で泣き出すのはやめてくれ、と半ば祈りながら大輔はあれこれと考え始めた。
確か手紙がどうとかってもみ合ってるうちに、テニスボールを踏んづけて、マットに突っ込んで・・・
彼がマットの山に目を向けると、突然ガラリとドアが開いた。 ドアの隙間から顔だけ突き出したのは、チームメイトの原田だった。
「何やってんだよ、練習始まってんのに、先生怒ってるからな」
原田は大輔の姿をした里美を睨むと、ぴしゃりとドアを閉めた。
里美は堰を切ったように泣き始めた。
その情けない顔が自分のものであることを嘆きながら、
大輔は最近こんな風に泣いたことがあっただろうかと、ふと考えた。
せいぜい、あくびのあと涙がにじむ程度である。
自分の感情に言葉を与えるより、
先に泣き出してしまうような妹がいつもうらやましかった。
大輔は初めてそれを認めた。
「香、お兄ちゃんのこと好きなんだ」
と言い捨てると、里美はしゃくりあげた。
「とにかくうちに帰ろう。その方がいいだろう、なっ」
大輔はいまや自分より背が高い里美の震える背番号「5」をポンと叩いた。
すると、ポンと背中を叩かれた。
隣には里美が里美の姿をして、いた。
大輔の左手から丸められた紙屑がポトリと落ちた。
大輔の目から妹の涙がポトリと落ちた。 久々にキタ――♪ o(・∀・o) (o・∀・o) (o・∀・)o キタ――♪
元気だった? 「あれ?」
待合せの公園を抜ける路地で、吉岡悟は真っ暗な空を仰いだ。
この時期特有のじっとりと重たい風に雨が混じり始めている。
軽く舌打ちをして悟は足を早めた。
待合せは午前1時。
路地を抜けたとき、公園の時計がきっちり1時を指し、
ぼんやりと小雨に煙る外灯の下、二つの人影が見えた。
「うまく抜け出せたか?」
駆け寄った悟に、いつものからかうような口調で話しかけた小柄なジャージ姿は、林健太郎。
傍らで、長身の背を丸めるようにしながら黙ってにこにこしているのが、安田智彦。
3人は同じ中学の一年生で、クラスでも評判のイタズラ仲間である。
「おう、姉ちゃんがなかなか寝なくてちょっと焦ったけど、ばっちり。ようし行くか」
振り返った3人の目の前、公園の木々を隔てて黒々とそびえ立つ古い病院跡。
不治の病を苦に飛び降り自殺した少女の幽霊が夜毎手摺にもたれすすり泣くという屋上を目指し、
恐いもの知らずの三つの影は出発した。 結構ハガキ職人同士も仲よかったね。この番組。漏れは数回しか有楽町行けなかったけど。
今みんな何してるのかな? >193
未だにモテない、金ない、受からないの三無主義を実践中です。 モテの極なんてコーナーもありましたな。
朝5時まで聴いて高校逝ってた漏れも今年で三十路だorz 地方在住でネット局でなかった漏れにとって2部を聴くのは「歌うヘッドライト」との争いだった・・・
今のようにネットラジオの無い時代・・・
そんな時代を漏れ等は生きた! この人、10数年前のヴィックスドロップの「♪ばーかばーかエヘン虫」ってCMに出ていた女や、
今は亡き、積み木崩しのモデルの穂積隆信の長女に似てた。 篠原美也子文庫、懐かしすぎです!!また読めて本当にうれしいです。
あと3作、よろしくお願いしますっ! 闇に支配されている院内の廊下の先は、悟達にとって永遠の空間に思えた。
どこまでも響く3人の足音。
湧き所が不透明な、生暖かい空気。
唯一、彼らが確信を持って信じられるのは、
懐中電灯の灯が照らし出す闇から逃れた現実だけだった。
そして、ひとかたまりとなって闇をかき分けながら進んだ一行は、
錆び付いた505号室の扉の前で立ち止まる。
「ここが幽霊少女の病室だったらしいぜ。寄ってくか?」
健太郎が爛々とした瞳で呟き、智彦と共に悟を見つめる。
「そうだな、何か迫力に欠けてるし、寄ってくか」
強い言葉を吐きながら恐怖をひた隠す悟は、
ドアノブを静かにひねると扉から溢れ出した光に呑み込まれ、
夜の闇に2人を取り残したまま消えた。
勇気を偽った微笑みを口元にたたえながら。
悟は、なぜか昼下がりの病室に呆然とたたずんでいた。
そこに夏の香りはなく、秋の切ない匂いが漂っている。
そして、悟がそこに見たものは、
窓の外の葡萄園を悲しげに見つめているひとりの少女だった。 ベッドにちょこんと腰掛けたその少女は葡萄園など見てはいなかった。
「理恵でしょ?足音でわかったわ。
目が見えなくなったから、やけに音が気になるのよ。」
少女が見つめているのは、懐中電灯ひとつない暗闇なのである。
少女は悟の方を向かずにか細い声で続けた。
「理恵、昨日はごめんなさい。
怒ってる?自分でもよくわかんないのよ。
死にたいなんて嘘なの。
ごめん、もう二度と言わない。
理恵、今急がしいんでしょ?
無理して毎日来ることないのよ。
でも、うれしいわ。
あの、私、とても感謝してるの。
だから、忘れてね。昨日言ったこと全部。
ちょっと私おかしかったのよ。
高みの見物だ、なんて思ってない。
私が勝手に卑屈になっているだけだわ。
夕べ、ずっと泣いていたらなんだかすっとして、
今すごく楽しい気分なの。
だから、大丈夫。」
少女のふわふわした話し方は、悟の背中を寒くさせた。
「ねぇ、理恵、屋上行こうか。
今日は気持ちいいんじゃないかしら。
甘い匂いがするわ、葡萄の。」 「おい、どうなってんだよ?」
健太郎は智彦と顔を合わせる。
お互いの情けない顔に嫌気が差す。
「悟が…」
智彦がそう言いかけたとき、閉ざされたドアのノブがガチャリと音を立てた。
「ひっ」と二人は同時に後ずさり、壁に背中を打ちつける。
悟だ、悟に違いない、そう思いながらも、ドアがゆっくり開けられると、
二人は叫び声を上げて逃げ出してしまった。
振り返ることなど出来ない。
恐い。
悟なら声をかけてくるはずだ。
二人がごちゃごちゃの頭を抱えて階段にたどり着くと、
下の階から何者かが上ってくる音が聞こえる。
「嘘だろ…」
泣きそうになりながらも、二人は上りの階段を走っていく。
「ちょっと、この上って…」
五階建ての病院。
つまり、この上は幽霊が出るという屋上だ。
「やだよ、俺」
泣き言を言う智彦に、
「俺だって!」
と健太郎は怒鳴る。
音に追い立てられて屋上の扉を開けた二人は転がるように屋上に出た。
そこに待っていたのは、夜の雨ではなく、天高い秋の昼下がりだった。 テープ探したら1本出てきた。
その日、東京は過去最高の真夏日で最高気温を記録したらしく、
いきなりオープニングで、鍋焼きうどん食ってた…。
この人、ラジオでものすごくテンションハイなのな。 >206
ライブのMCもテンション高いよ。昨日のライブはよかったなぁ。 この「妹」の時のBGM。なんだっけ?
ある意味あれを聞くと痺れる・・・。
昔カセットを買い込む金があれば、録り溜め出来たのに。 2人は座り込み、恐怖で震える体を寄せ合い、ドアを見つめた。
悟と少女が現れた。
健太郎は喋ろうとしたが、声が出ないことに気付いた。
悟も智彦もそのようだった。
ふと、少女が口を開いた。
「友達が来てたのね。
音でわかるわ。
あとね、あなた達がここに何をしに来たのか。
そして、あなたが理恵じゃないってことも」
少女はそう言い、手摺に手をついて泣いた。
「ここに来るとね、いつもこうするのよ。
そのあと、みんなで葡萄園に行くの。
じゃあ、私は先に行くわ」
少女は手摺を乗り越え、消えた。
3人の体は宙に浮き、手摺を過ぎた。
互いに見つめあう3人は、出ない声で泣いた。
風船のスピードで落ちていく3人を不意に光が包んだ。
ひんやりとした地面に彼らは横たわっていた。
互いに目が合う。
3人はわけもわからず笑った。
アメは嘘のように止み、月が出ている。
そして、その月明かりが照らしだす見覚えのない一房の葡萄を見つけたとき、
3人の笑いは凍りついた。 高三の夏はあっという間にやってきた。
「暑い」「去年とは大違いだ」とセカンドのポジションに向かって走りながら、
18になったばかりの和彦は思う。
雨に祟られた去年の予選。
県内屈指の左腕と評判だった二年生エース松本を擁し、優勝候補の一角にあげられた港高校だったが、
雨中、ぬかるみに足を取られた和彦のエラーによる失点が決勝点となり、二回戦で姿を消した。
トーナメントの厳しさを思い知らされた大会だった。
その後、松本の故障で選抜の夢も破れ、最後のチャンスとなる18の夏、
守備位置に着いた和彦は、軽く屈伸運動をしながらマウンド上の背番号『1』を見つめた。
松本とは中学時代からのチームメートだ。
故障も癒え、今大会では好投を続けている。
去年の痛恨のエラー、和彦は松本にまだ謝っていない。
二人そろって甲子園の切符を手にしたとき、初めて謝れるんだ。
準決勝、甲子園まであと二つ。
球審の手が挙がり、松本が振りかぶった。 1回の表、松本はあっさり三人で片付ける。
その裏、1アウト1塁。
3番の和彦の打席。
気追い込んだ和彦の打った球は、セカンドの正面へ。
(しまった)
それでも併殺だけは避けようと1塁へ走る和彦の目の片隅に、
打球がセカンドの手をすり抜けていくのが映った。
スコアボードに「E」が点く。
1塁ベース上で小さなガッツポーズをし、2塁を見ると、
目が虚ろなままのセカンドがグローブに目を落としている。
去年の自分がダブり、和彦は胸がチクリと痛む。
和彦の一打がきっかけとなり、1回の裏は打者9人の猛攻で5点を取り、
試合は半分決まっていた。
6回に7点目を取り、完封ペースの松本を替える余裕を見せる。
和彦も4打数2安打。うち一つは追加点を上げる2塁打の活躍。
7対2でゲームセット。
挨拶の整列に向かう和彦に、ライトに入っていた松本が声をかけてくる。
「明日も頼むぞ」
「ああ」
そう、明日。明日勝てばやっと・・・。
和彦は松本に謝れるその日が来るのが嬉しかった。 懐かしいねえ・・・
どっかで文庫聞けないかなあ・・・
常連のコテだったよ・・・・
美也子姉さん、もうこんな歳にお互いなっちまったな。
ttp://www.tbc-sendai.co.jp/02radio/miyako/real/060521.ram
ttp://www.tbc-sendai.co.jp/02radio/miyako/real/060528.ram
ttp://www.tbc-sendai.co.jp/02radio/miyako/index.html
まぁこんな感じで今の声を聞いてると、ANN当時の自分にフラッシュバックするよ。
ドイツワールドカップとか巻のサプライズ選出とか彼女の口から聞いてるとしみじみだ。
今でも元気をもらえることに感謝してるよ。
篠原復活させろ、ブス。
ブスのくせによくそんな歌歌えるな。
なんて葉書を東子さんの所に送り続けた奴がいたな。 「和彦君」
試合後、球場をあとにし、帰宅しようとする和彦を呼び止める声がした。
和彦と同級生でマネージャーの真紀だった。
「おお、何か用か?」
「ううん、別に。駅まで一緒だから」
真紀は小さな体に大きなバックを重そうにぶら下げて
和彦の隣にちょこんと並ぶ。
「とうとうここまで来ちゃったね」
「ああ、ここまで来たら絶対勝つさ」
「頑張って。絶対、絶対勝ってよね」
短い会話の中に、和彦は真紀の3年分の熱い思いを感じていた。
この3年間、ナインと共に喜びや悲しみを分かち合い、
どんなときでも影になり日向になり、
和彦達を支えてきた真紀への感謝のしるしとして。
真紀に最高の18歳の夏をプレゼントするためにも、
明日勝って、絶対に甲子園に行かなければならない。
意気に感じた和彦は、真紀に親指を立ててみせる。
さっきより少し大きな声で言った。
「ああ。絶対、絶対、絶対勝つよ」 8回の裏、汗が滑り落ちる。
火照った顔の、唯一、頬だけがなぜかゾクッとする。
松本は結局黙ったままだった。
「馬鹿」
和彦はセカンドポジションに向かいながら自分を罵る。
この回の表、港高校の攻撃。
電光掲示板には「0」が並んでいた。
松本はそこにどうしても「1」を出したかっただけなのだ。
相手校には初回の1点がある。
焦っていたのだ。
いつものなら、あいつは3塁で止まっていたはずだ。
ベンチに戻った松本は隣にドカンと腰掛け、泣き笑いの表情で口を開いた。
「俺、余計なこと・・・」
「去年は悪かった。ゴメン。」
自分でも驚いた。
松本の言葉を遮るために、その言葉は早くもポトリとこぼれた。
去年の自分のエラーに触れまいとするあの饒舌な沈黙が大嫌いだった。
もっと早く謝ることなどいくらでもできた。
だけど、待っていた。
何もかもわかっていたから。
和彦は守備位置に着いた。
ここを押さえたら、そのあとは最後のチャンスの最後のチャンス。
和彦はピシャリと自分の右頬を叩いた。
大歓声が消えた。
ぎらぎらの太陽、情熱に、熱い汗、ダイヤモンドダストのような砂埃。
「お疲れさま」
赤い目をした真紀が、大声で、明るい声で和彦達を迎える。
「おまえ、笑顔は違うだろ」
そういう和彦も笑っていた。
「だって、みんな頑張ったじゃない。すごいよ。」
真紀はそう言うと、急に顔を崩して泣き出してしまった。
その真紀の肩を監督の手がポンと叩く。
「そうだな。みんな良くやった。本当にすごい。本当にそう思う。」
泣いたり、笑ったり、青春そのもののこの場面で、
「次は大学だな」と、松本が和彦に話しかけてきた。
「野球続けるんだろう」
「ああ」
何も考えていなかった和彦は、勢いでそう答えてしまった。
でも、そういえばそうだ。
「だけど、おまえは去年のエラーがあるから推薦はないな」
「おまえだって、今日のオーバーランは何だよ?」
「俺はピッチャーだから」
そう言って笑う松本の胸を、和彦はトンと叩いた。
そして今度の野球はおまえとの対決だ。
Fin.
それじゃあ、次のハガキいってみよう。
えーっと、住所はないね。
ペンネーム、トキオ君、16歳。
『美也子さん、こんばんわ。
どうしても聞いて欲しいことがあって、初めてハガキを書いています。
美也子さん、普通って何でしょう?
僕は1年半前の事故がもとで、左足が不自由になりました。
実は、この番組を聴き始めたのも入院中眠れなかったある晩です。
得意だったサッカーはおろか、走ることすらできなくなった僕を見て、
まわりの人たちは口々に言いました。
「普通なら一番楽しい時期なのに……」
それ以後、あちこちで同じ様なことを言われます。
美也子さん、普通って何でしょう。
ゆっくりだけど、最近歩けるようになって僕は生きていくことに夢中です』
ふーん、そっかー、普通ね。
あんまりにもよく使っているから、逆に難しいよね。
あたしもいろいろ思うことあるけど、とりあえずみんなも意見あったら教えてよね。
秋だから考え事もいいんじゃない?
おっと時間だ、じゃ、宛先いっちゃおうかな。 えーっと、先週のトキオ君のハガキに対して意見が何通か来てたから、
その中の一通をここで紹介するね。
『あたし、普通って言葉もトキオみたいな奴も大嫌い。
あたしって本当、普通を絵に描いたような人生を今まで生きてきて、
そんな自分が嫌いで、いろいろ抵抗してきたつもりだけど、
何をしても誰かに似ているようでいつも不安だった。
この間、某ラジオ番組のパーソナリティーが目の不自由なリスナーに
頑張れって、治ったら俺のライブ見に来いって言ってた。
そんなこと言ってもらえたのも、トキオのハガキが採用になったもの
結局、ちょっと普通じゃないからじゃない。
ずるいよ、結局、あんた達、それを利用しているのよ。
何万人もの女の中で、普通の一人でしかないって思い知らされる奴の気持ち、
あんたにわかる?』
うーっと、これは香川県の佳子ちゃんからだったんだけど、かなりきつい意見だね。
でも、あたしもその気持ち少しわかるかなーなんて。
まだまだ引き続き他の意見待ってるよ。
じゃあ、ここで一曲。
途中にスマソ
そうそう、これ憶えてる。思い出した。
途中、目の不自由な、のくだりですごくドキッとしたのを思い出した。
『普通の定義付けをして何になるのでしょう。
普通であるか、普通でないか、その境目を決めてどうなるというのでしょう。
あなたは普通です、だったらどうですか。
あなたは普通じゃありません、だったらどうですか。
自分が普通なら安心するのでしょうか。
自分が普通でなければ悲観するのでしょうか。
それともその逆でしょうか。
無い物ねだりであることがわかっているんでしょう。
誰もが普通に生きている、そう思うことはできませんか。
普通の人間なんて一人もいない、そう思うことはできませんか。
普通の定義付けをして何になるのでしょう。
誰かを傷つける材料にするのですか。
自分を傷つける材料にするのですか。』
これは、うーん、男の人の字じゃないかしら?
住所も名前もペンネームもないんですが、気になるハガキだったんでね、
今日は最初からこの問題を取り上げてみたんだけど、
えっと、ちょっと待ってね、CMの後も続けます。 で、さっきのハガキ。
普通でなぜいけないのか、普通をなぜ受けとめられないのか、
普通は自分を守るためのものなのか、傷つけるものなのか、
そういう内容のものだったと思うんだけど、
これは先週の香川県の佳子ちゃんの、
『私は普通である。
普通でない人は普通でないことを利用して甘えている。
それはずるいことではないのか』
という意見を受けてのものだと思うんだけど。
ま、事の発端を申しますと、16歳のトキオ君。
彼は事故で左足が動かなくなって入院中、家族の人とかに左足のことを含めて、
普通という基準で自分を評価されることが多くなった。
でも、その普通って何々だろうという話から始まってて。
この番組でもそれに対して意見を募集したり、紹介したりしてたんだけど、
やっぱり人それぞれの意見で。
あえてね、あたしは今まで、
あたし自身の意見はなるべく言わないようにしてきたんだけど、
今日はね、あたしの意見も少しだけ聞いてもらっちゃおうかな。 いや、あたし別にまとめるつもりないんだけどさ、
実は今週トキオ君からハガキ、手紙来てて、
彼、驚きながらちょっと照れて、とても感謝してたよ。
きっかけは、彼の普通って何?っていう問いかけで、
でも、実は彼、その手紙で同時に答えも出してたんじゃないのかな?
『僕は生きていくことに夢中です』っていう一言覚えてる?
そのあと、彼の問いかけにたくさんの意見が寄せられて、
ひとつも同じものはなくて。
佳子ちゃんの激しさも、名無しさんの切なさも、
正しいとか間違っているとかじゃないし、押しつけるの嫌だし、
それぞれがその人の100パーセントを夢中で生きていく、
ただそれだけのことがなんて難しいんだろう。
でも、そうありたいと願い続けることはなんて素敵なことなんだろうって思った。
後ろ姿がたくさん見えたよ。
あたしもそのひとつでありたいと思った。
そして、その後ろ姿にあたしは親愛なるって言葉で呼びかけたいと思うのよ。
たくさんの意味で、ありがとう。
みんなすごくカッコ良かったよ。
Fin. 長きに渡ってお疲れ様でした。
このスレはこの後どうなるかな?
お疲れ様でした。
タイムスリップってこういうことかなといつも読みながら思ってました。
深夜というか早朝というか、布団にくるまって聞いていたあの時がよみがえってました。
スレは、幸せなことにネットで今の声も聞けることだし、このままだらだらと、かな。
今語りでも昔語りでも集う人がいる限り何かしら話題出てきそうな気がします。
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR篠原駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
先週土曜日に谷山浩子がANN-Rで一晩だけ復活
篠原美也子とか橘いずみ(旧姓)の番はあるのかな? >230
谷山浩子に比べると知名度がイマイチだからなぁ。 そういえば最終回録音したのとってたかも、って思い出して押入れ探したら出てきた!
厨房だった頃の思い出が色々とよみがえってきて、泣けた。 >>233から約3ヶ月半
>>1から約3年半
落ちないもんですねぇ〜 >>234
ほんとだw
なんてねばり強い。さすが姐御スレw。 石川よしひろが深夜のネット配信してるのは何か時代を感じた